Neetel Inside ニートノベル
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「全員集まったようだな」
 玉座から立ち上がって首領が声をかけると、前に集まっていた幹部たちが一斉に目をむけた。
「今回全員に召集をかけたのは他でもない。諸君らの多くも知っているように、我々の手のうちににっくき魔法少女が落ちた」
「おおおお!!!」
「これまでの中でもっとも嬉しい知らせだ!!」
 首領の脇に後ろ手に縛られて転がされている魔法少女の姿を見て、一部の幹部から歓声が上がった。残った幹部たちも嬉しそうに顔を緩めている。
「静かに。話はまだ終わっていない」
 首領の声に幹部たちは喋るのをやめて再び真剣な顔に戻った。
「我らはこれを機に一気に畳みかける。そこで、この魔法少女を我らの仲間に引き入れ、新たなる幹部として計画の一端に加えたい。諸君の中に、何かよい知恵のある奴はいないか? どのようにこの魔法少女を仲間とするのがよいか」
「一般的なのは洗脳でしょう。機械にかければ一発です」
 参謀格の幹部がこともなげにそう言うと、「いや待て」と後ろの方から声が上がった。厚い外骨格を身につけた猛将と名高き幹部だ。
「洗脳では肝心な時に解けてしまう可能性がある。それに魔法少女は精神力も強い。機械ごときではうまくいかん」
「ほう、ではどうすればよいのですか?」
「人間共のクソさをこんこんと語って聞かせ、進んで仲間に入れて欲しいと言うまで教育するのだ」
「そんな古びた精神論、今時通用すると思いますか?」
「なんだと!」
「そうよ。あなた分かってない。女の心を動かすのは理想じゃない。愛よ」
 女の幹部が口を挟んだ。
「だから、幹部の誰かに恋をさせればいいわ。あなた、魔法少女にキスしなさい」
「俺が? 俺はこういう乳臭い女は嫌いなんだが」
「つべこべ言うな! 魔法少女と恋をする敵役は実直な猛将タイプと決まっているのよ!」
 女幹部の叫びを皮切りに幹部たちは口々に叫び出した。
「肉体的な改造が良い。肉体が精神を決定するのだ」
「洗脳は洗脳でも機械に頼らずオーソドクスな催眠術を使ってマインドコントロールすれば解けにくいはず」
「憑依させよう。今ある精神を抜き取って別な魔族の魂を入れれば」
「もうやめて!」
 性癖博覧会となった場に少女の悲鳴が響き渡った。
「なります。貴方たちの仲間になりますから、非人道的なことをするのはやめて……!!」
 魔法少女がそう言って泣き崩れるのを見て、首領は言った。
「何か分からんが、結果オーライだ。各自解散」

       

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