Neetel Inside ニートノベル
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 アルフヘイムのアーミーキャンプはシンボリックな精霊樹の周りを固めるように造られている。そのさらに外周を開拓者たちの町が取り囲こむ。精霊樹の周囲を堀が流れ、外とを跳ね橋一本で繋ぐ。精霊樹は防御魔法によって要塞化され跳ね橋を渡ると、大きく開いたうろには門がはめ込まれている。アルフヘイム本土の大都市、セントヴェリアを一回り小さくしたような造りだ。木を城に改造するのは、エルフが古代、樹上で暮らしていたころの名残りなのかもしれない。
 メゼツの送った小包はアーミーキャンプ見取り図のみホロヴィズに届いた。そのため獣神帝の勢力については棚上げされ、先にアーミーキャンプ攻略が行われることになる。軍縮条約が有効な間に奇襲攻撃をかけ、電撃的にアルフヘイムの牙城を抜き、ミシュガルドの支配を確立。これがホロヴィズの青写真だった。
 ホロヴィズは総司令部司令室で意気揚々と作戦計画を練る。
「歩兵が樹海を通り接近し、密かに荷揚げした攻城砲をアーミーキャンプ近辺の森に伏せておく。森がいつでもエルフだけに味方するわけでないと思い知らせるのだ」
 秘書シュエンはすぐさま仕事にとりかかった。
「素晴らしい。早速計画書に起こしましょう。機密が露呈しないよう、かん口令も敷きます。作戦名はいかがいたしましょう」

「作戦名はエンプレス。作戦開始は2300。突撃開始時刻、翌0400」
 ホロヴィズは息子メゼツに大役を用意した。テレポートで隠密に侵入し、跳ね橋を降ろす役目である。跳ね橋が降りたのを確認したのち、砲兵大隊長アレッポが突撃準備射撃を指揮し、歩兵が跳ね橋から突入する。
 メゼツは仲間たちに打ち明けられず、パーティーを解散するしかなかった。同じ甲皇国人であるアルペジオはホロヴィズの護衛に付くことが正式に決定し、エンプレス作戦には参加しない。昨日の友は今日の敵。共同戦線で獣神帝の勢力と戦う予定だったクルトガたちペンシルズとは敵対することになった。

       

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