Neetel Inside 文芸新都
表紙

彼女の靴を履かせてくれ
極彩

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 蛇足だよな。知ってるよ。ホントは終わるつもりだったんだぜ。でも、どうしてかな。離れてくんねえんだ。俺は俺から離れられねえんだ。つまんねえことを書いてきたつもりだぜ。誰にも見て欲しくなんて無えんだよ。でも、俺は結局俺をずっと見続けるんだ。最初から分かってたことだ。『バミューダ』を越えようとしてんだ。僕は僕に聞いてたんだ。嘘だろ。知ってるよ。整合性くらい、簡単にくれたっていいじゃないか。分かってくれんだろ。俺もさ、所詮は、あの白い芋虫を好きになりきれなかったんだよ。あっちに行きたかったんだよ。真面目に。
 倉庫の裏には、紫の掃除用具入れがあって、そこには馬鹿みたいなイニシャルがたくさん刻んであった。『バッド・グループ』とシールが貼ってあった。
 俺はそこに『S.S』と刻んだ。
 圧力鍋に釘を入れた。ドライアイスを入れた。お湯を注いだ。すぐに蓋をして、圧力鍋をガムテープでぐるぐる巻きにした。マヨネーズ会社ならここで二十分待った後の物が出てくる。ここにサカシタはいねえんだ。俺は知ってんだ。
 でもさ、俺はここにいんだ。分かんだろ。なあ、もうやめにしてえんだ。俺はやめるよ。

       

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Neetsha