第三話 いよいよ本番!

 男を見届けた後のこと。部屋に戻ると、畳には少女が立っていた。角に寄り、所在なさげにぽつねんと。改めて見ると驚くべき違和感である。埃まみれの煤けた部屋に、白い肌の幼女。天井には蛍光灯が点いているが、彼女の方が光源として期待できる。
 いつまでも眺めていたかったが、そうもいかない。
「座りなよ、座布団はどこにやったかな」
「あ、あの、さっきの男の人はどうなりましたか?」
 真っ先に聞いてくる。露出狂がよほど恐ろしかったらしい。
「安心しなよ、俺が追っ払っといたから」
「本当ですかっ!? よかった……」
 胸を撫で下ろしている。助かったことの安堵で、他人の家に上がり込んだことは頭から抜けているらしい。本当の恐怖はこれからだというのに。
「あった。ほら座って、ちょっと落ち着いた方がいい」
 座布団をやると、少女は思い出したように遠慮した。
「あ、ごめんなさい、部屋にお邪魔してしまって。大丈夫です、わたしもう、家に帰りますから。あの、本当に色々ありがとうございました」
 深々と頭を下げてから、扉に向かってしまう。
「ちょちょちょ、待ってくれ」
 慌てて腕を掴んだ。幼女は小さく声を上げて驚く。揺れて戸惑う瞳を見て、思考する。どうにかして、この部屋に彼女を引き止めなくてはいけない。こんな絶好の機会、二度と訪れないのだから。
「あ、えっと、犯人は追っ払ったけど、まだ近くにいるかもしれないだろ? 君を一人でなんて行かせられないよ」
「あ、そ、そっか。そうですよね。まだ近くに……」
 効果はテキメンだった。少女は露出狂の影に怯え、大人しく座布団に座る。じゃあ警察に通報しろよとか、親に迎えに来てもらえとか、突っ込みどころはあとからあとから浮かんでくる。しかし、少女は疑っていないようだ。結果オーライ。サンキュー露出狂、お前のことは忘れない。
 とにかく、少女に考える隙を与えてはいけない。俺は口を開いた。
「飲み物持ってくる。何がいい?」
「いえそんな、大丈夫です」
「遠慮なんかしなくていい。なんでも言いな、オレンジジュースでも、タピオカジュースでも……」
 言いながら、冷蔵庫を開ける。何も入っていなかった。電源すらも。
「水道水なんかオススメだよ」
「は、はい、じゃあそれで」
 何か用意しておけばよかった。後悔しながら、コップに水を汲む。
 台所の脇には小瓶が置いてある。それは、省吾の遺品に含まれていた、どどめ色の媚薬(と瓶のラベルに書かれたもの)だ。この液体、効果のほどはまったくもって信用ならないが、試してみる価値はあるだろう。俺は一滴を手に垂らし、舐めてみた。数秒経っても、舌が痺れる感覚はない。おそらく毒ではないだろう。俺は希望的観測を持って、水にも垂らしてみた。水がどどめ色になった。
「駄目じゃねぇか」
 水を捨てる。考えてみれば当然である、水は透明なんだから。
 媚薬作戦は諦め、少女の正面に座る。飲んでいいよと勧めると、少女は喉を鳴らした。不純物の入っていない水が、みるみるなくなっていく。走って汗をかいたから、喉が渇いていたんだろう。
「おかわりいる?」
 一息で飲み干した少女に言うと、彼女は頬を染めた。
「お願いします……」


「俺は水沢和樹。君、名前はなんていうの?」
 喉を潤し、落ち着いた頃を見計らって訊ねた。
「森穂波です」
「へぇ、穂波ちゃんか、可愛い名前だね」
「ありがとうございます。自分でも少し、気に入っています」
 恐怖から脱してきたのだろう、しっかりした受け答えだ。
「お母さんとお父さんは何してる人?」
「お母さんはデザイン関係のお仕事をしていて、お父さんは弁護士です」
「おぉ……やべぇなぁ」
 弁護士という単語を聞いて、背筋が冷たくなる。許されなさそうだ、性犯罪。
「やばい?」
「いや、なんでもない。こっちの話」
 ともあれ、やはり上流の娘だったんだな。実際に聞かされると、ますます高貴に見えてくるから不思議である。権威主義と言うやつか。
「ごめんね、こんな汚い部屋に上げちゃって」
「いえ、その、そんな」
 汚い部屋という言葉に反応して、目が泳ぐ。
「まあ、ゆっくりしていってよ。せっかくだし、君の話を聞かせて欲しいな。お家のこととか、学校のお友達のこととか。俺はもう学校は卒業しちゃったから、懐かしいんだよね」
「はい、わたしの話でよければ」
 聞き手に回ってやると、穂波ちゃんは存外、饒舌になった。亡くなった祖母との思い出や両親に貰ったプレゼントの話。他には、俺が見聞きしたこともない外国の話などを、楽しそうに喋る。近所には空ちゃんという女の子がおり、仲がいいらしい。運動ができて元気がいい、明るい子なのだと語る。同じクラスの娘らしいので、俺も見かけたことがあるはずだ。
 穂波ちゃんの口から、次々に話が湧き出す。たおやかな声は小鳥がさえずるよう。それにしばし、耳を傾ける。俺は普段、女の話というものを毛嫌いしている。実のない世間話をされるのは不快である。感情の波をぶつけるような抑揚も好かない。しかしどうだ、話し手が幼女に取り替わるだけで、こうも印象が変わるものか。嬉しそうな表情一つに、俺の頬がほぐれる。悲しそうな目元一つに、庇護欲を掻き立てられる。彼女を眺めていると、自分までもが清純になっていくようだ。……下腹を叩く亀頭が、それを否定してはいたけれども。
