7月1日更新ニノベ作品感想


★7月1日更新ニノベ作品感想

更新は5作品。
作品数こそ多くないですが重量級。
1つは完結作品、もう1つは長編作品、そして新連載。
「稲妻の嘘」は前回感想から最近まとめて読んでいました。
そんなに感想を待たせないと思います。
「力を持ってる彼の場合は」は途中(第七話くらい)から読んでない。
かなり話数ありますねw
内容確認もふまえて第一話から再読みします。
感想執筆まで待たせるとおもいます。なるべく早くしたいですね。

例によって例のごとく。
感想更新前に作品がageられた場合、その作品への感想更新を控えます。
次の更新を急がれる方。作品ageたいけど感想を読みたい方は連絡ください。
コメント欄でも、twitterでもかまいません。

読めた順に感想を書いて更新していきます。
今回の感想対象作品は以下。

「稲妻の嘘」
「力をもってる彼の場合は」
「ソナタ」
「素晴らしき世界」
「欠けた天使の与能力(ゴッドブレス)」




「稲妻の嘘」   顎男 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17543

完結作品です。感想書くのはこれで3回目。
良すぎる作品を褒めるのは嫌ですね。
私の語彙では語り尽くせない良さが、その作品にはあるからです。
良さが知りたければとにかく読め。これで良い。
読んだ者がその良さを感じればいい。
まあ、褒めちぎることと、感想を述べることはまた違うでしょうから。
ここではあくまで感想です。
悪いところを一生懸命みつけようとした。けどな。
憎ったらしいかな隙がない。顎男先生の本作はそんなんです。
感想更新まで時間かからないと思いましたがそうでもなかったw


前回、「顎美がんばるけど、しんどいぞ~」のところまで感想書いていました。
長くなるので今までのあらすじは省きます。過去感想を参考にしてください。


■各話ごとの感想
第三部
・第一話 奴隷船
ザルザロスこと狭山は、過去死の淵に立つ過酷な30日賭博を真嶋慶とともに生き抜いた過去を持つ。そのとき狭山は生の重さを知ったろうか。その後彼が真に追ったのは生と死はたしてどちらか。
口当たりの良い菓子を安に与えない姿勢のザルザロス(狭山)が魅力的に映る。すでに死んだ身、幽霊の世界でありながら、勝負の中で生き抜くこと、頭(自力)を使う基本的なことを求めるザルザロス。未熟者を捻りあげる姿はどこか手厳しい親父のようでもあり、裁きを下す審判のようにも感じられた。

・第二話 わたしはあなたが嫌いです
主の慶を欺きザルザロスに勝負を挑むエンプティ。そんな彼女を無敗のフーファイターはせせら笑う。
物語を読んでいると、いつの間にかその話の先を読もうとしてしまいます。そんなことしなくていいんですが、悲しい性でしょうか。誰でもあると思います。読み手としては「やっぱりそうきたか」ばかりが来ると作品への残念な気持ちがつのります。
ですが、たとえ先が見えた(可能性がいくつか考えられる)話でも作家が魅力的に書いてくれたり、意外性を盛り込んでくれると、確実にその物語の世界には引き込まれます。
エンプティの勝負は私にとってそういう期待を持たせてくれたので目が離せませんでした。

・第三話 わたしはまがいもの、こころ亡き偽者
シャットアイズのセオリー。定石にのっとるか破るか。ザルザロスとエンプティは睨み合う。
ここでもやはりザルザロスはエンプティを捻りあげる。分からないやつには分からせる。そういう姿勢に好感が持てる。無駄な意地悪をしないこの男、生粋の悪者ではではないでしょうね。
勝負のルールを馴染ませながら物語を進めていく。一読で内容把握できる優しい計らいを感じます。好印象です。

・第四話 微温い男、微温い女
ザルザロスの言葉はエンプティに突き刺さる。しかし彼女は足掻きつつもみっともなくもまだ挑む。
弱者を相手にしたときの強者の出方。慶も狭山も違う姿勢で違う結果を招くけれど、根っこはどこか似ているように感じられる。二人の弱い者に対する行動に善し悪しどちらもない。違うという差異だけだと感じました。
自分で考え自分で動くことの意味。それこそが本物であるという慶のエンプティへの言葉も印象的です。

・第五話 お前の番だぜ
「消えてなくなれ、狭山新二。」真嶋慶はザルザロスに宣告する。腹の探り合いこそが二人の対話か。
ザルザロス(狭山)のしゃべる口から唾が飛んでくる気配を感じました。あとはただ息をのんだ感じです。

