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力を持ってる彼の場合は
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      『人外』
 文字通り人ならざる者、あるいはモノ。
 発生源は人間の感情、記憶、認識。それらが集積することで共通の像が浮かび上がり実体と化して世界に産み落とされる。
 人間一人一人が持っている想像の力であり、微々たるそれらは集うことによって初めて実像を結ぶ力と成る。曰く『群による想像の創造』、空想の具現化。
 現代科学や法則上で説明できない常軌を逸した事件や奇跡、現象等を無意識的に自分達とは違う性質の存在へ擦り付けていった結果として発生した存在が人外であるとも言える。
 発生源及び発生点が人間であることから、人外という存在にも人間を基準基点とした先天的な悪性と善性が植え付けられているものが多い。それ以外にも、人外が人外たる理由付けとしてこなさなければならない義務、行動も設定されている場合がある。これらは人間が意識せず呼吸して命を繋ぐのと同じレベルの『本能』として潜在している。
 なお、人に害成す人外種を『魔族』、対して人間に友好的であったり恩恵を授けてくれたりする人外種を『聖族』と呼称することもある。
 以下が人外の性質上で区分されている種族の分類である。

   精霊種
 『聖族』に属する。
 大気に満ちる五大属性はもとより、木々や花々にも微々たる力として宿っているのが精霊種。
 基本的には小さく弱い力しか持たないが、これらは数を合わせることで強力な属性を発生させることもある。敵意や害意といったものを根本的に持たないせいでそういった現象を意識して引き起こすことはまず無いが。
 妖精種や幻獣種の呼び掛けに応じて力を貸し与えることもある。
 前述の通り基本は下手をすると人間より弱い種族だが、属性の根源を司っている四大精霊等の特例においては例外として人外勢でもトップクラスの力を保有している場合もある。

   妖精種
 『聖族』に属する。
 低位の妖精種は人間に小さな悪戯をしたり、逆に困っている人を陰ながら助けてあげたりすることがある。
 自然の中で悠々と過ごすことを好み、争いを極力避けたがる種族。故に人間や『魔族』とも積極的に歩み寄ろうと考える者は極端に少なく、閉鎖的な環境を形成する傾向が強い。
 妖精種の固有技能として、“治癒の光”がある。これは他者の傷や怪我を癒す力であるが、これは妖精としての位階によってその力の強弱大小が異なる。止血程度のものから、失った部位を再生させるまで出来る者も存在する。
 自然や大気に満ちる精霊に語り掛けて元素の力を借りる力もあり、これも“治癒”と同様に位階による出力の限界や限度がある。

   幻獣種
 『聖族』に属する。
 人間により神聖なるものや信仰すべきものとして崇められる獣がこれに該当する。神聖でなくとも、人間に好意的な獣種なども含まれる。人外であり、その起源に人型以外の要素があり、人に敵対しない存在が幻獣種として扱われることが多いので括りとしては極めて広義と言える。
 知識があり、思考し言葉を発する者や人型に変化できるものも少なくはなく、一見して幻獣種と見抜くのが困難であることも多い。

   天神種
 『聖族』に属する。
 神話に記載されるクラスでの大規模かつ強力な力を持った聖なる存在。神格を有するこれらは通常人前に現れることが無く、他の人外勢も目の当たりに出来る機会は滅多にない。
 天神種自体、総じて世俗に興味を示さない者が多く、大抵は自らが生み出した空間に引き籠るか、遥か上空から地上を観察していたり、世界を目的も無く彷徨っていたりするのが大半を占めているとされる。
 基本人間には手を出さないが、自らの神格にプライドや誇りを持っている者はちょっとした失言や挙動で腰を上げる面倒なのもいるらしい。

   魔性種
 『魔族』に属する。
 悪魔と呼ばれる存在がおおよそこの種族に当てはまる。人間に悪戯では済まない悪事を働き、詐欺に近い契約を結ばせて人を地獄に叩き落としたり破滅させたりすることに愉悦を覚える非情な連中。
 上位の魔性種になると出自由来の異能力を扱う存在も珍しくはなく、さらに人間にとっては厄介かつ手を焼く相手になる。

   魔獣種
 『魔族』に属する。
 幻獣種と対になる、人によって悪しき獣とされた存在。人間に恐怖や不快感を感じさせる外見をしている場合が多い。
 魔獣獣は大半が人型に変化したりはせず、獣の姿のまま行動するのがほとんど。だが知性を持ち人語を解するのは同じで、おぞましい外見で地の底から響くような声音で理解できる言葉を発する存在は人間へさらなる恐怖を与える要素となり得る。

