Neetel Inside 文芸新都
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黒兎物語
60 スーパーハローワークの闇

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ゲオルク達が逃がしたフローリアからの避難民は東方のイーストウッド港からSHW(スーパーハローワーク連合国)へと向けてアルフヘイム大陸を脱出する。SHWが避難民を受け入れることに同意したのも、SHW副社長デスク・ワークが避難民を労働者として迎え入れることを条件に掲示したからである。
(デスク・ワークめ・・・避難民を使って何を企んでいる?)

スーパーハローワーク副社長のデスク・ワークはハイランド王国にアルフヘイム防衛の依頼を発注した男、つまりゲオルクの直接な雇い主だ。
スーツ、セーター、電化製品、オートマチック自動車といったモダンな物を好む大社長ヤン・ウィリーとは正反対に ターバン、マント、骨董品、マニュアル自動車といったアンティークな物を好む風変わりな男で、常日頃から満面の笑みを絶やさない人当たりの良さから表向きの経営は実際のところデスク・ワーク副社長が担当している。だが、裏ではラギルゥ一族と甲皇国との闇取引の仲介人をしていたり、最近ではミハイル4世を通じて最重要機密事項の案件を請け負っている等々・・・黒い噂の絶えない人物でもある。
(奴が仏の心でフローリアの避難民を受け入れたとは到底思えない。だが、仮にそうだとして現時点でこのまま避難民を受け入れる安全な国があるのか・・・このままフローリアに残れば丙武・メゼツ軍団による虐殺とレイプの応酬が待ち受けている、かといってアルフヘイム国内はどこもかしこも戦場だ。甲皇国などもっての他だ。乙家のジーンに掛け合う手もあるが、丙家の連中が台頭している今の甲皇国では無理だろうな・・・となれば 消去法でSHWしかない。)

ゲオルクとしては、苦渋の決断ではあったが雇い主の意向に逆らう訳にはいかなかった。とは言え、マイナスな訳ではない、SHWに逃げ切ってしまえばディオゴもセキーネ達を追えなくなる。雇い主であるセキーネの依頼は遂行できるというわけだ。

(セキーネ王子・・・マリー王女
無事に逃げ延びてくれよ・・・)
ゲオルクは信頼できる部下のゴンザに彼等を無事にSHWに送り届けるように命じた。ゲオルクはその想いを胸に、フローリアを決戦の地とすべく着実に花を添えていくのだった。

       

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