Neetel Inside ニートノベル
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「お入りください」
「失礼いたします。本日は宜しくお願いします」
「では簡単な自己紹介からお願いいたします」
「はい。XXXXです。前職では掘削工事の作業員をしていました。2年ほど前からは現場監督補佐に抜擢され、作業の進捗管理などもやっておりました」
「なるほど。当社に採用を志望される動機をお聞かせください」
「はい。前職で業務や仕事内容を覚えていく中で、現場における後方の生産・供給部門の重要性をひしひしと感じました。プラントにおいて道具や部材が生産されなければ、そもそも足場を組んだり穴を掘ったりすることもままなりません。しかし、実際に現場での作業を通じて感じたのですが、生産部門は明らかにその能力の限界です。熟慮を重ねた結果、現場よりも供給・生産の業務に貢献がしたい。そう考えました」
「ふむ……。生産部門は能力の限界だということでしたが、具体的に何が原因だと思われますか? それをXXさんは当社においてどのように解決していきたいと思っていますか?」
「はい。根本的には生産効率が低過ぎると考えています。もちろん災害による施設の損傷や人員の不足などの問題もありますが、この辺りの環境ではそういった大きな災害は定期的には発生せず、人員供給も比較的安定しています。その証拠に、解体現場では人手不足が深刻化することはありませんでした。生産の業務において仕事がいっぱいいっぱいなのは、仕事の効率に改善の余地があるからだと考えています。前職では現場監督補佐時代、学生時代の心理学研究の結果を利用したメンタルトレーニングや、趣味のプログラミングを利用して業務割り当てや進捗管理の効率を改善するツールを作成し、現場においても高く評価されました。こうした手法は、生産現場においても効率改善に役立てられることと思います」
「分かりました。一応確認しますが、掘削現場と比べて生産現場は環境的に強い外圧に晒されています。それらを防ぐために生産能力を向上させて工場建設をスピードアップしていただく必要がありますが、そういった場所は命の危険もかなり高いです。それでも構いませんか?」
「もちろんです。"おいしいお宝"ある限り、"東西南北""呼ばれなくても参上する"のが我々の宿命ですから」
「ありがとうございました。結果は後ほどメールか電話にてご連絡させていただきます。今日はありがとうございました」
「はい。それでは失礼します」

       

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