Neetel Inside ベータマガジン
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2015年 2月 肉オフレポ
いしまつオフレポその②レポ

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<わかりやすい前回までのあらすじ>
・柴竹くんはガチムチだった(not黒髪美少女)
・ニトロ氏はいい人っぽかった(not龍が如く)
・僕は泣いた(柴竹くんが美少女じゃなかったから)

 HEYエリッサ、こいつはどういうことだい?
 なぁに、ディック? 血相を変えて。一体どうしたっていうの。
 どうもこうもないさ。ネットで知り合ったカワイコちゃんと実際に会ってみたら、そこに現れたのは肩幅の広いナイスガイだった。信じられるかい?
 あっ、あたしそれ知ってるわ! NEKAMAって言うのよ。日本のトラッディッショナル・インターネット・サホーの一つね。
 うるせえファッキンクソビッチ。そんなことは問題じゃねえんだよ。大事なのはな、結局カワイコちゃんなんて最初から存在しなかったってことだ。なあ、持て余したこの俺のPASSIONはどうすればいいんだ? 胸に抱いたTOKIMEKIは? 股間で出番を待っていたSAMURAI-SWORDは?
 TUMA-YOUJIの間違いでしょ。
 シィィィィィィィィィイイィイット!
「いしまつさん、行きますよ?」
「アッハイ」
 かくして我々は合流し、最初の目的地に向かったのである。
 10分くらい、迷った。


 僕が東京を訪れた目的は今回のオフ会以外にも色々あるのだが、その中でも、「うめえメシを食う」という項目が割と高めの優先順位に設定されていた。どのくらい高めかというと、今回のオフ会とどっこいどっこいくらいである。そのくらい日本のメシはうめえのだ。
 待ち合わせ場所から徒歩十五分(うち迷った時間十分)。メインストリートの二本ほど裏手、ビルの地下にある小さな食堂街に、その店はある。
 伊藤 銀座店。
 赤羽に店を構えるラーメン屋「自家製麵 伊藤」の銀座支店にして、世界的にも有名なグルメ格付け本「ミシュランガイド2014」の一つ星に輝いた名店である。
 出されるラーメンも普通じゃない。具はネギのみ。チャーシュー無し、海苔無し、味玉無し、メンマ無し。麵とスープのみで勝負するという、今時ストイック極まりないメニューである。こいつぁ行くしかあるめえと、一ヶ月前から決めていた。
 テーブル席が空くのを待つ間に、食券を購入。大きさは小中大の三種類があり、僕と柴竹氏は中を、ニトロ氏は小をオーダーし、さらに、店のもう一つの名物、卵かけごはんを三人とも購入する。
「楽しみっすねえ」
「楽しみだねえ」
「いやあ、楽しみだ」
 自己紹介もロクに交わさぬまま、ワクワクしながらテーブルで待つことおよそ5分、いよいよそいつはやってきた。
 運ばれてきた大ぶりの丼。中のラーメンは、事前情報どおり、麵と具と、申し訳程度のネギという、限りなくシンプルなパーツで構成されていた。さらに、スープの量すら普通のラーメンと比べてかなり少ない。せいぜい通常の六・七割くらいの量じゃなかろうか。スープの浅瀬からこんもり顔を出す太めのストレート麵は、艶々と照り輝き、いかにも食いでがありそう茶褐色のスープからは湯気と共に濃厚な魚介の香りが立ち上り、我々の胃袋を暴力的に刺激してくる。 
 よし、食うぞ。食わいでか。
 各位、拍手のごとく胸の前でバシンと手を打ち、よーいドンで箸を取る。麵は丼の中央に半球状に盛られており、崩しながらスープに絡ませ、啜っていくスタイルのようだ。つけ麺とラーメンの中間とでもいおうか。ともかく麵をほぐし、最初の塊をズルッと一口。
「おお……」
「これは……」
 柴竹氏とニトロ氏が、同時に唸る。僕も唸る。
 見た目から、二郎系ラーメンやつけ麵のような、もちっとした感じの歯応えを予想していたが、まったく違った。確かに存在感はあるのだが、噛むたびにプツッ、サクッと心地よく切れ、ほぐれていく。はてこの食感、何かに似ているような……しばらく思案して、はたと思い至った。
 これ、蕎麦だ。しかも、十割蕎麦。
 そう思ってみてみると、角が立った麵のフォルムも、少し黒みがかった色も、どことなく蕎麦を思わせる。粗引きの表面はスープとよく絡み、プチプチと弾ける心地よい食感と爽やかな小麦の香りが鼻を抜ける。
 スープは魚介。わずかな苦みと深いコク。油っぽさはそんなに感じない。味は濃いが、その分スープを少なくしてバランスを取っているのだろう。
 麵とスープ。たった二つの要素が絡み合い、絶妙なバランスで手を取り合いながら、口の中でハーモニーを奏でていく。う、うめえ! うめえよこれ!
 夢中で食っているうちに、卵かけご飯が来た。名前に反し、サイコロ切りのチャーシューがゴロンゴロン乗っている。贅沢極まりない。
「うおお、これなら全然余裕で毎日食えるっすよ!」
 そういいながらかっ込む柴竹氏は、これが人生初の卵かけご飯だという。勘違いしてはいけない。現実の卵かけご飯はもう少し、いやだいぶ貧乏臭いのだぞ。そう考えると、最初にいいモン食わせすぎちまったなと、別に必要のない心配をしてしまう。確かに美味かったのだが、個人的にはやはり、肉なしでシンプルに食うタイプの方が好きかもしれない。チャーシュー丼の亜種と考えたほうがよさそうである。

 ともあれ完食。スープは飲むまでもなく、麵を食べたら大部分が無くなっていた。ここでも店主の卓越したバランス感覚が垣間見える。計算高いというか、なんというか。
 ラーメン中と、卵かけご飯、二つあわせて代金は千円こっきり。コスパも考えると、とんでもなく満足度は高い。ミシュラン一つ星も納得の素晴らしい名店だった。
 以上レポっす。

       

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