 穂波ちゃんが凡百の女と異なる点は、他にもある。小学生女子には似つかわしくないほど、彼女は聡明なのだ。この歳の子どもは大抵、思ったままを口にする。相手の理解などお構いなし、勝手気ままに話す人間は、大人でも少なくない。ところが、穂波ちゃんは違う。一つ一つ言葉を吟味しながら、筋道立てて話をする。父親が弁護士というのも関係しているのかもしれない。理路整然とした話しぶりは、将来を有望視させるに十分だった。
 ともかく。俺は短い時間ですっかり、穂波ちゃんに魅了されてしまった。生涯に一度のチャンスで、大当たりを引いたのだ。この娘を選んでよかった。確信が胸に満ちて、俺は笑い出しそうだった。こんな娘を犯せるなんて最高だ。俺は世界で一番の幸せ者だ。
 利発な彼女のことだ、クラスでも人気者なんだろう。間違いない。だからその質問は、答え合わせのつもりだった。
「他のお友達の話も聞かせてよ。クラスではどんな感じ?」
「あ……」
 穂波ちゃんの表情が曇る。空気が淀んでしまった後で、彼女は取り繕った。
「あ、う、仲良しですよ。この前はわたしが勉強を教えてあげたんです。翌日にテストがあったので。皆、前日になって慌てるんですから、困っちゃいますよ、もう」
 無理をしていると透けて見えるのが、自分でもわかったらしい。言ったきり、黙ってしまう。クラスではうまくいっていないのか、意外だ。小学生時分の友人関係など、俺でさえ軋轢を生まなかったのに。強者には強者の悩みがあるものか。とにかく、フォローしてやらねばならない。
「へー、偉いね。でも穂波ちゃんって大人っぽいから、周りの子は幼く見えるんじゃない? 特に男子なんて、クソガキでしょ、クソガキ」
 言うと、穂波ちゃんは小さく笑った。
「それはあります。男子ってなんで、ああいう風なんでしょう」
「俺も滅茶苦茶アホだったよ」
「本当ですか? 全く想像できません。水沢さんはすごく、大人って感じです」
「和樹でいいよ」
「えっ……」
「呼び方。水沢さんなんて、他人行儀でしょ」
「でも、水沢さんは年上の人です」
「じゃあ、和樹さんで。苗字で呼ばれるの慣れてないし、寂しいよ」
 わざとらしく落ち込んでみせる。
「わ、わかりました。だったら、和樹さんって呼びます」
「よっしゃ。ほら、さっそく呼んでみて」
 催促する。穂波ちゃんは恥ずかしそうに顔を伏せた。可愛い。襲いたい。
「そんな、改まって呼ぶのは、なんか……」
「いいからいいから、お願い、このとーりっ」
「えぇ……わ、わかりましたよ。一回しか言いません」
 頭を下げると、仕方なしに応じてくれる。頼られると断れないタイプか。ますます都合がいい。
「いきます……か、和樹さん?」
「ぐはぁっ」
 吐血した。穂波ちゃんは顔を伏せたまま、上目づかいで見つめてくる。いじらしい。襲いたい。
「グッド!! ワンモアプリーズ!!」
「一回って言ったじゃないですかっ」
「頼む、もう一回だけ。後生だからっ」
「もう……和樹さん」
「ぐぶっ。もう一回っ」
「嫌ですっ!!」
「いまのよく聞こえなかったから、最後っ」
「はあ……和樹さん」
「最っ高。モアっ」
「わかりましたよもー。和樹さんっ」
「ワンモアセッ」
「和樹さん!!」
「よしいいぞー、次行ってみようっ」
――以降、やりとりは延々と続いた。


 穂波ちゃんの声も枯れたころ、俺達は互いに疲れ果てていた。
「はあ……はあ……和樹さんがアホだったっていうの、ちょっとわかりました」
 ゲンナリして言われる。
「男はね、いくつになっても心に少年を飼ってるんだよ」
「はあ……」
「だから、クラスの連中、女の子もそうだけど、大らかな気持ちで接してやってよ」
「わかりましたよ、調子いいんですから」
 無理くり、教訓めいた話に持っていった。かなり強引だったが、穂波ちゃんは納得してくれたようだ。
 遠慮のない会話も飛び交って、親密になってきた気がする。短い時間で関係を築けたのは嬉しい誤算だった。ここまでくると欲が出てくる。あわよくば、無理やり犯す必要はないかもしれない。小学生とのラブラブ和姦エッチ、甘美な響きだ。ぜひ実現したい。穂波ちゃんに性知識がなければ、あるいは可能なのかもしれない。しかし、性教育は小学四年生までには済んでいるはずである。どころか、この年代の子どもは、性的な事柄に嫌悪感を持っていてもおかしくない。総合して、望みは薄というわけだ。
 更に言ってしまえば、和姦に持ち込んだとしてもリターンは少ない。良心の呵責は減る。プレイの内容にも変化が付けられるだろう。しかし、合意を得たからと言って、小学生とセックスするのは犯罪である。そもそも問題は、子どもに判断能力が足りぬことなのである。犯す相手が未成熟ならば、強姦と和姦の間に大きな差異はない。わざわざ苦労をして、合意を取り付けることもないか。
「どうかしましたか?」
 穂波ちゃんが声を掛けてくる。心配そうに覗きこんでくる瞳。俺は長いこと考え込んでいたらしい。
「お腹痛いんですか?」
「いいや、大丈夫」
 かぶりを振って否定する。無垢な表情を見つめながら、俺は訊ねた。
「穂波ちゃんて、好きな男子いるの?」
「ふぇっ!? なんですか急に」
「特に理由はないけど、気になったから」
「いないですよ。さっき和樹さんが言ったんじゃないですか。同年代の男子は子どもっぽくて嫌なんです」
