Neetel Inside ニートノベル
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「お電話ありがとうございます、こちらエクストリームピザ極元店でございます」
「もしもし、ピザの配達をお願いしたいんですけれども」
「ありがとうございます。ご注文内容をどうぞ」
「カプリチョーザ、それとプロシュート……あと……クワトロ・フォルマッジ2つ」
「サイズはいかがいたしましょうか?」
「全部Lサイズで」
「かしこまりました。ご注文内容を確認させていただきます。カプリチョーザをLサイズでお1つ、プロシュートをLサイズでお1つ、クワトロ・フォルマッジをLサイズでお2つ。以上で宜しいですか?」
「大丈夫です」
「では配達先のご住所とご連絡先をお願いします」
「あ、電話番号は080-****-****で、場所はちょっと待ってください……(今大丈夫?) あ、えっとすいません、今から3分で持ってきていただくのって無理ですよね……?」
「3分ですか! それは……場所にも依りますけどかなり難しいかと」
「あ、ちょっと待ってください。(なに? え、もう過ぎちゃう? だってさっき……マジか……え、じゃあ次いつ?)」
「あのーもしもし……お客様?」
「あ、はいすいません。さっきと話変わっちゃうんですけど、今から2時間半後に、極元市州足3-2-1まで届けてもらうことって出来ますか?」
「2時間半後に予約ですね。畏まりました」
「あの、きっかり2時間半後でお願いしますね! 結構こっちの誤差も厳しいんで」

 指定されてバイクで向かった配達先は、山道を登った先にあるだだっ広い空き地だった。
「配達先ここで合ってたよな……?」
 手元のメモと地図を確認するが、住所は間違いなくこの場所で合っている。イタズラか……昔はあったらしいけど、実際に遭ったのは初めてだ。
「一応電話掛けとくか……」
 期待しないながらも一応携帯電話をかけると、意外にもすぐ相手が出た。
『もしもし』
「あ、エクストリームピザですけれども」
『あ! 間に合ったんですね、良かった!』
「あの、お持ちしたピザ、どうしたらいいですかね?」
『あ、空き地の中心に置いていっていただければ』
「え? しかしお代は……」
『早く! 間に合わない!』
 怒鳴り声にビビってピザの箱を空き地に並べると、空から光が差してピザを包んだ。瞬きのうちに、4枚のピザは何枚かの札と硬貨、それに1枚のメモ用紙に変わっていた。
『ごちそうさまでした。ワガママ言ってゴメン!』

       

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