Neetel Inside 文芸新都
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黒兎物語
62 悪魔の微笑み

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フローリアの農業魔導士によって
同地全域に広がった森林地帯は地獄の湿地帯と化していた。魔導士が精霊樹の根元に貯蔵されていた地下水を元手に森林地帯に水をバラまく、そうするとフェラチオしてた女のロから余った精子が溢れるかのように余った水が鉄砲水のように噴き出し、進軍する甲皇国軍を呑み込んだ。
その威力たるやメゼツが強化兵の他に率いていた機械兵をも押し流す程の威力だった。 当然、甲軍国軍もレイプされる女のようになすがままにされていた訳ではなく、中には泳ぎが得意な兵士も居たし、強運で何とか漂流物などにしがみついて生還したものもいた。だが、そういった連中は水というフィールドを得たガザミ達 蟹人族、ピラニアやサメ型の魚人族、ワニ人族、水牛族等々によって水中へと引きずり込まれ、ものの数秒で肉の破片にされた。
部下達が足元で次々と肉片にされていく中、メゼツはその強靭な腕で近くの木々のツルに捕まっていた。
「逃がすか 半裸野郎!!」
ディオゴ達 黒兎人族の兵士達は
木々の枝々やツルに飛び移り、メゼツを追撃していた。黒兎人族と言えど、水中に落ちれば一溜まりもない。水中に潜む同胞である筈の・・・中でも、魚人族やワ二人族達は同じ獣人族であろうが 一旦獲物に食らいついたら骨も残らぬ程の食の亡者達だ。3m近くのライオンもものの数秒で平らげてしまう。
そんな一歩間違えれば即あの世行きの状況下で、メゼツを追撃する黒兎人族兵は2個分隊規模(約20名程)の精鋭部隊で構成され、1分隊長にディオゴが、2分隊長にヌメロがつく形であった。ヌメロ率いる2分隊はラディアータ教の武僧達で構成されており、身体中に魔文字の入れ墨を掘り刻み、それを媒体として手のひらから光速の弓矢を放つ狙撃部隊である。
「放てッ!!」
放たれた弓矢は鉛筆程のサイズの小型なもので、実体を維持できる時間が極めて短いものである。故に放たれた直後は威力は最大であるが徐々にその威力を失なっていく難点のあるものであるが、その反面、手のひらをかざして発射の意志を示すだけで発射が可能な程 機動性に優れており、弾数は無限で次弾発射も容易である。いわば光のマシンガンと言ってもいい。その弾速たるや、兎人族の素早さでも回避は困難とされる程のものだ。
だが、メゼツはその光の矢を完全に見切り、道行く木々の枝々やツルを手当たり次第に掴んではそれを起点に飛び跳ねて回避していた。
「バカな!! 光速のマシンガンだぞ!」
ヌメロはメゼツの超人的な回避能力に驚愕し、背骨が凍りついた。
気など全くといっていい程休まぬ戦闘の中、ヌメロの思考はひたすらメゼツの力に対する自問自答を濁流のように繰り広げていた。
(これが人間の動きなのか・・・? いやっ・・・奴のこの動き・・・日々の訓練や体力錬成などで培われたナチュラルな動きなどでは決っしてない!!
科学という魔物に魂を差し出し、人間の叡智を踏み越えた者の動き・・・!)
「ヌメロ様!!」
「ハッ!」
決っしてヌメロとて気を抜いていた訳ではない。動体視力能力の高い黒兎人族の中でも、群を抜くヌメロの目は確かに光の矢の暴風雨をかいくぐるメゼツを捉えていた。だが、ほんの一瞬の内にメゼツはヌメロの面前まで飛びかかっていた。
「何っ!?」
両の手の甲に備えた鈎爪を盾に ヌメロはメゼツの突撃を防ぐ。
「ぐッ おッ!!」
メゼツは自身の身の丈より長い大剣の斬撃をヌメロの鈎爪に叩きつけた。衝撃を受けたヌメロの身体は背後の木々を粉々に砕き散らしながら吹き飛ばされた。不幸中の幸いかヌメロは叩きつけられた大木がクッションとなり、水中の魚人族達の餌食にならずには済んだ。 だが、ヌメロは叩きつけられた衝撃で全くといっていい程身体が動かなかった。
「ケッ、薄汚ねぇ たかがちっぽけなクソウサギ共が・・・ウサギはウサギらしく洞穴で縮こまって震えてりゃあいいものを・・・夏場の蚊蜻蛉みてェにちょこまかと動きやがって・・・!!」
これ程の足場の悪いフィールドで
瞬きする暇さえ与えぬ程の素早い敵兵達に囲まれ、追撃されているというのに悪態をつく余裕が このメゼツには確かに在った。
無駄だと分かってはいたが、ヌメロ達の分隊員達は間髪入れずに光の矢を飛ばし続ける。だが、その矢の中をかいくぐり、まるで空中で回るコマのようにメゼツは大車輪、宙返り、回転といった動作で矢を回避しながら突撃した。
「ハッハァアー!! そんなタンカスみてぇな弓矢を何万本も飛ばせば この俺に傷の一つでも付けられるとでも思ったかー 劣等蛮人共ぉォオォッ!!」
兇気に溢れた雄叫びをあげながらメゼツはヌメロの分隊員達をあっという間に切り刻んでしまった。
「やめろォオオー!!」
ヌメロはただ目の前でスライスされていく部下達の肉片が水中へと落ちていくのを見送ることしか出来なかった。
「ヌメロ・・・さ・・・ま」
ヌメロは確かに聞いた。肉片となろうとも、隊長である自分を呼ぶ部下の声を・・・!!
「うおあァアあっ・・・!!!!」
日頃感情を露わにしないヌメロは
この時 初めて泣き叫んだ!

「・・・ケッ たかが虫螻の亜人ごときにも感情はあるんだな」
その悪態をつき終わるのを待たずに
ウイングブレードを翳したディオゴが飛びかかってきていた。
「ヌ!」
すかさずメゼツはその大剣でディオゴを防ぐ・・・!!
その衝撃がメゼツの足元の切り株に伝わり、大きくひび割れを起こす。
「たかが虫螻の人間ごときにも力はあるんだな・・・!!」
互いの刃を散らしながら、ディオゴとメゼツは睨み合っていた。両者はこれまで直接衝突したことは無かった。よってこれが2人にとっての初戦であった。
「・・・てめぇか コルレオーネとか言うゴミウサギは・・・」
「・・・おまえだな メゼツとか言う
クソ人間は・・・」
面識は無かったものの、互いに双方の噂は聞いていた状態であった。
「会いたかったぜぇ~~・・・コルレオーネさんよォ~ てめぇがレドフィンっつークソッタレのレッドドラゴンを匿ってるって耳にしたモンでなぁ~」
かっと目を見開らき、メゼツはディオゴを問い詰める。
「何のことだかさっぱりだな・・・どこでそんなデマを?」
ディオゴは余裕をかまそうとしたが、あまりの力に思わず冷や汗が吹き出した。
「・・・てめぇがそれを知ることは無ぇ・・・永遠にな! 」
メゼツは悪魔のように裂けた口元で笑うのだった。

       

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