Neetel Inside 文芸新都
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ブラッディ・パレット
ニューヨークという名のパレット

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~ニューヨーク~

1910年代のニューヨーク

社会というものが存在する以上、表と裏がある
コインの表は裏が地面についているからこそ成り立っている。
故に裏がなくては、表は存在できないと言っても過言ではないだろう。
アイルランドマフィアはその数を減少させていた 元々は先に移住していたイギリス系からの差別に対抗するため形成された組織だったが
時代が進むにつれ、アイルランド系はまっとうな職業に就けるようになっていった 時代が最早マフィアを必要としなくなっていたのだ
だが、それに我慢が出来ない者たちもいた。本作品で取り上げるマクベス・ファミリーがその一例である。
マクベス・ファミリーを束ねるジェイソン・マクベスは苛立っていた。先祖が大事にしている縄張りに、イタリアンマフィアが入り込んできたのだ。
とは言え、マクベスも生まれながらの人種差別者ではないし、元からトラブルを背負い込むような好戦的な性格でもなかった。
そんな彼が本格的にイタリアンマフィアを嫌いだしたのはレストランでのある一件がきっかけだった。

いつものように彼が友人のロバート・ウィルソンのピザ屋でポテト・ピザを食べている時だった。
イタリア系のチンピラが突如店で粗暴な振る舞いを働いたのだ

「クァ~ マッズイねぇ~~~~ 上質なピザにこんな腐った土の味しかしやがらねえポテトを載せるなんてイタリア料理舐めてンだろぉ?」
「おい、このエセピザ野郎。てめぇ ロクにピザのこと知らねェ薄汚ねェアイルランド豚の分際でこんなピザを客に配ってンのか?
 アァん? イタリア料理を侮辱しやがってピザに土下座して謝りな」

ロバートはそんなつもりはなかった 
彼らがイタリア料理への侮辱と罵るポテトピザはロバートなりの温かい想いの込もるピザだった
彼としては、土木現場で下積みをしていた頃、仕事帰りに食べていたイタリアンピザが
あまりにも美味しくて そのピザへの恩返しのために作ったピザだった

マクベスもそんなロバートの想いを知っていたし、アイルランド系の彼が本場イタリア系のピザ店に
負けないように苦労をしてピザ屋を発展させたのを見ていた。そのために援助金を出したこともあるし、
ロバートも踏み倒すことなくコツコツと援助金の返済をしてくれている。

そんなロバートのピザを侮辱したイタリアのチンピラ共にマクベスの怒りが爆発した。
先ず、ポテトピザを踏みつけたチンピラの肩を後ろから叩き、振り返りざまにその鼻っ面に拳を叩き込んだ。
倒れ込んだ衝撃でテーブルを壊さないように、チンピラはほぼ真下にたたきのめされた。
そして、唖然とするもうひとりのチンピラを便所の窓から放り投げ、外の路地裏のゴミ溜めに顔を埋めさせた。

逃げ帰ったそのチンピラ達が、逆恨みでイタリアンマフィアにそれを報告したのが事態をややこしくする原因となった。
それ以来、マクベスの心にはイタリアンマフィアへの負のイメージが定着してしまった。
そして、それは同時にこの街をイタリアンマフィアのような余所者連中から護り抜かねばという信念へと繋がることとなる。

       

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