Neetel Inside ニートノベル
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「なぜ敵は追撃をせず引き返して行くのだろう?」
 フェアの疑問にコラウドは何も答えない。何かを受信するように北の空を見つめている。
(聞こえるか、コラウド。戦車戦の敗退により窮地に陥ったミカエル4世が私の策に飛びついてくれた。アレをやるぞ。すぐに準備しろ)
「うんぼくわかった」
 コラウドは無限軌道キャタピラのやられた魔力タンクの回転砲塔を指さし、次いで輜重しちょう用の駄馬を指さした。
「そっか、回転砲塔にロープをかけて駄馬にひかせるんだね」
 フェアは同じ釜の飯を食ううちに、コラウドの言わんとしていることがなんとなく理解できるようになっていた。ただのお飾り司令官という考えを改め、奇妙な信頼感さえ生まれつつあった。
 フェアはコラウドの通訳に徹し、敗残の戦車部隊をまとめあげた。そして指示通り駄馬10頭に引かせた現地仕様の魔力タンク5両を北へ向けて動かす。

       

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