「平和と混沌の学園」   崩砂糖 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17052

本作の感想、これで三回目になります。
いやはや、驚くなかれ。すでに第106話まで話数更新されていました。
更新速度は圧巻の極み。内容もいたってよろしいかと。
さすがに最新の第106話までは読み至りませんでした。
だから今回は第101話で読了としました。
物語の内容にも区切りがあったので、そこまでの感想を書きます。
あと、トップ絵かわっていた。かわいい。
  


■第80話までのあらすじ
陽光が丘高校の放課後は、強者による暴力支配の世界。それを変えるべく二人の女子ルーキー、愁井こよみと渡辺ツバキが立ち上がる。彼女らは、生徒会長儚木縁の仕掛けた頂上トーナメントに挑む。トーナメント参加者は、生徒会の威信かける生徒会メンバー、各部活の強者たち、学園アウトローのメンツなど、実にまでさまざま。熾烈を極める各試合、回を増すごとにその色は濃くなっていった。そしてトーナメント二回戦が終わるころ、試合の裏では不穏な画策の気配も見え隠れしていた。


■各話ごとの感想
第81話 それぞれの開戦
ツバキを応援しようとしていた瑞人、巧、桜子。しかし瑞人は忘れ物をとりに教室へ。その時瑞人は風紀委員・蒼咲翠に遭遇。交戦の気配。
運が悪い瑞人。喋ってないで早く逃げればいいんでしょうが、相手が強いだけに睨まれた獲物って感じですね。無事でいられそうにはないけど。

第82 闇よりい出し紺濁
片倉亜実の悲しい生い立ち。彼女の強さはそこからきたのか。一方、翠追われる瑞人に迫る危機を救ったのは――
辛い経験があるからこその強さは、どこまで本物であるのか考えてしまいました。ツバキとは全く逆に歩んできた世界が違う亜実。孤独の彼女はむしろ美しくすらみえます。善悪の価値観はこの二人の前に不要かと。二人を計るすべは勝つか負けるかの分かり易い天秤でしょうね。
本作始まって以来、如月凛慕にちょっと期待した回でした。

第83話 ただ、圧倒的な力
帝王呼吸法(特殊な呼吸法による身体能力の強化)をみせた亜実に、ひるまず臨むツバキ。地上では如月が瑞人の代わりに即蒼咲翠の相手をひきうける。
帝王呼吸法、マスターしてみたいですね。これできたら当然腹筋割れますよね。いい感じで割れかけたのに感想企画でまた運動不足。肉のりました。
如月凛慕にちょっと男を見たと同時に心配になった回です。

第84話 星屑は月を砕けるか
激闘の末共に倒れるツバキと片倉亜実。しかしツバキを立たせたのは、戦場で儚い仲間の思い。再び向き合う両者、交差する二つの技が最後を決める。
瑞人、巧、桜子。彼らは最初あんなに鮮烈だったのに、ここでは完全モブ。脇役が放つ心の叫びや祈りには微弱ほども心揺れませんでした。しかしそこにツバキが反応していることが重要で、彼女の姿に美しい強さを見ました。たとえそれがどんな結果だろうとも。

第85話 佳境
ツバキの敗北に虚しさを覚えるこよみ。こよみの身を案じる水夏。瑞人はツバキの試合を見届け、如月凛慕のもとへ一人引き返す。
ツバキ負けてしまいました。私の場合、心に決める人物はいつも主役級を外していく方向にあります。たとえ敗れてもツバキの魅力はあせないのです。ええまったくそうなのです。
矢岳昇介、ボクシングの人と間違えて。柔道でした。読んでるとちゅで、あれ?あれ?ってなって気づいた。登場人物把握、間隔あくと忘れてしまうものですねw

第86話 柊流格技
柊渉とこよみの試合。柊渉はこよみの闘いへの執念を呪いと宣告。しかしこよみは誓いだとはねのける。圧倒的強者、渉の力は攻略できるのか。
力のぶつかりあいだけでなく、心情や考えにも、強者はぐっと踏み込んでくる。そんな面白味を感じることができました。強さというのは何だろう。思念か力か……。両方を貫きとうせる者こそ、生き残るのだろうと。

