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「蒼海のライジングサン」   ヤーゲンヴォルフ 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17772

今回二作目の感想。
一日に二作更新してくれるあたり、感想役立てられているよう?
嬉しいです。
この企画、どちらかと言えば作家さんむきなのはたしか。
お役に立るよう、ほどほどに頑張る次第です。
私ごときでいいのかな~?的な感、あるにはある。
作品感想を更新するのが前後しましてお待たせしてしまいました。
それでもお待ちいただけて作家さんの温かさ、身に沁みます。



■各話ごとの感想

・とある少女の思い出
開国後、百年以上経つも平穏を得ない大天照帝國内、みすぼらしい奉公少女は孤独に荒んだ街路を行く。
出だし。空の情景に好感が持てます。この作家さんの出だしの良さは異常。
掴みが良い。導入の引きずり込まれる感じが心地よいです。題材は戦争という重いモチーフなのに魅了される文を書いてくれる。
少女の首に巻かれた国旗がとても鮮明に浮かび印象的でした。それがあるだけで温かい気持ちになれる。

・空飛ぶペンギン
1~3
優秀な爆撃機乗りではあるが爆撃下手の企鵝隼人(きがはやと)。同胞の死に自身の不甲斐なさを覚えるも、転属が決りあれよあれよと事が運ぶ。
機体の着艦シーンの描写がぞくぞくしました。生死を分ける空母への着艦。動画でみるとよく分かるのです。興味のある方にはぜひ一度動画を探してみて欲しい。
今回最後のシーンもニヤニヤしました。
ヤーゲン先生、硬派な作品書くけど、女子好き、ですよね。


脱字
巨大あるが→巨大であるが



■今回更新分までの総括的感想
ヤーゲン先生の文に随分親しんできたおかげでしょうか、本作、ヤーゲンシリーズではやや軽いめな感じがしました。しかし押さえるところは重く押さえられていた気はします。世に渦巻く絶望感の描写は好印象。大天照帝國はいつも根底にある舞台。作家さんの個性的な世界観がすっかりなじんでいるので、物語にすんなり入っていけます。そういう意味では、今までのヤーゲン作品にふれていない読者には少し不利かもしれません。戦争、ミリタリー系が好きな方には間違いなくお勧めできるでしょう。でも作品削除されるかもしれないので保存はお忘れなくw
ジャンル的にこの方の他に右に出るものが現在文芸界隈では見当たらない。それだけに貴重。ましてこれほどの文章力もなかなかない。今のところ不動でしょうか。
以前、個人的な感想を差し上げたときに、人物像について物足りなさを述べたことがあります。本作においてそれは感じられませんでした。主人公、企鵝の像、良いと思います。同胞の少女への思いやりとさり気ない上から目線、同胞の不虜の死への思いや、転属への募る不安感やいじけ方などよく書かれていると思います。そういうところから、この人物の表情(眉の動きや口端の歪みなど)が見えてきて好感が持てます。意図して作家さんそうしているのかは分かりませんが、伝わってくる気がしました。
これからの連載に期待を寄せるところです。頑張ってほしい!



■作中印象深かった箇所

・人間は地に足を着けていなければ生きていけない。
格言です。空を思い描くと同時に突きつけられる現実。それを忘れてはいけない大事な一文。
・「一生懸命」
国旗にあるの、鮮烈。美しい。
・ガンガンガン
ブリキ系の金属を貫く音、良い。一文に組み込まれていて緊迫感を感じさせないところが、この段階で後々の虚を突かれる効果を見せてくる。


以上この作品に関する17日更新分の感想はここまで。


       

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