「そうかあ。じゃあ年上だったら? 大人の男性」
 穂波ちゃんは頭を抱えて悩んでいる。
「うーん……やっぱりわたし、まだ恋愛とかは考えられません」
「なるほどね」
 駄目そうだなこれは。仮に大人ならOKだと言われたって、交際などできるわけもないし。俺が知りたいのは、もっと踏み込んだ話なのだ。もっとセクシャルな話なのだ。ためらったのち、俺は口にした。
「じゃあさ、エッチなことには興味あるの?」
「はっ、え? エッチなことって……」
 脳が単語を処理できていないらしい。穂波ちゃんは回路が壊れたように固まっている。
「だから、男の子とセックスをしたり、一人でオナニーをしたりすること。学校で習わなかった?」
 『セックス』と『オナニー』のところで、穂波ちゃんの肩が跳ねた。瞬時に、首元まで朱に染まる。口からは、声にならない悲鳴が漏れている。
「っ……っ……な、習いました、けど。そんなの、わたしには全然、まだ、関係ないことで」
 必死の否定。手元では、わけのわからないジェスチャーを作って動揺を示している。
「ふーん、オナニーは? 一回もしたことないの?」
「ないですっ。なんでそんなこと聞くんですか、やめてください!!」
 穂波ちゃんが大声で叫ぶ。さっきまでのじゃれあいとは違って、明確な拒絶である。
「ごめんごめん、大きな声を出さないでよ。このアパート、壁薄いんだ」
 口に指を押し当てると、静かになった。
「和樹さんがあんなこと訊くからです……」
 目に涙を溜めて、恨めしそうに睨まれる。俺の頭の中では、庇護欲と加虐心が殴り合いの喧嘩中。その隣では、傷心の気持ちも生まれていた。ババアに嫌われるのはなんとも思わないが、幼女のはダメージがでかい。純粋で良い子だと知っているからだろうか。彼女に責められると、俺の存在ごと否定された気になる。
「本当にごめんな。そうだ、お茶うけも用意しなくちゃな。どっかに煎餅があったんだが」
 ごまかすように台所を漁る。好感度を取り戻したくて、言い訳が口をついて出る。
「でも、女の子として最低限の意識は持っていた方がいいんだよ。世の中には悪いやつもいるから。過剰に性を遠ざけるような態度も、かえって裏目に出るかもしれない」
「悪いやつって誰ですか?」
「…………ロリコンとか」
「ロリコン?」
「そうだ。君みたいな幼い子に興奮する変態のことだよ。大人なのにね」
「でも、わたしまだ小学生ですよ。ちょっと想像できないです。綺麗な女の人はみんな、大人なのに」
「とにかく、そういう輩には近づかないことだ。あれ、煎餅ないな」
 煎餅を探して夢中になっていると、背後でガサゴソと物音がする。
「和樹さん、煎餅ってこれですか」
 振り向くと、穂波ちゃんが押し入れを開けるところだった。襖の間から煎餅の袋が飛び出している。
「ああ、それそれ」
「よいしょ。固いですね、この襖……きゃっ」
 襖を開いた瞬間、矢継ぎ早に騒音が鳴った。押し込んであった荷物群が崩落したのだ。ガラクタの雪崩に、穂波ちゃんが呑み込まれていく。
「わぷっ――」
 俺は痛々しい惨事に目をつむる。瞼を開けると、穂波ちゃんがゴミ山から顔を出したところだった。髪は埃にまみれ、口に入った分を吐き出している。
「和樹さーん、押し入れ整頓して下さいよ」
「ごめんごめん、怪我とかなかった? たぶん、さっきコート出したときにバランスが崩れたんだな」
 様子を見るために近づくと、穂波ちゃんの背中が固まった。急に押し黙って、微動だにしない。
「どうしたの。煎餅の賞味期限切れてた?」
 背後から、穂波ちゃんの手元を覗く。手に握られていたのは煎餅の袋ではなかった。それは、DVDだった。もちろん、往年の特撮怪獣ものや、名作アニメ映画などではない。俺が所持しているDVDなど、系統は限られている。

 『萌美1○才の春。おにいちゃん、アソコの中がムズムズするの』

 パッケージにはタイトルがデカデカと書かれていた。中央にはM字開脚する少女。背中にはランドセルを背負っている。通称『萌春』。腕に巻かれたシュシュや携帯ストラップなど、細部のクオリティを突き詰めた意欲作である。
 意匠を凝らした表紙写真……を見つめる穂波ちゃん。体が小刻みに震え、呼吸さえ忘れている。色を失った顔がゆっくりと振り返った。俺と目が合う。
「見ちゃったんだね、穂波ちゃん」
 俺はどれだけ怖ろしい顔をしていたのか。穂波ちゃんはバネのように跳ねて、駆け出した。扉に向かって、一目散に走っていく。俺は長い腕で穂波ちゃんの肩を捕えた。引き寄せて、抱え込む。同時に、悲鳴が上がった。
「誰かっ助け――むぐっ」
 口を塞いだ掌が、熱く湿る。叩けば折れそうな背骨の窪みに、ズボン越しの剛直を押し付けた。
「んむっーー」
 大声を出されるのは困る。穂波ちゃんを強引に振り向かせ、その唇に人差し指を当てた。
「静かにしろ」
 耳元で言ってやった。
 命令口調が効いたらしい。穂波ちゃんはわずかに目を見開き、頷いた。ゆっくりと人差し指を離す。沈黙を確認して、頭を撫でた。
「よーし、いい子だ。そこの布団に座ってくれる?」
 尻を叩くと、言われるがままに歩いていく。すかさず背中を呼び止めた。
「穂波ちゃん、返事は?」
「は、はい」
 弱々しい声が返ってくる。さすが優等生、ちょろいもんである。
