26 希望の崩壊、崩壊の始まり

異変が 起こっていた
十六夜部隊がマゾホン少佐とンマー少尉を暗殺したというのに一向に敵は報復行動に出てこないのだ。
あの血の気の多い丙武軍団を相手にしている以上、小隊長、中隊長クラスの幹部2名を殺るとなれば相応の報復を覚悟していた。
もはや、トレイシーフォレストには敵兵一人すら居なくなっていた。
にも関わらず、敵陣は未だ存在している。
セキーネもディオゴも突きつけられた戦況を前に一時はトレイシーフォレストからの 撤退を考えた。だが、敵陣が存在する以上、いつ丙武軍団が攻め込んでくるか分からないこの状況で撤退は有り得なかった。
セキーネもディオゴも部隊をトレイシーフォレストに潜伏させる決断を下した。
ようやく霧が晴れた某日、森上空に
巨大な飛行艇が出現する。ゼット将軍が指揮する飛行部隊であった。
「魔の森よ 清めの油を受け取るが良い」
飛行部隊の出現と同時に、可燃性のオイルの雨がトレイシーフォレストに降り注いだ。

「この時を待っていたぜぇぇえ 我慢汁の限界ってヤツだぁぁあ・・・」

丙武は砲撃隊隊長アレッポ率いる砲撃中隊に爆撃命令を発令した。

可燃性のオイルを被ったトレイシーフォレストが砲撃による爆発がトリガーとなり、燃え始めるのに10分とかからなかった。火は炎となり、炎はやがて火災旋風となって森を蹂躙し始めた。今回の作戦の目的は火災旋風によって森に潜伏している兎人族の一掃だけでなく、Gスポットの一掃もその一つであった。Gスポットは木が生い茂る場所でしか発生できない。故に蹂躙された部分に出現すること能わず、焼け跡にはGスポットは存在できない。
これが丙武の前進経路となった。
「突撃だぁー!!ジビエ共をぶっ殺せぇーッ!!」
焼けた木々の灰が粉塵となって飛び回る焼け跡を丙武軍団が突き進む姿はまるで地獄の使者の訪れのように
禍々しく 血に餓えた食人鬼のような飢餓を催させる光景を作り出した。
長きに渡る鉄壁の防御線で苦渋を味合ってきた丙武軍団の突撃は 土石流の如く歯止めの効かぬ猛攻となっていた。堪えに堪えてきたその鬱憤が弾け飛んだ軍団の猛攻は怒涛の一言に尽きるもので、その様は土石流の如しであった。ただでさえ万全の状態で臨んでも死闘を強いられる程の丙武軍団に死傷者を抱えた兎人軍が勝てる筈もなく、彼等はトレイシーフォレストならびにコネリ一高原からの撤退を余儀無くされた。この日をきっかけに、兎人軍によるアルフヘイム北方戦線は崩壊の一途を辿っていくのであった。もはや、聖地ブロスナンの陥落は目前となっていた。