Neetel Inside 文芸新都
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 そっからはすげえぜ。ビビるぜ。マジでやばいぜ。何つってもその時はすでに夕方でさ、俺って服マジで持ってなかったんだよな。ボタンダウンのシャツを着てさ(マジで蒸し自殺するんじゃないかってくらい暑い)、チノパン、適当にスニーカー、いいじゃん? いい感じ。時計を見たらすでに五時回ってやんの。わお、イスラム教徒って礼拝忘れたらどうしてんだろ? 自爆テロかな、やっぱり。財布をひっつかむ。歯磨きしなきゃ。携帯を確認。あのクソ女からの着信は二時二十三分。
 はあ? じゃあ何時間か俺ちゃん何し腐ってたってわけ? 超イミフ。でも俺知ってんだよね。マジショックでさ。超ショック。泣いちゃうわ。だって近似的に同じ釜の飯食ってさ、ベッドが恋人だとしたらスワッピングまでした仲だぜ? しかも多摩川ときた。マジ泣けちゃう。そうじゃね? 何か『恋空』っぽくね? 俺、超、マジクソぶっ飛んで不幸ってノリじゃん。自爆テロかな。テンドンでござい。田舎モンにして関西の笑いを理解しちまったな。
 部屋を出る。テーブルの上には五十五万円が――無いですよ! へへへ、いや、ひっつかんで持ってきちまっててさ。何でかってマジでカネが無くって。俺はコンビニに入ってフリスクとミンティアをそれぞれ二個買うと、店の外でまずそれぞれ一箱ずつ開けた。頭がガンガンガンガンして、頭痛がして、吐き気と寒気と震えが来た。胃腸がぐるぐると悲鳴をあげて、なんだかどんどん僕は気分が良くなってきた。
 僕はそこにいた無辜の中学生に向かって猥雑な言葉を囁やこうとしてやめて、京王線に乗って、スマートフォンで今日も憎しみの連鎖がマジでバカバカしくつながって、最後には『蛙でオナニーしてます』というわざとらしくイカれたバイオグラフィーの持ち主である@flogloveくんと、フォロワー数だけが取り柄のアホみてえな奴との一騎打ち、フォロワーの数が全てという摂理を、またインターネットというもはや一個の意識が、伝えていた。俺はここにいた。マジでぶっ飛んでありえねえくらいここにいた。
 多摩川の底ではなく。

       

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