・第六話 愚策
先手有利を捨て対峙する真嶋慶。ザルザロスは考える。
ザルザロスが巡らせる思考から、どれほど彼が真嶋慶を見てきたのかうかがい知れます。進行する勝負にはもうエンプティの影はない。あったことすらなかったように描かれている。ザルザロスの表情が明るく生き生きと見える気がしました。

・第七話 あれから
奴隷人形はどんな時でも本来勝負を見ることしかできない。だからこその見えない勝負の行方なのか。
そして読み手も。
……。

・第八話 獣に訪れる運命
これでよいのかわるいのか。答えはその場にいる者の数だけあるのだろう。
強敵がいることの幸せは、口にするとその良さが薄れる気がします。勝ちえたときの喜びは、同時に強敵を失った喪失感も運んで来る。勝つものは失うことへの強さもいるのだと認識させられます。
灰がこんなにも美しく儚い、けれど重たいものだったとは。感嘆です。

・第九話 真夜中に太陽、永遠の時針
幽霊客船アリューシャン・ゼロの甲板。一機の天使人形と豪奢ないでたちの銀の女はいた。
続編に期待。
顎男先生が生きながらえてくれるよう祈ります。南無~



■総括的感想
作品雰囲気としては重たい。しかし暗いとは思わなかった。重量感があって読み応えのある作品ではないでしょうか。単行本発売したら、私はおそらくこの作品も買うでしょう。電子書籍では買いません。
まあ、勿体ないですね~。こんなに高密度の力作を無料で読ませるの。顎男先生は執筆苦しかったようです。創作活動は気力体力要りますが、これだけの作品を書いてくれるなら、きつさも理解きるというものです。ですが、本作に代わる幽霊賭博師の物語を誰が書けるか。そんな者文芸界隈で誰もいないでしょう。だからそういう意味でも高く評価するところです。あくまで個人的にですが。
ライトノベルでは括りきれない、文芸的な要素が感じられる部分もあり、内容は濃かった。
登場人物の内面深くまで掴ませ、その心をなぞり、絡め取らせるに読ませてくれました。人物たちの機微からしぐさまで描写は鮮やかで、置かれている場面、舞台でよく映えていたと思います。絵になる場面が本当に多かった。
作中でピンと張りつめる緊張感、意識の駆け引きに手に汗握る感覚があります。心揺らされ泣きたくなる感覚もあります。しかし堪えます。それは他でもない真嶋慶の魅力が読み手に堪えさせる説得力を持っているからではないでしょうか。主人公が与える態度や姿勢の強さではないかと思いました。真嶋慶は背中から眺める姿がかっこいい男。そんな印象でした。台詞でもいいこと言っていましたよ。けれど台詞はどの人物にもそれにあった台詞の魅力として私には映りました。
また、登場人物たちは亡者や幽霊という身でありながら、作中きらきらと血をかよわせるように生きていた。作家によって生かされていた。生きている人間と何が違うのだろう。何も違わない。彼らは生々しく生きているではないか。それを証拠に心があり、肉を喰らうではないか。消えれば彼らは連鎖の糧になるではないか。なんて説得力のある世界観でしょう。これも素晴らしかった。
文章の技術的なことに関しては、作家として顎男先生の文は卓越しているでしょうから申し分のないところです。私ごときが言えたもんじゃない。卓越という言葉が正しいか分からないけど、確立された自身の文章に、しっかり手綱さばきができているのではないでしょうか。だからこそ走りこむほど騎手だって疲労するのでしょうね。
物語全体でみると、前半ずっしりと読み込ませる文章が多かったのですが、後半に行くに従い、徐々に読みこませる文に変化が見えてきました。重量級作品でありながら読む側は疲れません。かといって単調さもみられないので、終盤へ向けての読み手の誘導がとても親切でした。読ませたいことのさじ加減と、読み手を引き込み続ける作家の上手な誘導の優しさはいつもと変わりません。
勝ち負けの中で通わせる心のやりとり。勝負だからやりあいなのだけど、殴り合いでわかる互いの性分ってありますよね。そういうのが勝負ごとに感じられていてよく書けていると感嘆します。繰り返しますが素晴らしかったです。本作の魅力は賭博だけではないので沢山の読者に読まれて欲しいと思いました。
読後の余韻にいつまでも浸りたい。おすすめの作品です。
続編じっくり待つとしましょうか。
ここまでの完結おめでとうございました!! 
お疲れ様でした。