 穂波ちゃんが正座するのを見届けて、俺は押し入れを漁る。
「えーと、どれにしようかな」
 例の段ボール箱から、いくつかの道具を取り出す。
「あった、あった。よーし、やるかあ」
 わら縄を弄びながら布団に向かう。手に持った性具たちを見て、穂波ちゃんは顔を歪めた。
「やだあ……やだあ……」
 小学生に細かい用途などわかるはずがない。おそらく、自分を痛めつける道具だと勘違いしているのだろう。かわいそうに。穂波ちゃんの涙を、指ですくい取る。
「大丈夫だよ。穂波ちゃんがいつも通り良い子にしてれば、つらいことなんて一つもないから。わかった?」
 肩を叩く。すると、小さな体は過敏に反応する。全身が縮こまって、口から言葉が絞り出された。
「は、はい、わかりました……」
 従順な返事は、降伏のしるし。穂波ちゃんの声が呼び水となって、脳髄から征服感が溢れだす。俺はこれから、幼女を犯すんだ。下半身に精力が漲る。陰嚢が震えて、精子が急造されている。
 まず手始めに、穂波ちゃんの手を背中で縛る。正面に回り、目隠しをするときにも、抵抗はなかった。仕上げに、ボールギャグを咥えさせる。手の拘束に加えて、視覚、会話も封じた。ダルマのように無力な幼女。俺の助けなしでは、立つことすらままならないだろう。この瞬間、穂波ちゃんのすべてが思い通り。囚われの様子は、ビジュアルだけでも素晴らしい。怒張したペニスを撫でながら、俺はしばらく見入っていた。
 しばらく経つと、穂波ちゃんが苦悶の声を漏らす。顔を上に向かせて、喉から水音を鳴らしている。ボールギャグのおかげで、唾液が止められないのだ。口を閉じようとしても、それはできない。どうしようもなく、溺れるみたいに喘いでいる。
「あんぁー」
 箱入りのお嬢様は、涎を垂らすことに羞恥があるらしい。弱みを見せまいともがいている様が、かえって間抜けである。俺は小さな頭を押さえつけて、下を向かせる。すると、口に溜まっていた唾液が垂れてくる。
「ふんうぅぅぅ……」
 穂波ちゃんは懸命に、いやいやと首を振る。それでも構わず、流れ落ちる聖水の滝。俺はペニスを取り出して、中を潜らせた。粘性の液体が亀頭を包む。たっぷりとコーティングされたペニスを、ほっぺに擦り付けた。陰茎全体に、天然のローションを馴染ませる。
「ほら見て穂波ちゃん。穂波ちゃんの涎がこんなに」
「んむーー」
「あ、目隠ししてるから見えねぇか」
 余興はこれくらいにするかな。唾液が渇いてしまわないうちに挿入したいし。
 穂波ちゃんの肩を押して、後ろに倒す。いとも簡単に転がすことができた。早速、服を脱がせようとする。しかしこれが案外、難しい。手が縛ってあるからシャツは抜けないし、後ろ手になっているから体勢も苦しい。致し方ない。一旦、拘束を解いてしまおう。
「いいかい、いまから縄を解くけど、逃げたりしちゃだめだからね」
 穂波ちゃんは無言で頷く。
 服を脱がせるのに邪魔なので、ボールギャグも目隠しも、全部取ってしまった。目隠しを外すと、顔が突きあった。再びの邂逅である。見ると、目は充血して真っ赤になっている。口をへの字に曲げて、今にも泣きだしそうだ。
「あー、腕に縄の跡残ってるね。ごめん」
「い、いえ……」
 赤くなった肌を撫でた。触れると、体は汗で濡れている。頬をさすり、額に張り付いた髪をほどく。ついでに、首筋に鼻を埋める。太陽の匂いがした。そうやって、全身を愛撫していく。穂波ちゃんはその都度、くすぐったいようにする。性感は目覚めていないから、感じている素振りは見せない。しかし、これはこれで趣があるものだ。真っ新なキャンバスに筆を乗せるがごとく、性感を開発する期待感。胸が弾む、心が踊る。普段、全身性感帯のような女を相手にしているからなおさらだ。
 細っこい体を抱きしめる。穂波ちゃんは胸にすっぽり収まって、呼吸ごとに膨らむ。力を入れれば折れてしまいそうだ。だからこそ、大事にしたい。小さくも尊い命を実感する。ああ、いつまでもこうしていたいなあ。
 沈黙していると、胸元から声が上がった。
「あの」
「ん、なに?」
 聞き返すと、声が萎んでいく。
「さっきの……口にはめる、丸いやつ……」
「ボールギャグのこと?」
「たぶん、それです」
「それが? どうかした?」
「はい、その……」
 穂波ちゃんの声量が、更に下がる。聞こえるか聞こえないかの要求が、耳に届いた。
「あれ、付けないでください。口が閉じられなくなって、いやなんです」
「あー、なるほど。涎が垂れるから嫌だってことだよね」
「お願いします」
 俺の服を掴んで懇願してくる。自身の屈辱的な姿が余程、堪えたらしい。羞恥を感じているのなら、なおさら装着しておきたいところではある。だが、可愛い女の子に頼まれると、俺も弱い。
「しょうがないなあ、わがままなんだから。わかったよ、特別に外してあげる」
 髪を撫でてやる。
「ありがとうございます……」
 感謝の言葉が心地いい。ペニスが快感に呼応して、反り返る。心とペニスは繋がっているんだ。俺はまた一つ、人間の真理を見出してしまった。
「よーし、それじゃあ出血大サービスだ。目隠しもなしにしてあげよう。セックスするときに表情が見えないとつまらないしね」
「あ……えっ……?」
 穂波ちゃんの血の気がさっと引いた。顔が蒼くなって、肌まで冷たくなったような?
