Neetel Inside 文芸新都
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「そんな慌ててさ、毎回授業真面目に聞いてくれてるし
なんかあったんでしょ、行っといで」
「えっ、でも」
「この前のリポートよく出来てたし
いつも熱心に授業出てるからこの時間だけ出席ね
あ、でもほかの先生の手前あるなぁ。うーん」
「今日も1日の最後、小テストありますよね?」
「うん、あるよ」
「昨日、予習したんで、それで埋め合わせしていいですか?」
「あーなるほど、その手があったか。わかった」

温和な先生で助かった
「ありがとうございます、事済ませてすぐ戻ります」
「うん、あ、廊下は走らずにね」
「はい」

教室を先生の見える廊下まではゆっくり走って
見えなくなるところから
また走りに走った

そんな焦らなくても飛んで逃げるわけじゃないけどさ

‥‥ん?何だろ、あの子‥‥何もんだよ

何かに気づきかけたけど、走ってて忘れてしまった
変わった心境で屋上の階段を駆け上がる

古いドアがキィ、と軋んだ音を立てて呼び込む

さっきの女の子は同じ体制で待っていた

「‥‥あ、おかえりなさーい」
「ハァ、ハァ、あー!もう無理!」

走りまくって疲れてしまった
屋上で横になる

「ハァ…あんた、何もんだよ、空から降ってくるとか
ハァ…ありえねぇだろ」
「私ですか?私は…」
「あーもー勿体ぶってないでさっさと言えよ!」

屋上で倒れ込む事になるとは思わなかった

「‥‥ん?小瓶?」
薄い綺麗な青色の小瓶が手に当たる
「ヒビ入ってるし、ま、そりゃあの高さだったらな」

今度は女の子の方が服を触って血相を変えて真に駆け寄る

「それ、私のです!帰して!」
「やだ」

小学生の喧嘩のように上手く女の子をかわして小瓶は渡さない

「この瓶、そんな大事なの?」
「大事だから!帰して!」
「そんなに追っかけ回されちゃったら落としちゃうカモ」
わざとらしく小瓶をブラブラと落とす素振りを見せる

謎の女の子は急に大人しくなった
「うん、素直でよろしい
じゃ、そのまま素直に話し合いに答えてくれたら
コレ返してあげる、でもチャッチャとね、俺、時間ないから」

「‥‥はい」
「まず、お名前は?」


       

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