Neetel Inside ニートノベル
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二月十日、晴れ
 今日も元気そう。ちょっと忘れ物があって離れてるすきに知らない奴が私の定位置に陣取っていた。すぐいなくなったけど、私の場所を取らないでほしいよね。
二月十五日、雨
 少し元気ない。風邪気味? ご飯はあげたけど薬とかはどうしてあげたらいいのかよく分からない。帰りがけにこないだの奴とすれ違った。この辺に住んでるのかな。
二月十七日、曇り
 会いに行ったらこないだの奴が居座ってる。しばらく様子をみたけどどく気配がないので引き上げてきた。折角元気になってきてるのに、あんたのせいでぶり返したらどうしてくれる。
二月二十日、晴れのち曇り
 今日もいた。早くどいて欲しいのに、30分も長居していた。迷惑なことこの上ない。あんな風にベタベタ触らないでほしい。ストレスになったらどうするの。
二月二十三日、晴れ
 また新しい人が現れた。どうやらあいつに文句を言っているみたい。あいつは嫌いだからどうでもいいけど、ついでにあの子にも敵意を向けてくるのがイラつく。そっちは関係ないでしょ。よく聞こえないけど。
二月二十四日、曇り
 今日もいる。おっさんとおばさんのコンビだ。意を決して近付いてみたら、保護とかなんとか言ってる。動物愛護団体の人なのかな? でも、だったらどうしてあいつはあんなに抵抗するんだろう。
二月二十七日、小雨
 誰もいなくなっていた。あいつも、あの子も。あったのは空っぽの段ボール箱だけ。通りすがりのおばさんが教えてくれたけど、あのおじさんとおばさんは「保健所」の人だったって。「保健所」は動物を「保護」して、殺してしまうって……。じゃああいつはあの子を守ろうとしてたってこと? あの子はどうなったの? もう何も分からない……。あの子に会いたい……。
三月十日、曇り時々晴れ
 あの子を見かけた。あいつに抱かれて幸せそうに鼻を鳴らしていた。嬉しかったけど、もうあいつのものなんだなって思った。私はあの子になにもしてあげられなかったし、あいつがきっと全部矢面に立ってくれたんだなって……。
 ↑書いたあとで、あの子がうちに来た。あいつと一緒に。私を見掛けて後を追いかけてきたんだって……ストーカーじゃん。ていうか、なんで私があの子の面倒見てるって知ってたのか、聞きそびれたし。あの子はすっかり元気で……幸せそうだった。また会えるかなって言ったら、いつでも来てくださいって。ストーカーだけど、やっぱりいい奴だった。

       

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