「どうかしたの?」
「いえ、あの、今、せっくすって……」
「うん、セックスがどうかした?」
 穂波ちゃんは視線をあちこちに彷徨わせる。
「和樹さん、今からセックスをするんですか? だ、誰と?」
「穂波ちゃんと。他に誰もいないでしょ」
 即答。腕の中にある体が、ガタガタと震えだした。
「で、できません。わたし、セックスなんて」
「大丈夫大丈夫、穂波ちゃんは寝てるだけでいいから。俺に任せて。これでも結構、経験豊富なんだ」
 胸を叩いた。小学生の膣内に入れた経験はないが、ここは大人である俺がリードしなければな。頼もしい男はモテる。
 だというのに、穂波ちゃんは俺の体から飛び退った。絶望した表情で、布団の上に座り込む。
「お願いします。助けて下さい。わたしのことを叩いても、怒ってもいいです。だから、だから……」
 頭を垂れて平伏する穂波ちゃん。完璧な土下座だ。俺は恐縮してしまった。これではまるで、小学生に土下座を強要したみたいじゃないか。そんなつもりは毛頭ないぞ。
「いやいやいや、頭を上げてよ。わかった、わかったから」
 穂波ちゃんが、ゆっくりと頭を上げる。
「それじゃあ……」
「うん、優しくスるから」
 会心の笑顔をつくる。
「……うっ……えっ……」
 すると穂波ちゃんの瞳から、涙があふれ出した。
「ひっく……うえっ……」
 涙声が、ついには嗚咽に変わっていく。
「うえぇぇぇん……」
 布団に顔を埋めて、さめざめと泣いている。この世のなにもかもがお終いだとでも言うように。俺は掛ける言葉も見つからず、硬直してしまう。穂波ちゃんの気持ちはわからないでもない。彼女は人生もこれからというときだ。見知らぬ男に処女を奪われるのは、今後の汚点になるだろう。しかしだからって、泣かれても困る。俺の方なんてのは、人生行き止まりなのだ。未来ある子どものために、セックスを諦めて下さいなんて、聞き入れられない。じゃあ諦めるかわりに、俺の生活を保障してくれるのかよ? お湯が沸騰するみたいに、怒りがふつふつと湧いてくる。目の前の幼女が急に憎たらしくなった。何を被害者面しているんだコイツは。毎日うまい飯を食いやがって。社会のどこから、お前の幸せが巡ってきてると思ってんだ。
 これは報いなんだ。俺は穂波ちゃんの髪を掴んで、頭を起こした。
「うぅ……」
 泣きはらした頬に、平手を打つ。
「いたっ」
「黙れ」
 脅しをかけると、穂波ちゃんは静かになった。痛がることもやめ、顔を伏せる。卑屈そうな目で、俺を窺っている。
「そうやって従ってりゃいいんだ」
 華奢な体を布団に投げ出した。倒された穂波ちゃんは、唇を噛んでいる。何も考えず耐え忍ぼうと、そういうわけだ。良い子ちゃんらしい、賢い選択じゃないか。さて、そんなやり方がいつまで通用するかな。暴力的な衝動が、増々膨れ上がった。
 穂波ちゃんの衣服を乱暴にはぎ取る。
 現れた肉体は、想像以上の逸品だった。なだらかな曲線から成るトルソー。伸びる手足は長く、細く、胴体に比べると、複雑な形をしている。肘、膝、手足の指。各所は肉が薄いために、節が目立つ。それは、内の骨格を露わにするようで、危うさを覚えさせる。にもかかわらず、ひとたび指先が動かされれば、愚かな杞憂は打ち砕かれるのだ。なんて美しく、この体は動くのだろう。
 完全。
 彼女の身体は、未成熟にして完全だった。生物としての生々しさを捨て去っている。いや、まだ備えていないのだ。
 乳房の付近。きめ細やかな肌に、俺の指を這わせる。
「んっ……」
 穂波ちゃんの口から、吐息が漏れる。吐息だけではない。白い肌は、押し込んだ分だけ押し返してくる。指を滑らせると、敏感な体全体が波打つ。通り過ぎた後には、朱色が軌跡となり残る。すべてが、決められた通りに反応する。俺の性欲や稚気に対して、几帳面なほど正確に。そのことはいっそ、非人間的である。精密な細工を施された、自動人形のよう。
 しかし、人形という言葉では、あまりに無機質だ。彼女の魅力を十分に表せていない。
 俺は穂波ちゃんの腹を押した。掌を徐々に沈めていく。
「うっ……くっ……ぐ……」
 苦しそうな声。それでも躊躇わず、体重を加える。
「か……かはっ……ぃやだ……」
 穂波ちゃんは布団を握りしめる。顔が紅潮し、目から涙が溢れる。俺の興奮は最高潮に達していた。もっと、もっと。体が破れてしまうまで、押さえつけるんだ。臍から上る窪みのところを、思い切り押す。
「うぶっ……ぐっ……」
 穂波ちゃんの口の端から、泡が漏れてきた。歯を食いしばっている。顎からは軋む音が。意識を手放すまいと一生懸命、頑張っているんだ。バタつかせる手足は取り押さえておく。
「ほら、穂波ちゃん、頑張って、頑張って」
 俺自身も涙を流し、応援する。
 穂波ちゃんの額から、汗が一斉に噴き出す。赤から蒼白へ、顔色が切り替わる。瞳孔が揺らいだ瞬間、俺は掌をどかした。
「…………っはああっ」
 反動を使って、穂波ちゃんは息を吸い込む。肺を思い切り膨らませ、肋骨を上下させる。生命の危機は去った。顔をしかめて呻いていると、やがて、顔に生気が戻った。
「うっ……かはっ」
