かちゃり、と掌の中で牌を握り締める。
どの選択肢にも、真理がある。正答や誤答などは赤線を引いたくらいで分水嶺ができるような浅瀬にはない。
確信がある。
この一枚が、決着を呼ぶ。
――慶には、勝算がある。
それは直感と言ってもいいし、紙に書き出せば単純明快な確率だったのかもしれない。しかし、計算式では絶対とは言い切れない何かを、慶はいま、感じていた。
絶対に引く。
必ず――……
ゆえに。
慶は念じて、五枚目の牌を切った。
もう微笑は見せない。
死人らしい冷たい顔で、慶は山から牌を引くまさひろを眺めた。
重い水の中をかき進むようにゆったりと動くその腕が、一枚の牌を掴む。
そしてまさひろは、六枚目の牌を見た。