Neetel Inside ニートノベル
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 メゼツはおっぱいの上にいた。マン・ボウを跳ね飛ばし、ガザミのおっぱいの上にいた。二つのエアバッグに守られたため二人はまったくの無傷。
「そうか、テレポート! ウンチダスにはテレポート能力がある。ガザミのほうにテレポートしたのか」
「いいから降りろ。このムッツリスケベ!! 」
 ガザミがガラにもなく赤面する。
 メゼツは気を取り直して、再びうんちに対峙する。テレポートをうまく使えば勝機は必ずあるはずだ。



 メルカトルはメジャーを射出し大渦潮からの脱出経路を算出した。
「面舵に最大船速で抜けられる」
「よし!! 面舵いっぱああああぁぁぁぁい!!! 」
 セレブハートは操舵輪を勢いよく回した。客船が大渦潮から離れていく。リヴァイアサンは悔しそうに一声鳴いた。
 マッドペッカーは船を直接沈める策に切り替え、魔法の風力を1段階上げた。マストはしなり、船がきしむ。
 ガザミはマストを力任せに薙ぎ倒した。帆が突風にあおられ吹き飛ばされる。そのまま勢いを殺さずに2本目のマストを袈裟切りに斬る。ちょうど魔物が密集していたところにマストが飛んでいき、4、5匹巻き込んだ。
「やめろ、俺の船だぞ」
「このままじゃ全員おだぶつだ。選べ!! 」
 ガザミの剣幕に押されセレブハートはすぐに決断すると、最後のマストに火薬の入った袋を投げつけ火を放った。
 粉みじんにマストが吹き飛ぶ。マストをすべて失ってようやく客船は安定した。
 策をすべて破られたマッドペッカーは、最後っ屁に客船に一撃すると北の空へ帰っていった。 



 メゼツはうんちの攻撃をテレポートによってかわし続けていた。うんちは突進して、自分の体表に硬化魔法をかける。
「逃げてばかりじゃ勝てないよ」
 うんちの言う通りだった。それに何度かのテレポートでコツをつかんだメゼツは、イメージした場所がテレポート先になっていることに感づく。もうあと1回分しかイメージする集中力が持ちそうにない。
「ヒイイイイイイイイイイ」
 喚きながら逃げまどっているモブナルドの足元にメゼツはテレポートした。かわされたうんちは一旦硬化魔法を解除し、再び突進する。
「もしテレポート先をイメージせずに発動したらどうなるか? 試してる暇はねえ。ぶっつけでいくぜ~。ランダムテレポート!!」
 硬化魔法をかけて鋼の弾丸と化したうんちがモブナルドの足元に突き刺さる。
「母さんが。いない」
 魔法を解除して突き破った舟板からはい出したうんちは、メゼツを探した。左右を見る。いない。上を見るとうんちの頭上にモブナルドの足があった。

 ぐしゃ。

 モブナルドが悲鳴をあげる。
「げーっ!うんち踏んじゃった」
「やったぜ~。これでも勝ちは勝ちだからな」
 テレポート先のおっぱいの上からメゼツは勝ち誇っていた。
「いいから降りろ」
 ガザミがメゼツを振り落とす。
「みごとだ。自分の手は汚さず、味方の足をもって私を倒すとは。完敗だ」
 メゼツは勝利の余韻に浸りつつ、敗者の弁を聞いた。うんちは話を続ける。
「すまなかったね。私は自分の人生に悲観して、どうにでもなれと暴挙に加わってしまった。でもどうすればいい。臭いうんちとして生まれてきた私は。学校で学んでも何も変わらなかった。学校では隠れて便所で弁当を食っていた。私の居場所は便所だけだった」
「わかんね~けどさ。お前が人に気を使って、こそこそする必要はないんじゃね~の。開き直って、みんなが慣れちまうぐらいニオいばらまけよ」
「やっぱりあなたは母さんだ」
 うんちは謎の黄色い液体を流した。どこに目があるのか分からないが、たぶん涙だろう。うんちが仲間になりたそうにこちらを見ている。

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┃>仲間にする ┃→1章へすすめ
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┃ 仲間にしない┃→2章へすすめ
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