Neetel Inside ニートノベル
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 二人がホテルの部屋に入ると同時に、外は暗くなり稲光が周囲と照らす。そしてにわか雨が降り始めた。予報の通りだ。
「凄い雨だー。間一髪だったねー」
 制服を身につけた少女は窓に駆け寄るとペタリと顔をつけて外を覗き込む。
「やめなさい。はしたない」
 男が軽くたしなめると、少女は顔を男に向けた。あどけなさと蠱惑的な笑みが同時に浮ぶその顔は、彼女が少女と大人のちょうど端境期にいる事を示している。
「そんなこと言って、これからあたしにはしたないことしようとしてるのはどっち?」
「なにを言うんだ。私は別に」
「ハイハイ。取り繕わなくてもいいよ別に。あたしは警察じゃないし、おじさんも口うるさい生徒指導のクソ野郎じゃない。そしてここは、雨宿りに立ち寄ったスタバでも喫煙所でもない」
 それに、と小首を傾げて、唄うように彼女は続けた。
「もう、前金は貰ったしね……」
 ドーン、と遠くに雷が落ちる音がした。

 二人は部屋の中心にある小さなベッドの上で向かい合っていた。男は全裸、少女は制服を脱ぎ、下着姿となっている。部屋の大きな証明は消され、常夜灯と外から差し込む僅かばかりの光に二人の裸体が浮かび上がった。二人ともほとんど微動だにせず、ただ時々、男の頭が動きと同時に少女が身を震わせ、時折溜息とも呻き声ともつかぬモノを発していた。雨は激しさを増し、バラバラと窓ガラスを叩く音がサラウンドで絶え間なく室内に響き渡る。
「ま、待って……」
 窓が瞬間的に明滅し雷光を知らせると、少女が呟いた。男の顔を押し留めようとするが、その動きは至極緩慢だ。
「これ以上は、駄目……本当に、駄目なの……」
「ふふふ。まだそんなもの信じてるんだ。可愛いね」
 男は少女の抵抗をものともせずに顔を少女に近付けると、ベロリと舌を出して舐め上げた。少女が小さく呻く。
「全部舐め取ってあげるからね……」
 男の舌がもう一度伸びると、少女の下腹部に触れた。そこに先ほどまであったはずの臍のシワは、ほとんど消え去っていた。
「いや……誰か、助けて……」
 執拗に少女の下腹部に陣取って舌を動かす男の目は、ギラギラと血走って鬼のごとき形相を示している。少女は逃げようとするが、陵辱され尽した肢体には力は入らず、男にとっては抵抗もなきものに等しい。
 稲光とほぼ同時に辺りの空気を震わせるほど激しい雷鳴が轟いた。少女の目には、男の頭に生えた角が見えたような気がした。

       

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