Neetel Inside 文芸新都
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LOWSOUND 十字路の虹
26 Live

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 記録的な猛暑が続き、ライブハウス・パセティックで観客が熱中症でぶっ倒れる中、アン部長はようやく重い腰を上げて、合同ライブを開催した。〈クロスロード・レインボウ〉〈サドン・テンペスト・オーバードライブ〉、〈ザ・ストリート・フラッグス〉、部長の弾き語り、あと他の大学生とか近所の人とかのバンドが二、三出演するということだった。マリアは、エリザベス・マスターズ、ロレンスとプリシラ、陰謀団のバルクホルンとエリクソンなどを呼んだ。練習は三回くらいやって、毎回歌メロやテンポが違うということに気づき、しかしそのままやろうということになった。
 週末、ノレッジスタジオはがんがんにクーラーをきかせているが、それでも人が多すぎ、暑かった。
 〈クロスロード・レインボウ〉の出番は一番最初だった。開始時間が来たので、ステージの上に上がって、覚えている限り歌って、歌詞が出てこないところはただマイクを持って立っていてやり過ごした。他のメンバーはいつもどおり淡々と演奏した。MCはやらなかった。ジャックのギターは相変わらず音色が気持ち悪かったが、ノレッジスタジオが導入してる結界でだいぶ減衰し、少しは聞きやすかった。カレンはいつも通りルート音だけをものすごくつまらなそうに弾いていた。唯一、アーシャだけは楽しそうにしていた。終わった後マリアは、控え室で休んでいて、店長から清算で呼ばれるまでそうしていた。呼んだ客に対して挨拶をするなどといったことはなく、他の出演者の演奏を聞こうというつもりにもならなかった。若干の赤字は出たが、そこそこ客を呼んでいたのでかなり少なく済んだ。終わった後入り口付近で、コリムの音楽に精通してるとか言う人が、プログレについて延々知ったかぶって話していて、ジョセフィンほどではないが邪魔だった。
 打ち上げなどはしないで、早々にマリアは一人で立ち去った。帰り道も暑かった。

       

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