Neetel Inside ニートノベル
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『さあ次の種目は、クラス別対抗障害物競走です! この競技ではクラス毎の代表が、特設のステージにて様々な障害を乗り越え、ゴールを目指します!』
 元気のよい会場アナウンスと共に学生たちが入場門よりグラウンド中央の選手控え位置に進んでいく。まだ中学生のようなあどけなさを残す1年生から、教師とさほど変わらない風格を漂わせている3年生まで、各クラスごとに1名、合計12人がトラックの中に並んで座る。
『今回の障害物競走のテーマは『アメ』です! アメに関する様々な障害が選手たちを待ち受けます!』
 障害物の準備が整うと、選手たちはぞろぞろとスタートラインに並んだ。それぞれに準備をしながら集中を高めている。秋空に号砲が響いて競走が始まった。
『さあ、始まりました! まず最初の障害は障害物競走ではお馴染のアメ食いです。選手は手を使えません。小麦粉の中にある飴を顔と口だけで探し当てます。また、ここで使われているアメは通常のアメではなく』
 応援席からワッと歓声が挙がった。一人の選手がアメを見つけて起き上がったのだ。その口にはものさしのように長い棒のようなものがぶら下がっている。
『早速最初のアメ発見者が現れた! 青のハチマキは3組です! ご覧いただいていますように、今回使われているアメは金太郎飴です! 七五三でしか食べられない筈の金太郎飴、高校生で食べられるとは縁起がいいですね! ただし重いのでくわえるのが大変……あっと落とした!』
 選手が慌ててもう一度拾いに行く間に後続の選手が次々追い抜いていく。
『さて次は陸上でも利用されている水場障害です。幅はかなりありますので、飛び越えるもよし、ざぶざぶと足を入れるもよし! ただし』
 一早く突入した選手が足をもつれさせて転び悲鳴を上げた。
『中の水は水飴です! ねばねばして走りにくいぞ! 気をつけろ!』

 様々な甘い障害を乗り越えて優勝を手にした選手の顔は様々なアメで汚れ、べたついており、不快感を隠せていなかった。
『では恒例の優勝コメントをいただきましょう。今のお気持ちをどうぞ!』
「もうアメはこりごりです」
『ありがとうございました! なお優勝しました3年2組には副賞として、アメ玉1年分が送られます! 改めまして優勝おめでとうございます!』

       

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