Neetel Inside ニートノベル
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稲妻の嘘
ちょっと休憩――顎君のおしゃべり

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 と、言うわけで『稲妻の嘘』。
 第一部と第二部、お楽しみいただけたでしょうか。
 いやあ、それにしてもこのコメントの少なさは・・・・もちろん、一個でもコメントが来る限り戦い続けると言い張ってきた俺ではありますが・・・
 ・・・・ゾクゾクしてきちゃうよね!


 そんなわけで、一応、ここまでが第二部となります。
 久々のギャンブルもの(壁の中の賭博者を除けば)です。
 俺が最後に書いたマトモなギャンブルものといえば『あの世横丁』とか『シマ、黄金の指』以来でしょうか。
 ずいぶん久々でカンが鈍ったような気もしますが、イロイロ読んでベンキョーした成果ってやつが出てたり出てなかったりすると思います。
 某感想企画でもツッコまれてましたが、『あの世横丁』と設定が似ている、というのは意識してます。
 ほっとくと消えちゃう幽霊賭博師とか、魂貨に対応する脂貨などが登場するあたりですね。
 といっても焼き直しというわけではなくて、真嶋慶は門倉いづるとはかなりタイプの違う主人公になってます。
 いづるに似ているのは第一部のボス、セルディムですね。
 うじうじ悩んで自分に自信を持ち切れないところとか。

 この『稲妻の嘘』は、俺のギャンブルシリーズということもあって、過去作品のオマージュ?みたいなのを組み込んであったりします。
 セルディムがいづるに似てるのは、よくよく見れば真嶋慶が馬場天馬や黒鉄鋼に近いキャラ造形であることから、他作品の主人公の『ドリームマッチ』的な要素もあったりなかったり。
 べつにむかしの話を読んでなくてもオーケーです。というか、ほとんどみんな読んでないと思うし。初代仮面ライダーみたいなものだしねぇ、シマウマシリーズ。

 休憩地点として書いてる稿なので、第一部と第二部のおさらいでも。


              『空中散歩』


 第一部のギャンブル『空中散歩』はギミック一点勝負のお話です。駆け引きとか特にないよね。
 なるべく軽量化して、ダラダラしたくないギャンブルを書きたかったので、あっさりとエスパーみたいに真嶋慶が真相に届いていますが、それはまあ、御愛嬌。
「お前の気持ちになったら分かった」っていうのは、結構重要で、人がエスパーじみるための最大の要件であると俺は思ってるんだけど、あんまり漫画的な派手さはないよね。
 もともとミステリの『足跡トリック』とか読んでて「いいなぁー」と思って考え始めたギャンブル。
 俺はどんな作品でも『第一部』は綺麗にまとまっていないとイヤなタイプで、たとえば『シマウマ』だったら天馬がシマ嬢にピストルを口に突っ込まれるとこで1セット、『黄金の黒』だったら最初のタイトルマッチ戦で1セット。
 そんな感じでまとまってなきゃダメだと思うから、第一部は限界ギリギリまで骨抜きしました。なんか「あーっ」て思ってるうちに終わるよね。あーって。
 ・・・・ちょっと情報が多すぎる小説なので、分かんなくなったら第一部を読み直してね、というコトなんだけど、再読してもらうのは難しいよねえ。
 俺は『再読される価値があるものこそ本物』、と思ってるんだけど。本棚にも再読したい本しか詰めない。
 ま、あまり反響はなかったけど、絵描きの賭博師セルディムのキャラ造形とか、ブタになったバラストグールが燃やされちゃうところとか、勝ったらエンプティが褒めてくれるところとかは自分で結構好きなところ。
 最後のワンピース少女を眺める真嶋慶は何を想うのか。




       『第二部 シャットアイズ・VSまさひろ』



 久々に再登場! 麻雀牌。
『壁の中の賭博者』が牌をいじる描写の肩慣らしに書かれたものだってハッキリわかんだね。
『シマウマ』は「タァン!」とかで誤魔化せたけど、文章圧を増して海外翻訳っぽく連打型にすると擬音入れると浮くから難しいのよ・・・という愚痴があったり。ラノベがいいよほんと。ラノベ最高。

