優一の前に現れたのは、昨日の夜に会った黒服の男だった。
「あっ…あなたは…」
「まだ、飴玉を飲み込んでいないようだね?」
「たっ助けて下さい、俺…このままだとあいつに本当に殺される!!」
優一が黒服の男にすがりつき言った。
「それは出来ない」
「えっ?」
「能力者同士の闘いに僕は介入する事は出来ないんだ…」
「能力…者?」
「そうさ…この危機を乗り越えるには自分の力で立ち向かうしかない…
その飴玉を飲み込むんだ!」
「えっ…飲み込むとどうなるんですか?」
「君が理想としていた自分になれる」
「おい!!黒服!!」
今が優一と黒服の男の会話に割って入った。
「何だい?」
「飴玉を飲み込もうが飲み込むまいがこいつを倒せばちゃんと経験値は加算されるんだろうな?」
「あぁ…もちろん」
「ふんっ」
そう言うと今崎は再び優一に向かい歩を進める。
「さぁ…もう彼が迫って来ている!!早く決断を!!」
優一がうろたえる。ポケットから飴玉を取り出す。
「もっ…もうどうにでもなれーー!!!!」
優一はそう叫ぶと飴玉を口に放り込むように飲み込んだ