Neetel Inside ベータマガジン
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★新都社11周年記念・作品感想企画★
きぼん・アサシーノス

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【雑誌】別冊少女きぼん
【作品タイトル】アサシーノス
【作者名】バーボンハイム
【作品URL】http://sayakawaorenoyome.web.fc2.com/assassinos_index.html



【油ギトギトこってり味】
 バーボンハイム先生の作品は映画のような演出が特徴的。
 自身でも“バーボンハイム劇場”と称するだけあり、様々な映画やアニメなどの映像作品からのオマージュをしつつ、本作は演出されている。
 バーボンハイム先生のミシュガルド小説「黒兎物語」があるが、あれはもう一つのアサシーノスだと仰っておられた。
 黒兎物語のディオゴはアサシーノスのディエゴであり、、モニークはモニカの分身。
 そうやって別世界でも登場する登場人物たち。
 度重なるリメイク、解説版、英語版、外伝、ヒットマンアンソロジー、CMアンソロジー……。
 すべてが「アサシーノスの世界」を見てもらうために創作されている。
 一見、色んなところに顔を出して企画に参加しているように見えて、実は一貫してアサシーノスというたった一つの物語だけを描き続けているのだ。
 それほどまでに情熱、いやあるいは執念でもってこの作品は描かれている。
 バーボンハイム先生をそこまで突き動かすのは何なのだろうか。
 もはやライフワークという言葉では片づけられない。
 重い。
 読後感は油ギトギトの中華料理を食べた三十路男の胃袋よりもたれている。
 まぁ、少々描写がくどいかな、と感じるきらいはある。
 やはり人を選ぶ味だ。
うん、きぼんで連載するにはやはりちょっと脂っこすぎるね。
 ナウなヤングでないと。
 

【金玉袋から一滴残らず出し切る】
 我慢汁など無い。
 我慢せずに金玉袋のザーメンを一滴残らず膣にブチ撒けようとする気迫が感じられる。
 きぼん連載だがこれを読む女性読者はくれぐれも妊娠したり性病を貰ったりしないようゴムをつけて読んだ方がいいだろう。
 本作は精神的なレイプになりかねない。
 ……というのは黒兎人的な比喩表現だが、実際女性が読むにはキツイ、エログロ表現が多々見られる。
 ヒロイングチャミソレイプ死、執拗な金的責め、巻き添えとなって殺される一般市民。数々の理不尽なまでの暴力が描かれる。
 ただそれらと同時に、聖書からの引用、喜び、涙し、感情を爆発させる人々も描かれる。
 現実でも日本人は感情を表に出すことが少なく、ブラジルのようなラテンの国は感情を表に出すことが多いといわれる。
 本作に出てくる登場人物は、みなブラジル人のようだが、とても感情豊かだ。
 また、背景の細やかさにも目がいく。
 仏像や彼岸花や鳩といったバーボンハイム世界のシンボルイメージ。
 これらの描き込みも大変な熱量で描かれているのは一目瞭然だ。
 そう、決してセックス&バイオレンスだけの作家ではない。
 やはり本作において、バーボンハイム先生は全精力を出し切るつもりなのだろう。
 漫画の絵一コマ、文章一つ、すべてに意味があり、こだわりを感じさせる。
 時にそれが暴走し、“シリアスなギャグ”に転じてしまっているが、別にそれは意図してやっているわけではないだろう。
 匿名掲示板でもそうだが、余りに必死に自論を展開すると“必死だな”と嘲笑を受ける。
 でもバーボンハイム先生は、それでも愚直に、必死に、全力を出し切る。
 どれだけ笑われようとも。
 どれだけ想いが伝わらずとも。
 どれだけ報われずとも。
 不器用だが一本気の通った“男”じゃあないだろうか…。
 バーボンハイム先生は雄が精を放つように漫画を描いている。
 ただ、昆虫や動物などでは交尾を果たした後に死ぬ雄は多い。
 例え本作が完結したとしても、バーボンハイム先生の人生はこれからなので、次回作も考えてもらいたいところだ。


【追記】
 >ゴトケン先生の感想日に合わせました。
 >長かった……ここまで来るのにどれだけの人生を費やしてきたのでしょうか…
 >どれだけの人々に出会い、どれだけの自分の分身たちが生まれ、どれだけ彼らと向き合ってきたのでしょうか…… 1話の時の自分よりも得たもの失ったもの……
 >今の僕は1話の時の僕より少しは成長出来たのでしょうか……

 最新更新分を見て。
 バーボンハイム先生の作者コメント。
 うん、絵的な迫力は進化したと思います。
 ディエゴやシャベスの表情とか凄まじい。
レイプした犯人には報いとして必ず金玉を破壊するのもこだわりがあっていいですね。
 話の内容自体は1話からずっと一貫しているが、作者の熱の入りようは最高潮に達しているのではないかと。
 ディエゴの復讐はこれで終わりかな?
 復讐の後に残ったものは……。
 果たして。
 

       

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Neetsha