Neetel Inside ニートノベル
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 屋根裏部屋に開けられた窓から外を見ると、ヤツらが徒党を組んで歩き回っているのが見えた。相変わらずの凶暴っぷりで見つけた人は老若問わず手当たり次第に襲っている。男女も問わないところを見ると知能はやはり低下しているようだ。そもそも知能が低下してなかったらこんな事態になっていないわけだが。
 犠牲者の方を観察していると、最初は「ギョッ」とした顔をする者が多いが、あからさまに逃げだそうとする奴は少ない。一応ネットでなるべく炎上するような感じで2ちゃんねるとかtwitterに投稿したのだが。とはいえ、見た目で危険と判断するのは難しいだろう。なんせパッと見は普通の人と変わらないのだから。
 やはり元を断つしかない。最初怖くてこうして逃げてきたが、今でもあそこからは大量の「ゾンビ」が湧き続けている。外の反応を見る限り、世間が事態を把握して本格的な対策を取るようになるまではまだかかるだろう。そんなには待っていられない。世間がヤバいのもそうだが、そんなの待ってるうちに俺が死んでしまう。意を決して屋根裏部屋から外に滑り出ると、果たしてそれはまだ「ゾンビ」を産み出していた。
 分子合成型二次元実体化装置・第三試作機。紛れも俺が作り、俺がスイッチを入れたその機械からは、プリセットされたエロゲのヒロインの肉体が産み出され、部屋は女の裸で埋まっている。彼女たちは一見するとただの裸の女性だが、顔は虚ろで目に光はない。
 俺が装置に近付くと、ヒロインたちの顔が一斉にこちらを向く。彼女たちの呟きがユニゾンして部屋にこだました。
「チンポ……チンポ……」
 彼女たちの突撃をなんとかやり過ごして装置まで辿りつこうとするが、一体交わしそこねた奴が後ろから俺の腰に取りついた。抵抗もむなしく引き倒され、ズボンとパンツが引き裂かれる。クソッ、あと少しでスイッチに手が届くのに。
 こうなった理由は分かっている。淫乱要素の設定をミスったのだ。彼女たちに知性はない。ただのチンポを狂ったように求めるだけの「チンポゾンビ」なのである。「チンポゾンビ」に捕まれば最後、男は残らず精を絞り尽されテクノブレイクして死に至る……。
 ハッ、いいさ。どうせ死にそうだった命だ。俺が腹上死するのとスイッチを押せるのとどっちが早いか勝負だ。俺はこれから始まる快感との戦いに悲壮な決意を固めた。

       

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Neetsha