 穂波ちゃんは腹を抱えてうずくまる。痛み、あるいは恐怖から逃れるように、背中を丸めて防御の姿勢。それからぴくりとも動かなくなった。
 俺の方は、手に残る感触を確かめていた。柔らかい腹を押さえつける快感。弱いものを虐げるということ。虐待、などとは人聞きの悪い言い方だ。それは間違いなく、本能に刻み込まれた指向性である。好ましい刺激なのだと、脳が奥から訴える。
 絹のような白い肌。柔らかさ、丸っこさ。なにもかもが、俺の琴線に触れる。穂波ちゃんのお尻を撫でながら、崇高な気分に酔いしれる。そのとき、幼女を表す、一つの形容に思い至った。
 幼女は――繭なのだ。
 小さな身体は、脆い心を守る檻。中では、精神が絶えず形を変え、溶け混ざり合う。俺は卵みたいなそれに、針を突き立てようとしている。得られるのは、至上の背徳感である。繭をひとたび破いてしまえば、二度と元には戻らない。
 穂波ちゃんの脚を抱えて、こちらに引き寄せる。折りたたまれていた体が開いて、薄桃色の乳首が露わになる。俺は顔を寄せ、突起にしゃぶりついた。大口を開いて、乳房を口に含む。
「やあ…………」
 穂波ちゃんは俺の頭頂を押さえつけて、行為を防ごうとする。無益なあがきだ。俺は胴体を抱え込み、構わず舐り続けた。吸い上げる際には、わざと大きい音を立てる。
「やだあ……やめてください」
 穂波ちゃんは恥ずかしがって身を捩る。淫らな音が響くのが耐えられないらしい。俺が吸い付くたびに、音を打ち消そうとして、拒否の言葉を吐く。
「やめてっ……やめてっ……お願いします」
 徐々に互いの音量が高まる。穂波ちゃんと目を合わせていると、抜きつ抜かれつの競争をしているみたいだ。吸引の後には穂波ちゃんの悲鳴、次にはまた、強い吸引。そうして深い領域に進んでいく。俺は乳首の舐めながら、片手で股の辺りを探った。
「やだっ!」
 下半身を触ると、抵抗が強まる。膝を曲げ伸ばしして、俺の手を除けようとしてきた。あれだけ脅しをかけたのに、きかんぼうだ。怒りに任せ、口内の乳首に噛みつく。
「痛っ」
 食らいついたまま離さない。ギリギリと突起を締め上げる。抵抗が鎮まるまで、痛みを与え続けた。
「うくぅぅぅぅ……」
 穂波ちゃんが音を上げたころ、やっと割れ目を見つけた。なかなか探り当てられなかったのも当然である。なぜなら、穂波ちゃんの入り口は、完全に閉じていたのだ。侵入者を防ごうとする肉を、左右に押し広げる。俺は乳首から口を離し、中身に見入った。
「ほあぁ……」
 未使用のおまんこは見事に桃色だった。思わず感嘆が漏れる。大陰唇も小陰唇も、下品に肥大したり、黒くなったりしていない。陰核は豆とも呼べないほど小さかった。注視しなければ、見つけることすら難しい。控えめなそれを、いますぐ可愛がってあげたい。顔を覗かせる新芽に、舌を這わせる。
「ひあぁっ」
 穂波ちゃんの両脚が、ぎゅっと縮まった。子どもとはいえ、やはりクリトリスは敏感らしい。一日中舐め転がせば、どんな反応を見せてくれるだろう。想像するだに楽しそうだ。ところが俺の分身は、悠長なことは言っていられないと主張する。限界まで張りつめたペニス。いよいよ、我慢がならなくなってきた。
 挿入の前に、膣口を開いてみる。入口付近には処女膜が目視できる。間の空洞は、予想以上に狭い。指一本ですら、挿れられるか怪しいものだ。ここに俺のイチモツを突っ込むのか。それはもはや挿入というよりも、破壊という方が正しいのではないか。ここにきて、不安が生まれる。痛みでショック死などされようものなら、俺の罪状は未成年者略取から殺人に切り替わるだろう。それになにより、幼女が死ぬなどあってはならないことだ。
 せめて滑りをよくしなければ。膣口の辺りを触ってみるが、愛液は垂れていない。わずかに湿っているだけだ。俺は畳に転がるローションを手に取る。小さな肉口に容器を突き立て、押し込んだ。
「ひあっ、なに……?」
 容器の腹を押すと、液体が膣内に注がれる。マヨネーズを使い切るときみたいな音がして、おまんこが満たされていく。下卑た音と神聖な割れ目とのギャップに、勃起を強くする。
「冷たいだろうけど、我慢しな」
「……っ……っ」
 穂波ちゃんは息を殺して耐えている。
 膣内は十分に満たされた。これならば、痛みも軽減されるだろう。俺はついに、亀頭を割れ目に触れさせる。
「穂波ちゃん、入れるよ? 入れるよ?」
 おまんこの縦筋を亀頭でなぞる。
「…………」
 穂波ちゃんは拒否の言葉を吐かなかった。表情にも、俺に対する憎悪はない。その代わり、瞳には精一杯の媚を湛えていた。自分のか弱さをことさら強調するよう、目を潤ませている。「わたしは弱い存在なんです、守ってください」ってぐあいに。穂波ちゃんにとって、今までこれが切り札だったんだろう。この顔を見せれば、どんな大人だってイチコロで要求を受け入れたに違いない。
 俺はさらに、腰を押し込んだ。先端が呑み込まれ、処女膜に突き当たる。
 穂波ちゃん、俺は他の大人とは違うんだよ。
「痛い……痛いよぉ……」
