Neetel Inside ニートノベル
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 ――こちら巌流島船着場に来ております。定刻から20分遅れて今、宮本陣営の乗ったボートがこちらに到着しました。

 あ、いま着流しにピンマイクが付きました。それではムサシさんにインタビューしてみましょう。

 「フンフンフフン!フフフンフン!(超層合体ゲオバイザーのOPのリズムで)待った~?宮本アンジェリカだよぉ~ウフフフフッ」

 「デレ○ニネタは荒れるからやめるでやんす!」

 「シコリーターの皆さん、こんにちは!下股うづきです!」

 「オナホネタは更に荒れるからやめるでやんす!」

 「いざ、絶頂の向こう側へ!w」

 「悪ノリでやんすー!」

 ――ボートから降りて会場へ移動するムサシ陣営。おっとここで...スタッフが彼らを呼び止めます。

 「ちょっとアンタたち、この島に入るには入島証が必要だよ!」

 「えっ?俺、今回の主賓なんだけど。どうなってんだよ、扱い悪くね?」

 「やや、ムサシさんは顔パスでオーケーです。お連れの方ですが、」

 「ボクはムサシさんの付き人のヤーベンでやんす!」

 「あ、じゃ、身分証明できるもの、お願いします」

 「あ、じゃ、免許証で」

 「おい、テンポわりーよオメーら。てか、おまえまだ竹ノ塚の安アパートに中国人風俗嬢と一緒に住んでんの?」

 「テヒさんは3日前に出て行ったでやんす...財布の中の現金とクレジットカードと一緒にボクの前から消えて行ったでやんす」

 「おまえのカードの暗証番号8931だったっけ?」

 「なんでムサシさんが知ってるでやんすか!?」

 「そっか、気の毒だな...よし、行こうぜ」

 「そんなーでやんす!...それよりムサシさん、勝機はあるでやんすか?コジロウさんは剣芸界若手のホープでやんすよ?」

 「あー、それなんだけどさ、話し合いでなんとか丸く収まんねーかと思ってんだよねー。俺もう剣の修行してねーし」

 「はぁ?天下の二刀流剣士と呼ばれた宮本武蔵が剣を捨てたでやんすか!?」

 「ん~、ぶっちゃけ今の時代、刀って必要なくね?って思っちゃって。暇つぶしで書いた本が棚ボタで売れちゃったし、後は名義貸しで道場でも開いときゃ老後も安心だと思うんだよねー。

 やっぱり血生臭い剣の世界より生産性のある文学の世界の方が世の中のためになるっつーか。ぶっちゃけ世のVIPからいい思いさせてもらってるし。あっ、今のは妻のお通には内緒ね。

 ンー、剣はペンよりも強し。名言だなーこれは。ンッンー」

 「そんな、キッズの夢が壊れるでやんすよ...」

 「なんや、お前!剣を振るうと金になるんか!?」

 「もう廃れかけの時事ネタはやめるでやんす!後で読み返して『アレ?これ何のネタだったけ?アッアッアッアッ』ってなるでやんすよ!!」

 ――おい、アレ見てみろよ!

 ――ムサシさん!頭上に気をつけてください!

 「ん?ステージのある崖の上から何か落ちてきたでやんす。これは...大きなワシでやんす!」

 「この切っ先は...コジロウか......!」

 ――ムサシ!早く上がってこい!

 「ステージの方から声がするでやんすよ...コジロウがムサシさんを呼んでるでやんす!」

 「...ヤーベン、おまえ、先に行って会場の空気、あっためてくれるか?」

 「ムサシさん、何を言って...ハッ!もしやムサシさんの心に眠っていた剣豪の魂がこの蛮行を見て目を覚ましたでやんすね!主人公の覚醒。これ以上にない激アツ展開でやんすっ!」

 「ヤーベン」

 「はい!なんでやんすか?」

 「おまえ俺の代わりにコジロウと戦ってきてくんね?」

     . . . . . .

 「おまえさんしかおらんのですよ!私を守護れるのは!」

 「そんなこと言ったって無理でやんす!こんな大きな猛禽類を一太刀で倒せる剣士に剣道検定3級のボクが敵うわけないでやんす!...な、なんでやんすか!ムサシさん!肩に腕を回して!」

 「...カッコいいトコ、見せたいよなぁー。ヤーベン」

 「そ、そんな事言っても行かないでやんすよ」

 「万が一でもあのコジロウに勝ったらカッコいいだろーなー。出てった交際相手も見直すだろうよ。それにこれはテレビが入ってる。ヤーベン君の知名度も上がってテレビの仕事がバンバン入って

 モデルやアイドルの女の子が言い寄ってくるに違いないぜ~いやー羨ましいなー」

 「...セクシー女優も来るでやんすか...?」

 「ああ。喜んでおまえに二穴差し出すだろうさ」

 「このヤーベン、宮本ムサシの前座、いや!この闘いの主役になるべく、佐々木コジロウに勝利するでやんす!宮本武蔵の偉大なる名はこのヤーベンが守護るでやんす!」

 「おっしゃ!頑張れ!」

 「うおおおおおおお!!」


 「......ふぅ、やっと行ったかあの変態アナリスト。一日中刀振ってる剣豪キチ○イなんかに勝てるわけねーじゃん。俺も子供の頃は野球やってたけどさ、

 やっぱ一日200回とかバット振ってるヤツらには勝てねーわ。それにネットで見たけどなんかあいつ俺に嫉妬してるし怖えーよ。でもテレビの仕事無くなったらお通に怒られっからテキトーにお茶濁して帰るわ」

 「ぎにぃやぁぁああああ!!」

 「この声は...あいつもう負けたのか」

 「キャー」「うげぇー」「グロ注意、グロ注意!」

 「みんなその場を動くな!」「頭がその辺の茂みに飛んだかもしれない!」「皆さん、落ち着いて行動してください!」

 「おい、ヤーベン、まじかよ...」


ヤーベン(本名:アレクサンドル=エティエンヌ・ヤーベン。31歳独身。日本、フランス二重国籍所持。巌流島の闘いにて死亡――)


 「コジロウの野郎...やりやがった...!」

 ――あ、あの!クジテレビの加藤鷹子です。たった今無残に切り捨てられたのはあなたの付き人の方ですよね?...決戦の前に味方をブッ殺されてむかっ腹が最高潮に達しているのではないでしょうか?

 世紀の剣豪、宮本ムサシ。その人にマイクを向けてみます。

 「あのさ、お前達にひとつ聞いておきたいことがある」

 ――はっ、はい!なんでしょうか!?


 「パ○プロの矢部くんって一人称なんだったっけ...?」

デッデデデデン 巌流島決戦、このあとすぐ!!

       

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