   鬼性種
 『魔族』に属する。
 大昔からお伽噺や伝承において人を攫い喰らうとされる、忌み嫌われて来た鬼の因子持ちは鬼性種と呼ばれ、やはり人間を害する思想を持つ者が多い。
 全般的に鬼は頑丈な肉体を持ち、傷の再生速度が他より早く、そして身体能力が高い。最上位の鬼は肉体一つ素手のみで下位中位の魔神や天神を相手取れるほどだと言われている。
 神通力と呼ばれる異能力を使え、上位の鬼達は自身の肉体をより強化させたり人に化けたり空を飛べたりすることが可能だという。

   魔神種
 『魔族』に属する。
 魔の神格を宿す神々の総称。このレベルになるともはや人間の退魔師や祓魔師程度ではまるで太刀打ちできない為、もし魔神種が人類を滅ぼすべく動き出したとしたら人の力のみでは勝ち目は億の一つですら存在しない大虐殺が始まる。
 とはいえ魔神種はさほど人間の存在を疎ましく思っているわけでもなく、わざわざ人類抹殺の為に時間を浪費しようなどと考えてもいない。そもそも人間に興味が無い。魔神達にとって人間は路上の石ころ、道端の蟻くらいの認識でしかない。
 
   妖怪種
 日本という国において、説明が難しい現象や事件などを人ならざるモノの仕業として想像を膨らませた結果として生まれた人外らを妖怪種として区分する。これにおいては善悪の区別がはっきりし過ぎている部分があるので『聖族』『魔族』といった大別は出来ない。
 妖怪種の古株は人々に語り継がれてきた歴史が長いものも多く、それだけ畏れが集積されているので人外としてのランクが高い存在も多数いる。

   概念種
 発生、及び存在そのものが特殊なケースの人外。故にこちらも聖魔の大別は無し。
 生きた人間から派生して一時的に成るものや、死んだ人間の無念や怨念から発生するものもあり、基本は人間種から現出するものが大半である。中には人外としての体を持たない思念体のみのモノもいる。
 物理的な肉体を持たない概念種には、“憑依”と呼ばれる固有技能がある。これは肉体を持つ者に取り憑き、自身の持つ特殊な力を授けるというもの。ただし無償ではなく、代償に寿命や贄となる供物などを要求される。力の弱い者はこの要求を断れず、ほとんど強引に代償を支払わされ望んでもいない力を与えられてしまうこともある。



      『異能』
 『群による想像の創造』によって発現する、人々の想いや願いの集約された力。
 多くの人間が『こうでありたい』、『こんな力が欲しい』と求めた力が現実に異能という形で発生する。ただし発生した力が誰に付与されるのかは完全なランダムであり、望んでいた力がまったく望んでもいない誰かに与えられることもままある。
 人の手で扱い切れる範囲の能力がほとんどであるが、稀に人間が扱える限度を超えた大きな力が発生することもあり、暴走して被害を撒き散らすこともあることから人間種の間でも異能の存在を理解している者達が異能力者の暴走を抑制する活動をしている集団もいる。



      『特異家系』
 異能や人外の発生から少しして発生した、先天的に異質な力を持つ一族の総称。
 多くの人々が望んだ願い、願望を一身に受けた人間が『群による想像の創造』の影響によって異能力者へと転じ、さらにその血を分けた子世代へも能力が継承された現象。
 この現象によって後天的付与による異質の力がその一族にだけは遺伝される先天性のものへ変化し、やがて望まれた役割を全うすべくそれぞれの力を研磨し強力な異能力者の一族らが複数発生する事態となった。
 人を害する人外を退治してくれる者を望んだ結果生まれたのが陰陽師(退魔の家系)であり、これが後の退魔一族『陽向』へと発展していく。
 神への信仰、鎮魂、祈祷…地脈に流るる莫大な力の管理・掌握を望まれた原初の巫女はいつからか『神門』という姓を受け、文字通り神域へ届く力を守る門番としての役目を遂行し始める。
 『神門』の力を死守する守り人の護衛、またその力を補助的に押さえる東西南北の四方を司るかの者は、神成る門を四方位に散らした門によってその力の逆流や暴走を抑える『四門』として特異な力を宿す一族と化した。



      『具現界域』
 人間が多くの想いや願いによって生み出す現象を参考に、人外が自分達の願う共通の理想郷を思い描き具現化させた世界。一つの世界を強引に割り裂いて発生させる人外の為だけの空間。
 その世界に住まう者達の願いの総量で具現されている世界で、個々の力を少しずつ掻き集めて構築と維持を続けている。
 妖精種や精霊種、幻獣種らが住まう『妖精界』や、悪魔や魔獣の根城である『魔界』、天神種の住処となる『天界』等が存在する。
 人外が人間種の持つ『群による想像の創造』のシステムを模倣して編み出した『具現界域』を、退魔の家系である『陽向家』はさらに自分達の力で扱えるように再現し整えた。これは人間界の一部をそっくり写した仮初の世界を作ることで強大な人外との決戦の場として利用する『具現界域・模界』として歴代陽向家の人間達の間で使用されている。

       

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