Neetel Inside 文芸新都
表紙

ブラッディ・パレット
パレットの上の絵の具たち

見開き   最大化      

~パレットの3つの絵の具~

一見するとこの街では単純な対立構図が展開されているように見えた。
イタリアンマフィアとアイルランドマフィアの対立というガキでも分かるような構図だ。だが、実際はもっと複雑だった。
話をすると余計に複雑になるのでシンプルにまとめるが、イタリアンマフィアの中で細胞分裂が起こっていたのだ。
フォルコーネファミリーと、カスティーリャ兄弟の争いだった。

前者のボスであったサルヴァトーレ・フランク・ファルコーネは典型的なシチリア系マフィアだった。
彼の祖父の代から続くファルコーネファミリーは、いずれシチリア人が世界を支配するという野望を本気で抱いていて
彼もその例外では無かった。他の出身のイタリア系をあくまでも二番手。
いずれ、シチリア人が世界を支配した時の奴隷とはいかないまでも、まあ手足程度には使ってやろうという考えの持ち主だった。

当然、ファルコーネファミリーの考えは他のイタリア系の反感を買っていた。
皆がその反感を表向きに出さないのは、ファルコーネ家が地元シチリアではかなり名の知れた一族だったことが原因だったが
その反感が祖父の代から何十年も続けば、やがて表立って言い出してくる者も出だすのが世の定めだ。
カスティーリャ兄弟はナポリ出身のイタリア系で、他の出身のイタリア系の若者たちを束ねてファルコーネのやり方に歯向かう肝の据わった集団を形成した。
ただ、最初の内は同じイタリア系ということもあってファルコーネファミリーとは
アイルランド系関連の揉め事ではちょくちょく手を貸すこともよくはあったが……
近年ではファルコーネ関連の揉め事でカスティーリャ兄弟もアイルランド系の若い連中たちと手を組むことも多くなってはきている。


ややこしくなったのでもう一度纏めるが、
この街は現時点では【マクベス、ファルコーネ、カスティーリャ兄弟】という三つ巴が展開されている状態だ。
【ファルコーネとカスティーリャ兄弟】を【イタリア系】として区分する、
すると、【マクベス対イタリア系】となる。ここまでは、単純な対立構図だ。次にイタリア系を細分すると、【マクベス対シチリア系&イタリア系】となる。
つい、10年前まではまだまだ理解しやすい対立構図だった。 ここ5~6年でややこしくなるが かなり強引に纏めるならこうだ。

【マクベス&イタリア系対シチリア系&イタリア系】

このイカレポンチが何を言っているんだと言われても仕方ないが出来ればこれで観念して欲しい。出来の悪い脳みそなりによくは考えたつもりなんだが
この街で過ごせば 大体俺の言わんとしてることは分かってもらえる筈なんだ。
組織がある以上、派閥が出来るのは避けられないことだ。そして、その派閥が
敵に対し攻撃的な派閥と、敵と歩み寄ろうとする穏健的な派閥が出来る。これも避けられない。今のイタリア系がまさにその状態なんだ。

前者の【マクベス&イタリア系】については、後者ほど表立って多くない。理由が先のロバートピザ屋事件の禍根があるせいだろう。
だが、この禍根をいつまでも引きずっているのはしているのは古い世代がメインだ。新しい世代は、そんな昔のことどうでもいい状態となっている。
このマクベス&イタリア系の派閥にいたっては、利害関係で歩み寄っている連中が多かった。
今の時代、誇りや選民思想で動くべきではないし、利が得られるのなら歩み寄りも必要という考えがあった。

後者の【シチリア系&イタリア系】については、前者より圧倒的に多かった。だが、これも同じく古い世代、あるいはファルコーネ側の人間が多かった。
こうして両者を見比べてわかるように、シチリア系はアイルランド系のマクベスと決して歩み寄ろうとはしなかったし、その逆も然りだった。


長々と下敷きを話してすまない。
今から話す物語は そんな複雑な街で生まれ育ったアイルランド系のモニカ・マクベスとシチリア系のディオ・ファルコーネ、
そしてイタリア系の俺アルフォンソ・カポネの物語だ……

人種やら一族だのややこしい話を抜きにして
ともかく これは女と男の物語だ……
いや、どっちかって言うと……一つのパレットに乗った3つの絵の具の話って考えてもらった方がわかりやすいかなぁ
1つのパレットを共用する3つの絵の具の行く末って言うのを語って行きてぇ

口下手の俺だから果たして上手く話せるかどうか分からねぇが そこは勘弁してくれ
じゃあ 始めるぜ












       

表紙

バーボンハイム 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha