Neetel Inside ニートノベル
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 森を歩きなれているラビットが道案内。ダートも老いたりといえどもさすがはエルフでラビットの尻を追いかけている。
 エルフの強靭な身体能力に負けん気の強い皇国人サンリ、スズカもよくついて来ている。
 普段ならばメゼツも競い合いそうなものだが、森の中を盲目で全力疾走すればどうなるかはすでに学んでいた。ウンチダスの体は木の幹に擦った傷や、切り株につまずいてできた傷で赤くにじんでいる。
 ロメオがメゼツをいたわって、最後尾から支えていた。
「何かにおわねえか? 懐かしい、戦場のにおいだ」
「御曹司! 戦争はもう終わったのです」
「そうじゃねえって。こっちのほうからよー、なーんかキナくせーにおいがすんだよ」
 メゼツの指し示す先にはローパーの足跡と、確かに不穏な黒煙が渦巻いている。
「あれはスチームシティですよ。この先にある蒸気を吐き続ける街です」
 サンリが血相変えて引き返してくる。
「大変だ。あの不燃の城塞が。スチームシティが。燃えている」
 ローパーの足跡は途上にあるものを踏みつぶしながら、スチームシティまで達しているという。
 甲皇国の4人はすぐに魔触王の指輪を連想する。ローパーを操ることができる不思議な指輪とそれによって引き起こされた災いを。
 魔触王事変。5年前甲皇国をローパーの群れが襲った大事件だ。当時の大人たちは詳しいことを話したがらなかったが、下ネタ大好きな当時の子供たちの間にも伝聞が広まっている。子供たちは興味本位で調べて、大人の階段を2段飛ばしで駆け上がってしまった。
 迷子のローパー探しがとんでもない事件に繋がってしまった。ローパーの足跡は西へ西へと続いている。スチームシティを越えればその魔の手は甲皇国駐屯所にも及ぶことだろう。ローパーの群れを止めなくてはならない。
「これは我々皇国人とっては命を賭すべき戦いだが、エルフには無関係。ここでお別れだ」と、メゼツはこの件にラビットとダートを巻き込まないことを伝えた。これは甲皇国人4人の総意だった。
「それはちょっと水くさいんじゃないかしら」
 ラビットが短い眉毛をハの字に曲げて言う。ダートもラビットの意見に同意した。
「そういうことじゃ。アルフヘイム人には関係ないというが、そういう君たちだって甲皇国の牢に繋がれていたのに、祖国を救おうとしているじゃないか。わしらは似た者同士じゃよ。今更のけものにしないどくれ」
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