■作中印象深かった箇所
・亡霊戦にも朝は来る。
重い描写からふっと息が抜ける瞬間。気持ち良い。
・てめぇの頭からひねり出した言葉なら、どれでも正解になるのにな。
「ヒント下さい」これ私嫌いです。「わかりません」「しりません」よりもっと嫌いです。考えて意思を持つこと放棄しているアツ…アキラみたいなガキンチョにはビンタします。
・「俺はお前を、憶えておけない」
この言葉すら覚えていられない前提が含まれている儚さを感じる。深い。
・焼けつくように、涙が痛む。
美学的表現です。涙が痛むんです。涙が。涙に痛覚があるんです。顎男先生がそう書けばそうなんです。
強烈。



以上この完結作品に関する感想はここまで。



「ソナタ」   三浦 作
http://lapluie.kumogakure.com/novel.html

もうここでの感想はお馴染みな三浦先生の作品です。
感想日程のたびに更新がくるのも頼もしい。
群像作品として大長編になるのではないでしょうか。
前回の更新で透輝大学病院編が終わりました。
今回から新しい舞台となるもよう。
大風呂敷回収に期待が高まります。



■各話ごとの感想
ブラックモアズ編
・第六十四話 プロローグ①
針入高校番長の鉛邦弘と暴力団組織片倉組の娘・菖蒲は許嫁の関係にある。しかし菖蒲は反発していた。
あまやかな思い出に浸る菫さん可愛いですね。ヘンテコ眼鏡の奥の美が映えます。
菖蒲が連れてきたというカレシにも相当笑えます。落としどころを押さえている。サクッと切り崩す毒を吐く返しが魅力的で面白かったです。このカレシ、今後も出番ありますよね。

・第六十五話 プロローグ②
師匠のもとへ訪れた光。場をわきまえず膝をつき三つ指を揃えた。彼女の願いはただ一つ。
なんだかんだいいつつも、双子愛なのか。なにか深い気持ちがあるのですね。
おそらく透も光と似たようなことは考えるような気はします。双子なので。
今までの物語を見てくれば、それだけ彼らは時間を共にしているから、光の考えを「よし分かった」と透は受け入れるんでしょうか。先手を打った光の行動を知ったときの透のふるまいに期待したいところ。

・第六十六話 プロローグ③
ホテルの一室で起こる殺し屋家業の現場。仕事を終えた二人はすっかり人間らしい顔をしていた。
男女が初めから敵対関係にあったのか、やや描写からは分かりづらいと感じました。
銃が発砲され混戦してUSBを探すまでの描写も台詞と地の文が立て込んでいて分かりづらいです。
登場人物、榎本さん名前の感じが難しい。何て読むのでしょう。稀に登場人物の名前難しい。
アル、笑った。
トリカブトで寿司。どんな?w


■今回更新分までの総括的感想
更新を急がれたのでしょうか、最新話にやや読みで分かりづらい箇所がありました。感想企画はあと3ヶ月あるので焦らなくても大丈夫かと思います。
始まりとしては、やはりプロローグですね。何かが動き始めるのだろうという気配がうかがえます。ただうかがえるだけなので今後に期待というところでしょうか。不穏な、闇の怖さを感じる出だし。裏社会に生きる者の生き様もテーマになってくるのでしょうか。
風呂敷を閉じていく課題もあるので、執筆には今まで以上に精力のいることだろうと思いますが頑張ってほしいです。
ここまでくると登場人物紹介のページ嬉しいです。ブラックモアズ編の人物紹介も楽しみにしています。
コメント欄で各話にタイトルが欲しいとあります。
これあると私も個人的にも助かります。作品をプリントアウトして読むとき、タイトルを各話ごとに打ち込まなくていいので。


以上この作品に関する1日更新分の感想はここまで。



「素晴らしき世界」   ヤマダ=チャン
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18040

ヤマダ先生の新作、でよいでしょう。
以前「愛と笑いの夜」に更新されていた作品の独立連載。
ファンタジー作品ということでどんなものが来るか期待していました。
私のラノベの原点はファンタジー作品にあります。
ヤマダ先生のファンタジー、見せ方にとても興味があります。
どんなふうに読ませてくれるのでしょう。
お手並み拝見。



■各話ごとの感想
・00.無題
五年の南北戦争に打たれた終止符は、新たな戦乱の幕開けとなる。ヴァットル王国騎士団一番隊隊長は勝ち戦の宴を眺めるが気分は浮かない。
この部分、前に感想書いていたので省きます。

・02.開幕
1~3
とある元傭兵の屋敷で起こった悲惨な事件。主と家政婦が惨殺されていた。
惨殺後の血肉によって汚れた家屋内。もっと悲惨さがドーンとくる感じが欲しいと思いました。捜査する者の目線で冷静に描写がされている。絵としては想像に安く、丁寧な文からの理解は可能です。しかし対するヨシュアのほう。もっと気が狂いそうな気配が欲しい。そうでなければここに綴られていたような殺され方は生き生きしないだろうと思った。猟奇的なものへの恐れ、トラウマみたいなものにぐっと心掴まれたいと感じました。娘の様子までもどこか説明的すぎる気がして、勿体ない。
バラバラ以下の下りにも、謎かけのようなものを感じるのは魅力的です。ここでの僕は一体何者? 気になります。

