「アンダーグラウンドワーキング」感想 和田駄々

 初手先輩からの無茶ぶりは、お題である電池に対して主人公が考察を広げるきっかけとなるギミックと、先輩のミステリアスなキャラクター演出の両方の役割を担っており、物語の圧縮に大きく貢献している。
 掌編を書く上で、省略と圧縮のテクニックはほとんど必須といっても良いくらい重要な物なので、この使用方はお手本的でもある。
 また、テーマとしても示される人間の電池というフレーズは、ややブラックな印象を与えつつもその実爽やかな意味合いを内包しており、これが心地の良い読後感に貢献している。
 台詞運びも地の文も、簡潔ながら不足はなく、メインディッシュの奇妙な恋愛観を、108の婚前契約と言った語感で上手く表現している。
 よく出来ていたと思います。生きて動くチョコレートの次は狛犬鍋かな? 看板73枚進呈。