第87話 負け犬達の逆襲
帝王呼吸法を施しこよみが出した技、それは生徒会拳法―陽光が丘拳法。一方、瑞人が絡む試合裏での画策を察知していた生徒会幹部・折笠紫折は、5人のトーナメントメンバーを招集していた。
切り札、隠しネタの表現の豊富さに感嘆。作家さん、出し方とても上手いです。こよみの生い立ちを考えれば不思議なことではないのだけど、この技の登場、タイミングに心地よさを覚えました。
負け犬招集5人組へは検討を祈るばかり。

第88話 陽光が丘拳法
陽光が丘拳法を習得しているこよみに動揺をみせる渉。しかし柊流として一歩も譲らずこよみを追い込んでいく。
特別な技である陽光が丘拳法だけど、強さを推し量るには渉のま前ではあまりにも無力か。けれどそれは策なのか? この勝負行方が見えない。ツバキが負けた時点でもっと見えなくなりました。

第89話 不完全VS完全
渉に見切られるこよみの陽光が丘拳法。勝機に陰りが見え始める。
小説というよりは漫画のバトルシーン。絵の無い漫画のバトルシーンといってもいい。(褒めている)
それぐらい描写、言葉選びが最小限でも隙がなく、秀逸な回でした。絵がないのに絵がある。少年漫画を文字で見た気がしました。

第90話 死に物狂い
柊渉とこよみの試合に、水夏は心穏やかではいられない。誰もがこよみの終わりを想像していた時、水夏は行動に出た。
いい加減、血なまぐさい光景にも馴染んできた感のある水夏。しかし彼女が起こす行動、それこそが彼女たる姿として納得できました。

第91話 解けない呪い
水夏の行動によるこよみ敗退の危機。しかしそこには隠された秘密があった。
人は危機や危険を目の当たりにしたときほど、愛情を身近に感じるものなんでしょうか。そんなことをポロリと思いおこした回でした。

第92話 エンカウント(前篇)
風紀委員副会長相手に苦戦する如月凛慕。そこへ登場する神風ミリル。その他各所で保志圭次が俤二三子の相手を、笛吹奏では学ラン少年と交戦の態へ入りつつあった。
二三子の様子がシュールで面白いです。彼女の相手が保志圭次なだけに、よけにその面白さが際立っている気がしました。本気で困ってそうです彼。

第93話 エンカウント(後編)
アヤキを慕う天架舞華はアメリー・ブランシャールと遭遇。初瀬は杭瀬と。そのころ地下闘技場ではアヤキと後藤尋絵の試合が始まろうとしていた。
地上のエンカウント、前者二名、彼女らのクリーンでストイックな戦いが気になります。後者に二名はどちらも名字に「瀬」の字が付く瀬付き名字対決。どっちの瀬が勝つのでしょう。トーナメント裏の出来事でも、戦いの先にある事柄へも関心が湧きます。

第94話 異次元の対決
後藤尋絵は今まで試合で使った技をアヤキに繰り出す。アヤキは持ち前の瞬歩圧力で難なくかわす。拮抗しているようにみえる力は互いに本気ではなく探り合いとなっていた。
後藤尋絵の淡々とアヤキを小ばかにする口調が、どこかお爺臭くて笑いを誘います。アヤキが彼女の前ではひたすら小者感しか出てないようにも見えました。時にはカマセっぽくみえる男ですが、アヤキの本気はどこまで引き出されるのだろうと思った回です。

第95話 滝川アヤキの実力
後藤尋絵は儚木縁の腹違いの姉。事実を明かされ動じるアヤキ。同時にそれはアヤキの力の解放となる。
イケメン、かつて陽光が丘の全男子の頂点に立つ男はどんな戦いを披露してくれるんだろー。期待。(棒読み)
そういうえば思い出しました。アヤキは過去に魔女の懐刀候補だったのでしたっけ?

第96話 一年越しの全力
後藤尋絵はアヤキの能力をそれなりに高く評価している。しかし同じくらい絶望も感じていた。久しぶりに本来の力を出そうとするアヤキ、発動までに少し時間がかかっていたもよう。
強さが突出しているのかいないのか、いまいち分からないのが滝川アヤキ。まあ、一年も放置されていた感のようですからそんなもんなんでしょうか。私も絵をしばらく描かないと鈍ることはままありますねw