 これからは俺が、新しい価値観を教えてあげる。一から全部、俺の思い通りに塗り替えてあげる。処女喪失を、そのための第一歩にしよう。
 押し返されるのにも構わず、腰を進める。
「あ……あ……やだ、怖い……助けてっ」
 最後の悲鳴を聞き届けて、処女膜を突き破った。
「ひぐぅっ……!!」
 勢いに任せて、最奥まで腰を打つ。それでも異物を吐き出そうとする肉壁。なんとか逆らって、ペニスを中に留まらせる。限界まで挿入したにもかかわらず、竿は半分ほどしか隠れていない。
「~~~~っ!! い……たっ……」
 穂波ちゃんが悶絶し、それに合わせて膣内が閉まる。あまりに強い圧迫。ペニスを食いちぎられそうだ。
「うおっ……おっ……嘘だろ、こんな」
 一分も経たない内に、精液がこみ上げる。じっくり楽しもうとしていたことなど思考の外。本能の赴くままに腰を揺する。
「あー、やべぇ、穂波ちゃんっ、出すよっ!!」
「あっ、えっ!? 出すって、嘘っ、やめてくださいっ」
 穂波ちゃんが必死に体を起こそうとする。しかし腰を捕えられ、揺すぶられているため、うまくいかない。その間にも、精液が上り詰める。
「ごめんね、穂波ちゃん、膣内に出すからっ!! 一緒に赤ちゃん作ろうっ」
「だめっ、やめてっ!!」
 穂波ちゃんの指が俺の肩にかかったとき、決壊を迎えた。
「っっ……おっ……おう……おっ」
 両手に抱えた穂波ちゃんの身体。その中に、具現化したリビドーを流し込んでいく。かつて経験したことがないほど、射精は長く続いた。
「……ふうぅぅぅぅぅ」
 竿先に付いた精子を、子宮口に擦り付ける。種付けの仕上げだ。
 初対面のお嬢様jsに生ハメ中出し。こんなシチュエーション、興奮しないわけがない。当然、一回の射精で収まるわけがなく、ペニスは硬度を保ったままだ。今さっきの行為を思い出すだけでも、先走りが漏れてくる。このセックスは、一生の思い出(オカズ)になるに違いない。
 達成感に浸りながら、おまんこを味わうことも忘れない。短いストローク、長いストローク、そしてまた、短いストローク。ゆっくり動かすたび、膣内は痛みに震える。痙攣みたいな収縮が締め付けてくる。
「あー、気持ちいいー。穂波ちゃんはどうだった? 初セックスの感想は」
 目を向けると、穂波ちゃんは俺の言葉に気付いていないようだった。自分のお腹を眺めて、ただ黙っている。
「精液あったかかった? なんて、そんなのわかるわけないか。お兄さんの精液がビューって中に入ったんだよ。赤ちゃんの素。よかったね、これで穂波ちゃんも立派なレディだ」
「…………」
「穂波ちゃん?」
 いくら話しかけても反応がない。目の前で手を振ってみるが、それでも微動だにしなかった。気絶しているわけでもなさそうなのに。
「おーい、おーい、穂波ちゃん」返事がないので仕方なく「おい、返事しろ」
 声にドスを効かせた。
「……あっ、は、はい」
 穂波ちゃんはたった今、目を覚ましたみたいに答える。よかった、意図的に無視されていたわけじゃないらしい。嫌われていたらどうしようかと思った。
「ごめんなさい、聞いてませんでした。なんですか」
 聞き返す声はどこか事務的だった。さっきまではあんなに元気だったのに。もしかして、無心でセックスをやり過ごすという作戦は成功したのだろうか。だとしたら心外だ。しかし、穂波ちゃんの顔を観察したところ、懸念は取り払われた。
 塔になった積み木を崩す瞬間。幼少期に囚われた感覚を懐いながら、俺は言葉を発した。
「ねえ、穂波ちゃん、どうだったの? セックスの感想は。教えてよ」
 言葉が耳に届いたとき。強張っていた穂波ちゃんの表情が、くしゃと歪んだ。
「か、感想は……」
「そうそう、セックスの」
「せっ……くすの感想は……」
「うんうん、聞かせて」
 穂波ちゃんはとてもいい子だ。だから俺は、ついわがままを言ってしまう。
「俺は最高だったな。これ以上ないくらい楽しかった。だから、穂波ちゃんの方も楽しかったならいいなあ。楽しくて気持ちよかったって言ってくれたら、嬉しいなあ」
 穂波ちゃんはとてもいい子だ。大人に言われた通りに生きてる。無理もない。子どもっていうのは、大人に生殺与奪を握られているのだ。ゆえに、この場面での回答は一つしかない。
「は……い。わたしも、楽しかったです。気持ち、よかったです」
 穂波ちゃんは教科書通りに言った。顔の形はぐしゃぐしゃで、笑ってるんだか泣いているんだかわからない。
「ぷっ……あははははっ」
 俺は思わず吹き出した。
「えっ……? えっ……?」
 困惑している頭を撫でさする。
「まったく、穂波ちゃんは嘘が下手だな。痛くて苦しかったなら、そう言えばいいのに」
「ちっ、違います、わたし……」
 俺の機嫌を損ねまいとする幼女を、俺は抱きしめた。
「あっ……」
「ごめんな穂波ちゃん。俺、あまりにも嬉しくて、興奮しちゃってさ。自分勝手なセックスしちゃった。つらかったよな、正直に言っていいから」
 体を密着させ、耳元で語りかける。その後しばらく、無言でいた。
「少しだけ、痛かったです」
