Neetel Inside ニートノベル
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何度か聞いた甘い絶叫。ただ、今回は一味違かった。現在進行形で潮を吹き、両足どころか全身が痙攣を起こし、涎まで垂らすという醜態を晒した今回のターゲット。無理もなかった。これが初めての経験だからだ。
「そろそろ頃合いか」
上半身の痙攣がおさまった頃に心音、脈を確認する。ちなみに下半身は未だに痙攣を起こし、潮吹きシャワーは終わっていない。
「……大丈夫。死んでいる」
「惨いのぉ、こんな娘に……」
「その惨い死に方を彼女に押し付けたのはあなただろ?じいさん」
指扇と喋っているのは60を越えたであろうおじさんと、おじいさんの中間にいる、所謂おっさんだ。
「まぁ、それもこれも彼女の家族のせいでもある」
「正当化か?」
嫌味のこもった口調だ。ただ、じいさんと呼ばれた彼は一言だけ答える。
「そうかもしれんのぉ」

小春の痙攣がおさまった頃に、じいさんこと、下部直助は少女の様子を見ながら指扇に聞く。
「お前さんの暗殺術……あまりにも特殊過ぎんかねぇ」
「あぁ、"昇天術"のことか?」
「その昇天術について詳しく聞きたいんじゃが……」
指扇は少し悩む様子を見せるが、澄んだ瞳を下部に向けながら答える。
「昇天術は名前の通り、相手を天に昇らせる業だ。そして、その方法は快楽によってだ」
「快楽……か」
「あぁ、メカニズムは簡単だ。人間の絶頂時に心臓へある程度の負担がかかる。有名なのは、一度の射精での心臓への負担は100メートル走を全力で行った時と同じ。という話だな」
更に話は続く。
本来ならばこの程度の心臓負担では死なないように人間の体は作られている。だが、特殊な条件下ではこれで人が死ぬこともある。
「要するに……テクノブレイクという奴じゃな」
「まぁそうだな。だが、これはたまたま持病を持っていて、たまたま発動する。そのたまたまを必然にするのが昇天術だ」
まず、テクノブレイクの原理。これは、血液の送りすぎによる動脈瘤の発生。そしてそれが破裂することによって血液が大量に漏れ意識を失い、死に至る。他にも色々あるが、これが一番わかりやすい。
「そして昇天術とは、興奮状態をあらゆる手段をつかい変幻自在に操る奥義だ。今回彼女に使ったのは、マッサージによる心身の安定、執拗なストレッチによる筋肉の衰退……そして、昇天術の一番の特徴が、"快楽秘孔"の存在だ」
秘孔。それは所謂"ツボ"のことであり、医学的にも知れ渡っているだろう。
だが、これは健康促進だけでなく、内部からの肉体破壊。身体能力の上昇。拷問にも使われたのは有名な話だ。そして秘孔の数は数百、数千と言われている。
「今回彼女に使ったのは、あらゆる感覚をなくす秘孔"否感孔"それと対をなす、あらゆる感覚に敏感になる"絶感孔"そしてあらゆる性感帯の快楽を溜め込み時間差で発生させる"遅孔"の3つだ」
これを組み合わせることによって彼女に人間の限界を超える快感を与えたのだ。
「そして興奮、及び絶頂によって心臓の鼓動は一層速くなり送られる血液の量も尋常なものではなくなる。そしていずれ内側から……ボン!だ」
「昇天術……なるほど恐ろしい暗殺拳だな」

       

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