Neetel Inside ニートノベル
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ミシュガルドを救う22の方法
19章 太陽の城

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「新皇帝万歳、新皇帝万歳」
 メゼツの戴冠を喝采する声が潮騒しおさいのごとく響いていた。来賓が次々と祝辞をのべるが、どこか空虚な言葉ばかりが連ねられていく。
 皇帝がころころ変わり、変わるたびにどんどん血統が怪しくなっていった。皇帝の権威などとうに地に落ちていただろう。ほとんどの人間が心から祝福してはおらず、嫉妬か利用対象としてしか見られていない。
 そんな陰謀渦巻く戴冠式において、一番歓喜してくれたのは父ホロヴィズだった。
「皇帝メゼツよ、陛下ならば丙家の悲願を必ず叶えてくれると信じておったぞ。ワシも老骨に鞭打って復職する所存じゃ」
「あんたにはとっておきの役職がある。あんたにしかできねえ仕事だ」
「なんでも申し付けられよ。宰相でも最高司令官でも陛下の下で存分に活躍しますぞ」
「あんたはメルタの父親をやってくれ」
「なんじゃと!? このバカ息子がああああああああ!!」
 ホロヴィズはメゼツの栄達を心から喜んでいたが、要職に返り咲くあては外れたようだ。
 実の父を冷遇したのを見て、丙家でなくても皇帝の恩寵ちょうあいを得られるかもと木っ端こっぱ貴族たちが色めき立つ。玉座にあぐらをかくメゼツの前にうやうやしく進み出ては、自分の名を必死に売っている。どこどこに領土を持つなにがしやら、偉大な先祖を持つだれだれやら。まったく頭に入ってこない。
 メゼツは救いを求めるようにうんちの姿を探した。
「うんち、何遠慮してやがる! そんな後ろにいないでこっちに来い」
 皇帝となったが、メゼツはまだ覚えていてくれた。それをうれしく思ううんちはメゼツの御前にはせ参じようしたが、メゼツを取り巻く貴族の子弟たちによって邪魔された。
「陛下、このような臭い魔物とは今後一切関わらぬほうがよろしいかと」
「貴様のような奴にうってつけの仕事がある。さあ、来い」
 うんちはメゼツから引き離され、憲兵に連行されていく。
 メゼツは遠い人になってしまった。もう共に戦ったり、酒場でくだをまいたり、いっしょに冒険した日々は帰って来ない。うんちは失ったものの大きさからメゼツの皇帝即位を実感した。

       

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