 絞り出された一言。こういうときでも“少しだけ”なんて言うあたり、彼女らしい。その人柄が、存在が、愛おしくて、胸が温かくなる。性欲を放出した後の隙間に、優しさが満たされていく。この子にもう一度つらい思いをさせるなんて、俺にはできない。だから、セックスは諦めよう。その代わりに、穂波ちゃんの喜ぶことをしよう。
「そっか。じゃあ、お詫びをするね」
 放心気味の穂波ちゃんを、再び寝かせる。
「あの、また……するんですか?」
 表情が怯えに変わる。虐めたい気持ちを飲み込んで、俺は言った。
「いいや、違うよ。もうオチンチンは挿れないから安心して。今度は穂波ちゃんが気持ちよくなれるように俺が頑張るから」
 ローションを手に取る。今度は、膣内に流し込むのではない。液体を掌に注いで、まんべんなく広げた。
「触るね、穂波ちゃん」
「んっ……」
 引っ込み思案のクリトリスを撫でる。突起を指が往復し、その度に震えが起こる。
「痛くない?」
「はい……痛くは、ないですけど……」
「どんな感じ?」
「なんか、くすぐったくて……よくわからないです」
「そっか。怖がらなくていいからね。穂波ちゃんが痛いって言ったら、すぐにやめるから」
 脚を揉んで、緊張をほぐしてやる。右手でおまんこを弄り、左手ではマッサージ。丸くなっていた身体が、徐々に開いてきた。
「あの、和樹さんはロリコンさん、なんですよね」
 唐突に、質問が投げられる。穂波ちゃんの頬は赤らんでいた。
「そうだよ。軽蔑するだろ」
「いや……。でもなんでロリコンさんなんですか?」
「うーん、哲学的な質問だ。どうしてだろうな。単純に幼い女の子が好きなんだが、原因は、わからないな。俺はむしろ、他のやつがどうして幼女に惹かれないのかわからない。だれだって最初は、小学生とか、中学生の頃に初恋を経験するものだろう? 成長していくごとに恋愛対象が変わるってのが、俺にはできなかったんだろう。やっぱりおかしいんだろうな、頭が」
 自嘲して見せるが、穂波ちゃんは何も言わなかった。俺の顔をじっと、探るように見つめている。
「俺の顔に何か付いてる?」
「ちっ違います……んっ」
 会話の最中でも、性器を触る手は止めない。隠れていたクリトリスも、姿を現してきた。
「ただ、ロリコンの人は皆、さっきの、せっくすをしないと駄目なんですか」
「うん。それも、穂波ちゃんみたいな小さくてかわいい子とじゃないと。ずっとセックスをしてないとムラムラして、耐えられなくなるんだ。でも、なんでそんなこと聞くの?」
 脚を揉んでいた手を止める。ローションを追加して、今度は乳首を弄った。
「んあっ、あ、だめ……和樹さん、それ……」
「痛いの?」
「いた……くは、ないですけど、なんか、変な感じで」
 ようやく、快感が生まれ始めたのだろう。もどかしそうに脚を捩る穂波ちゃん。暴力を振るうこととは全く別の興奮が、俺の心臓を高鳴らせる。
「痛くないならやめなくていいよね。それよりほら、お話ししようよ。なんでロリコンのことなんて知りたがるの?」
 言いながら、陰核と乳首を強くつまんだ。
「ああっ……はあっ……だって、和樹さん、さっきまですごく優しかったのに……急に怖くなるから、ロリコンじゃなかったら……怖くなかったのかもってぇ……んっ」
「そっか、ごめんな。俺がロリコンじゃなかったらよかったのに。そしたら、穂波ちゃんと友達になれたんだ。ごめんなぁ」
 刺激をさらに強くする。
「あっ……んぁぁ……うんぅ…………なに……これぇ……」
 穂波ちゃんは目をつむり、感じ入っている。縋るようにシーツを掴むのは、未知の感覚に怯えているからだろう。着々と、絶頂への階段を上っている。それを応援するために、俺は言葉を降らせる。
「穂波ちゃん、俺がもしロリコンじゃなかったら、俺のこと好きになってくれる? だったら、セックスは我慢するから。俺はね、穂波ちゃんのこと大好きだよ。愛してる。世界で一番。絶対、幸せにするから」
 センチな文句に呼応して、体が跳ねる。
「~~~っ……あっ、なんで……だめぇ」
 もうすぐ、穂波ちゃんはイく。本物の女の子になる。俺が女の子にする。
 上と下、両方の突起を爪で掻いた。
「あっ、あぁぁ……和樹さん、やだ、だめ、それっ!!」
「なんでだめなの? 言ってみて、痛くないんでしょ」
「痛くっ、ないけどぉっ」
「気持ちいいんでしょ、ほら、言ってみて、気持ちいいって」
「きっ……気持ちいいです。コレっ……すごいっ」
「だったら、イくっって言ってっ!!」
 もはや、穂波ちゃんにためらいはなかった。彼女は正体を失い、がむしゃらに叫びだす。
「いくっ……いくっ!!」
 思い切り、クリトリスを絞る。潮が吹き出したのは、ほぼ同時だった。
「ああぁぁぁあっ~~!!」
 尿道から飛ぶ透明の液体。俺の手首は幼女の体液に濡れた。
「おぉ……」
 痙攣の後、穂波ちゃんはこと切れたようになる。紅潮していた全身も、すぅと色が引いていった。子どもは生理的な弾性が強いらしい。血色だけでなく呼吸も、速やかに正常を取り戻す。
 陶器のように白い肌。俺の手で奪われたと思われたものは、いともたやすく呼び戻された。にもかかわらず、惜しい感情は浮かばなかった。