第97話 安いプライド
瞬発力をいかしたアヤキの攻撃。しかし後藤尋絵は堪えたつふうでもなく、アヤキの鎖骨に負傷を負わせた。
アヤキが見せる彼の意地、イケメンで頭も切れるようですが、意外と人間味のある感情も持ち合わせている。好感が持てました。彼のトーナメントでの先は短いようですが(コメ欄参照)、ここでダサいセリフをはいてくれるあたり、憎めない人材として息長く登場していて欲しいなとも思いました。

第98話 三年前の出会い
愁いこよみと滝川アヤキの出会いは中学の頃。アヤキがこよみを助けたことがきっかけだった。過去への回想は滝川アヤキのレクイエムとなるのか……。
後藤尋絵が強いです。人間離れした強さ。こよみと戦った柊渉もすごかったですが、柊渉と後藤尋絵(きみどりちゃん)、普通に戦わせたらどちらが勝つでしょう。考えるとそういうのも楽しくなります。アヤキ、運が悪かったとは正直言い辛い。これは必然の未来が待っていますな~。

第99話 覚悟の価値を決めるのは
満身創痍のアヤキに絶望が押し寄せる。打倒魔女にかけてきた一年が闘技場に散ろうとしていた。
ツバキの次に訪れたアヤキの敗北。生徒会長への道のりをこよみがどこまで歩けるのか気になるところです。このトーナメント、仮にこよみも敗れたとしても、幕引きとしては区切りになると思いました。もちろんそのさきには平和と混沌の学園その2があるとして……。

第100話 
儚木緑と対戦する求堂ダルクは「いくさ歌」で自身を強化する。悪足掻きなのか秘策なのかダルクの敗北を観客たちは既に予見していた。
完全カマセ回。これはさすがに笑うしかない。サクサクよんで次へGO!

第101話 少年はヒーローになる
絶対的な力の下に倒れる求堂ダルク。その時胡桃ヶ丘夢悠の叫びが響く、澪瀬澪音の声が届く、観客までもが彼に声援を送った。
なんというか……、重いです。この回。ネガティブな重さというのではなく、戦隊ヒーローものを大人になってみると、子供の頃に見た時とは違う重さがありますね。全くそんな感じです。この気持ち、上手く説明できませんが、パンチがきいた回でした。タイトルにヒーローとある。まったく言い得て妙w
頂上トーナメントあと三試合。今回はここまで読了です。
現在更新第106話まで、頂上トーナメントどうなっていくか楽しみにしたいところです。



■今回更新分までの総括的感想
やはり、本作の驚くべき点、賞賛する点は安定した更新速度、それに劣らない文章力と物語の出来栄えかと思います。見事です。更新が早いと私などでは到底読みが普通に追いつきません。しかし、一気に読むときの利点として、一時的に物語の中に心をどっぷりつ浸らせることもできます。非常に気持ちが良いです。読後の満足感は他に代えられないです。そういう意味では、更新の速い作家さんの作品はある意味嬉しいとも言えます。
本作の魅力としては軽くサクサクよめる、スーラスラと読める学園バトル作品。登場人物の魅力も相変わらず。今までの感想と同様色あせることはありませんでした。心情や思考、人物の持つ信念もそれぞれに筋が通っていて好感が持てます。前回にも書きましたが、行間で入れる呼吸がとても気持ちいいです。改行の意図がいま一歩わかりづらい作品、よく見られるのですが、この作品に関しては全くそれを感じません。会話、地の文のテンポも良いです。おっそろしく良作の学園バトル作品、お勧めしたいです。
大長編の域に達する勢いになってきている話数ですが、2~3日間くらい読み耽れば、遅くても読破は可能かと思います。



■作中印象深かった箇所
・親に捨てられる苦しみは、誰よりも自分が知っていたからだ。
ここでこの一文だけ見ると、ウザいですけどね、作中片倉亜実と絡められた本文で出てきたとき、ぐっとくるものがありました。
・天才はあらゆる切欠をプラスに活かせるのだ。
強い表現。良い。
・それでも、その気休めは。時に限界を超えた奇跡を起こす。
リズム良い。文も良い。熱さが、文語に熱があるとして、人物たちの心の温度が伝わる感じ。
・叶えてしまえば、呪いはとける
ものは言いようではあるけれど、説得力はある。良い。
・引き出しの整理整頓。
何事にも理想です。難しいですね。無理。自分無理よ。イタタ。
・「何が真の――げふあっ!?」
吐血。音、良い。汚い声。



以上この作品に関する17日更新分の感想はここまで。