Neetel Inside 文芸新都
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 時間が経った。僕は圧力鍋の近くに立った。目を瞑った。遠くで波の音が聞こえる。暖かい空気を巧妙に避けて僕のところまでやって来た。彼女の吐息がここに混ざっているのだろうか。そうだったらいいのだが。最後に俺は何を考えるんだろう。俺は考え続けている。俺はどうしてこうなったんだろう。何が悪かったんだろう。知っているんだ。結局のところ、僕を決めるのは俺の内部じゃない。俺が俺に言う言葉じゃない。俺があいつらに、あんたらに言う言葉でもない。あんたらと俺の接点。
 題名。
 最後までこいつなんだな。結局のところ。題名が悪かったんだよ。笹崎。

 ……おかしいぞ。なげえぞ、なあ、長えよ、なんだこれ、長い、内圧ってそんなかかんのか? おい、どうなってやがる。俺ァ目ェ開けた。夜が広がっている。すすきがなびいている。足元には圧力鍋があって――。

 そいつが、すぴー、という間抜けな音を立てて白い煙を吐き出した。たっぷり二分間吐き続けた。

       

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Neetsha