「愛と笑いの夜」    ヤマダ=チャン 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17738

読切り作品です。
今回は二作目、『携帯小説』の感想。
こちらの作家さん、もはや速筆作家の部類に入るのではと思う昨今。
企画にしてもこの読切り作品にしても、瞬発力のある更新は見上げたもの。
作者コメントでは「二日でどんなものが書けるか挑戦したら前半で力尽きた」とありました。
一作を短時間で完成させる勢い。
なかなかに手ごわい方です。



■『携帯小説』
気だるく目覚めるヒロインの朝。彼女にはルームメイトがいる。それは日常生活のサポート的存在。棘がなく滲み出るルームメイトへの感情は、家族間での穏やかな刺激のようにも映る。
時間という概念ができてから、必ず訪れる曜日という順番。一週間のルーティン。仕事を持つ人間だけでなく、誰しも思うウィークデイへの苦楽な感覚。ああ、そういうのありますねえ。日常生活のパターンがある程度決ってくると、時には変化や刺激も欲しい。そうして取り入れるのが音楽である。よく分かります。心の癒しや栄養にもなる。
サニーデイ・サービスやはっぴいえんど、私もよく聞いていました。どちらかといえば後者をよく聴いた。ねっとり倦怠感のある音とひなびた歌詞が新しい感じがとても好きです。はっぴいえんどの歌詞の話は始めると止まらないので…w 音楽のはなし、あかん脱線するので。
書かれた文の奥に忍んでいるものを感じさせる。ヤマダ先生の文章の魅力はやっぱりこれだと思います。本作でもそれは変わらず。二日で作ったのが、早いか遅いかは私には分からない。けれどこの作品、決してうすっぺらいものではないと感じました。最終的に見えてくる叙述トリック感もあっさりと嫌味がなくて好感が持てます。
前半の書き込みから後半の抜けて行く感じは、気になるほどではありませんでした。
さてそこで、ヤマダ先生の作風だんだん把握できてきました。これからの執筆どんなふうに作品を読ませてくれるのか楽しみなところです。文芸作家さんの中には作風を変えて連載できるという強者もいるので、機会があれば挑戦してみるのもいいかもしれません。と無責任なことを投げ言ってみる。



■作中印象深かった箇所
・ちょうど疲れが出てくる水曜日が一番ダメ。
あと二日あと二日あと二日あと二日。中日の重さが伝わる。
・彼女の言うことはすべて正しい。
無機感。良い。



■おまけ(あくまで文芸作品から受けるヤマダ先生の印象)
ご本人のツイートで創作物から見える人物像について触れられていたので、ちょっと触れてみる。
・日常で観察するのが苦にならない→細かいことに気が付く、執筆での描写力
・人が心地よいと思うことを理解できる→共感を得る文作り、音楽作りでも大事
・自分なりの法則を持っている→執筆での個性


挙げてみて思ったけど、どの作家さんにも言えることだったw



以上この作品に関する17日更新分の感想はここまで。