・03.娼婦
流れ者なのか、仕事を探していた男は運悪く娼館でのいざこざに巻き込まれる。
いや~、さすがにここだけでは正直何とも。男何者だろう? というぐらいでしょうか。
しかし変わらず文章良いです。「青春小説」とはジャンルの全く違った作品で、だからこそ今後どう読ませてもらえるか楽しみにしておきます。



■今回更新までの総括的感想
個人的には描写力を高く買っている作家さんの一人です。
今回の更新ではまだ物語の序盤。作品の雰囲気や世界観、その感触を探るように読ませてもらいました。
ひとことでいえば悪くない。
現在七瀬先生が連載中の「翼竜憑きの蔑称」、和田先生の完結作品「ドラゴンズペニス」よりは文体からくる作風はややかため。とはいうものの読みやすいです。
個人的な好みとしてはもっと重厚でガツンと書きこまれたファンタジーであっても構わない。しかし重厚すぎるとニノベでの連載を危ぶまれるでしょうか。ガツンとこないけど現状のこれでも決して悪くはないと思いました。どう書くかは書き手次第でもある。
冗長に思わせるくらい書いてくれてもいいのだけど、そうするとニノベでコメントもらうのは難しくなりそうですね。ハイファンタジーは文芸向きか。
一話ごとの文量も多くないので読みやすいと感じました。
今は様子見の読み手が多いのかな。もっと話数が進めば感触も見えてくるかもしれません。
まだおすすめには至らないので、見守りの段階。頑張って欲しいです!


以上この作品に関する1日更新分の感想はここまで。




「欠けた天使の与能力(ゴッドブレス)」   滝杉こげお 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17573

感想何回目だろう。
もう憶えられないですねw
滝杉先生も感想日程によく更新してくれる頼もしい作家さん。
作品自体の更新の勢いは早くないけれど、こつこつ型でしょうか。
よいと思いました。



■今までのあらすじ
天界から地上での暮らしが始まったアーエル。しかしそれは前途多難。はやくも慣れない人間界でのルールにいともたやすく躓く始末だった。



■各話ごとの感想
前回、第八話の更新番号1まで感想を書いていました。
第八話 打算×純真
2~4
助けてくれた少年の家で再び目覚めるアーエル。少年の母が作った手料理の意図をはかろうとする。地上での生活、彼は生き抜いていけるのか。
虚言癖。そうみえますね。笑います。嘘だろうが本当だろうが、まずそう見えますね。
アーエルのダサさが冴えわたる。面白い。対する栄田少年の無垢さがまた良い。
地上でアーエルの武器?となる能力が登場しました。彼はこれからその能力をどう活かすのでしょう。
栄田少年と何かやらかすのでしょうか。
ボクすげーなアーエルの地上生活、何が待っているのか。今後も楽しみにしたいところです。



以上この作品に関する1日更新分の感想はここまで。



★7月1日更新ニノベ作品全体総括。

今回の感想では作品内での更新分量はさほどなかったですね。
ですが完結作品がありました。
個人的に気に入っていた作品だったので感慨深いです。
一つの作品を完結させるのはとても精神的にエネルギーを使うと自覚しています。
所詮趣味。投げてしまえるような世界に置かれている作品。
作家の勝手で完結が見られないなんて不思議なことではない。
そういう現象には慣れています。
ただ、私は自分の満足として書き手になった場合、完結を目指します。
人様はどうあれ自分の作品への自己満足です。一度公開したなら最後まで見せたい。
評価や感想も完結したときこそ身に沁みる。甘美な味わいとも思える。
持っている作品数は少ないくせに嫌なタイプの人間でしょうねw ゲスです。
実は現在一作品、書き終えている小説がある。
アラが多いので発表は考えていません。もっと寝かせてからにします。
感想企画がすんだら漫画の作画に今以上に専念します。
漫画の更新が安定したらお披露目しようと思っています。
いつになるだろう。

上半期文芸・ニノベアワード選考終わりました。
安定した更新をしてくれる古参作家陣営の力を見せつけられる結果となっています。
継続は力なり。唸るしかなかった感じです。
もっと新都社文芸界隈が賑わって欲しいです。
よくばりでしょうかね。






次回は7月18日更新の文芸作品の感想を書きます。
19日に日付が変わるまでに更新してください。よろしくお願いします。


sage