 シャットアイズは「カードゲームかよ」とか言われてマジ凹みしたんだけど、まあ、そんな感じだよね。
 でもちょっと前に『レギュレスの都』で、「炎とか出すだけじゃつまんないから、炎の鳥とか氷の牛とか形を与えて視覚情報を増やした」って言ってたのと同じで、シャットアイズに魔物の絵が彫られてるのはカードゲームオマージュというよりも、読み手の視覚へ補助効果を求めた必要性から。かなーり分かりにくいけど。

 ゲームとして面白いか、どうか。
 どうだろうねぇ、という印象。やってみればクソでもないんじゃない?とは思うけど、まァレートが乗らないと燃えない類のゲームではあると思う。レート乗せれば楽しいんじゃないかな。指とか腕とか。でも最近は血の出るギャンブルって怖いよね。おれやだな。
「肉体って邪魔じゃね? 信念にとっては」というのも、俺が幽霊賭博師を書く動機なのかもしれない。
 それはともかく、『シャットアイズ』は来た手牌の中から一番いいのを出してくだけになりやすいから、まあ、鷲巣麻雀が実際にやるとツモ麻雀化するのと同じで、お話だから許してね?って感じ。鷲巣麻雀は神ゲーであるというよりも、『神ゲーになる瞬間が通常の麻雀よりもより一層輝く』、という点が素晴らしいと俺は思う。あの麻雀は本当にいろいろイマジネーションが湧く。

 カードではなく牌を扱っているのは、第三部で予定しているゲームが牌を扱わないため。
 俺は『稲妻の嘘』を最後のギャンブルにする予定(たぶん)なので、記念に最後に牌の描写を書いてみようか、ぐらいの気持ち。
 あと、シマウマを書いてた頃から「麻雀は小説化するのに労力が大きすぎる。なにか、簡易麻雀のような小説に相応しい題材が必要」という自分自身からの要望に応えた形。俺もいろいろ考えてるみたいよ。
 最近の『壁の中の賭博者』も同じ動機からゲーム作りしてましたね。あれは麻雀が分からない人でも簡易な要件だけ分かってくれれば、ぐらいの気持ちでのほほんと書いたんだけれども。樹畑、意外と人気で驚いた。

 で、第二部の主人公ともいえる『まさひろ』について。
 彼はもともと噛ませ犬の予定で、慶が負けるのは決まってたんだけど、一度、全面改稿した。
 具体的には、初稿ではまさひろの席に慶が座ってて、慶の席にまさひろが座ってた。
 つまり、打牌をそっくり交換しました。
 元々は主人公の打牌なんだからまさひろが主人公っぽくなるのも当然?かも。

 初稿のまさひろはもっとヤラレ役っていうか、端役っぽかったんだけど(なぜなら慶に六打真牌をやらせて負けさせたかったから)、第二稿(新都社版)のほうが好き。家族関係こじれてるところとか、ちょっと天馬に似てるよね。
 でもま、俺はサブキャラの方が好きなので、テコ入れで強化。『あの世横丁』のヤン君と似たような出世の仕方ですね。
 本名は棚橋真弘。真の字がかぶっちゃうのと、「ひろゆき」オマージュでひらがな。なんだかんだ福本漫画はスゲーよ。

 シャットアイズは、細かいルールはともかく、『六打真牌』みたいな、「やりたいこと先行」のギャンブルです。まさひろ戦もそうだし、このあとやるのも多分そう。
 俺は『正しい勝ち方、必勝法』を求めてギャンブル小説書いてるわけじゃなくて、『俺の思い通りにするため』だから、優先事項が理屈に合ってない。だからそれがイヤって人は、俺の小説は読めないと思う。そういう意味では詐欺だよね。変顔もあっと驚くどんでん返しもないし、あったとしても全部俺の精神論の補強なんだもの。
 でも俺はこういうの好きだし、『シマウマ』の頃から『あの世横丁』を経て『黄金の黒』へと至り『天敵』で引退を考えながらも、形になりつつあるこの『稲妻の嘘』が好きなのです。
 改題するけどね、たぶん。第三部まで辿り着ければ、真のタイトルに俺と読み手は辿り着けるであろう。アーメン。
 ・・・・・いるよね、読者?
 顎美、がんばるけど、しんどいぞ~・・・
 たのしいけどさ。

       

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Neetsha