Neetel Inside ニートノベル
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デェーとティー
IQ999探偵 ~お前、ネットで俺の事バカにしてたよな?

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 ブーーー(開演を知らせるベル)

「ファン・ウェルメスケルケン警部、現場検証の用意、出来ました!」

「うむご苦労。被害者の情報を教えてくれ」

「はい、被害者はこの部屋に住むスメラギタツキ。この春から親の金でこのタワーマンションに住んでいます。
死亡時刻は18:26分。交流関係を洗ってますが、特別怨まれるような生活態度ではなかったと思われます。凶器はまだ見つかっておらず、後頭部に打撲痕、首には後ろから、強い力で圧し付けられた傷があり、
これが死亡した要因だと考えられています」

「後頭部を殴られて追撃で首に一撃か。この部屋は何号室だ?」

「はい、被害者の通う大学近くのタワーマンション最上階の1302号室です。オートロック式で監視カメラ完備、
他の階から伝ってくる事もできず、玄関と窓には鍵がかかっており、事件当時は密室だったと思われます」

「なるほど。それでは失礼する…うわ、なんて醜い死体だ。あまりの死臭に反吐が出る」

 (お、おい!彩子!)

 床に突っ伏したまま、死体役のスメラギが召使いの彩子にちいさく声を掛ける。

 (いくら演劇とは言え、雇い主にその言い方はないだろう!)

 (す、すいません坊ちゃま!台本にこの通り書いてありますゆえ…)

「あの~」

「ご、ゴホン!聞いた話を整理すると今回の事件の被害者は近所の大学に通うスメラギタツキ。交流関係には問題は無く、密室で後頭部と首の急所を犯人に殴られて死亡した…ん?なんだこの植物は?」

「ああ、これは巷で流行っているダンシングフラワー『和やか君』ですね。こうやって乳首をひねると…」

「…あいや!何すんねん!感じてまうわ!」

 (こら!観葉植物は喋るな!)

 (そ、そんな事言うたって…)

「うぉっほん!部屋の内装を見たところ、凶器になるような物は残ってなさそうだな。犯人が持ち帰ったか、それとも…」

「ちりんちりーん。はいはいどいてー。IQ低い奴に人権はないよー」

「ちょ、なんだおまえは!」

「キキー、どーん。はい、先生がアンドレ・グライペルだったら皆さん今頃全員、轢き殺されてましたよー」

「な、なんだこいつ。ロードバイクのハンドルの部分だけを持って現れやがって!」

「^~♪今日もまーたチンポをしごいて、精子だして、叶わぬガールフレンッ!」

「止めろ!悪ノリでペダミュの真似をするな!弱ペダ一期のOPの替え歌を歌うな!取り押さえろ!」

「待って待って!…この警部手帳とその他諸々が目に入らないの?」

「なんだそのゲーセンのカードのようなモノは…何!?これはオクハホマミキシング大学の成績カード!4年前に主席で卒業しているだと…?貴様一体何者だ!?」

「フフフ、見た目はキチ○イ、中身は天才、アメリカの超名門大学を飛び級&主席で突破した革命児、その名はIQ999探偵、ダイスケだ!」

「何、IQ999だと!?数値がカンストしてるじゃないか!?」

 (あの莫迦、警部なのか、探偵なのかはっきりしろよ…)

「ちょっと4201~」

 (ぐはっ!)

「おい、死体を踏みつけるな!」

「…犯行現場は1DLKのタワーマンションの一室。被害者の見た目の童貞臭から同棲、または交際していた女性がいなかった事から痴情のもつれでの犯行ではない。
おばはん、あんたさっき、凶器の話をしてたよね?」

「誰がオバハンだ!私はまだギリギリ20代だ」

「あ、そうなの~」

「チョコをパキッっと食べるな!被害現場が汚れるだろう!自分から聞いておいて興味なしか!」

「ちょっと警部」

「なんだ使走しば警部補」

「まだ調べはついておりませんがあの男、めちゃくちゃ頭の回転速いっすよ」

「ああ、認めたくないがそのようだな。普通に会話が一切成立しない。特殊な脳構造を持つ人間に見られる享楽最優先思考だ」

「あのさ、そこの大人ふたり、この部屋見てなんか変に思うところない?」

「む、そういえば学生にしては骨董品が多いな。きっと親の金でこれらを買い漁る収集癖があったのだろう」

「鑑識で調べましたがこれらの内から血痕は見つかりませんでした」

「あ、今ふたりとも俺が今回の事件の凶器がここにある、と考えていたと思うよね?」

「なんだ勿体つけるな」

「よいしょ、と」

「こら!椅子の上にソレっぽく体育座りするな!」

「これ見て…ストラディヴァリウス。素人が見てもこのバイオリンの価値は解る。これを盗まずに逃げたって事は犯人は金目当てじゃなかったって事が分かるよね」

「話がとっちらかって分からんぞ…さっきお前は凶器の話をしていたじゃないか」

「はあ、これだからLow IQは…この壁の穴見れば分かるでしょ?」

「これか。砕けた壁の材質を見たところ、最近出来た穴だと言うことが調べで解っている…ここの登山用のピッケルが置かれているな。鑑識の結果、なんからの事情で誰かがこれで穴を開けたと思われている。
しかしこの大きさの穴に体を捻じ込んでこの部屋に来るなんてことは出来んぞ」

「隣の部屋に住んでいるのは?」

「ああ、もう来る頃だろう」

「こ、こんにちわ~ボク、1301号室の四足といいます~」

「よつあしさんか。事件当時、あなたは何をしていた?」

「おい、こんなひょろくて意気地がなさそうな男が人を殺せるはずがないだろう」

「まあまあ。アリバイを立証するのが先さ」

「きょ、今日の4時からバイトがあって、夕方には職場のコンビ二にいました。死んじゃったスメラギさん、とは一度も顔を合わせたことはないです」

「一度も?隣に住んでいるのに?」

「はい」

「おいダイスケ、自分から聞いておいて聞かずに床に落ちた壁のくずを拾うのを止めろ」

「このバイオリン、見覚えない?」

「な、ありません。確かにボクは苦学生ですが、借りたお金はちゃんと働いて返さなきゃ、って思ってます。通わせてもらっている親にも恩返ししなくちゃいけないし…」

「なんだ、親想いの良い青年じゃぁないか」

「そうか。はい次ー1303号室の方ー。ふむ、百貨店に勤務する月子さんか」


「何、スメラギのこと?…ああアイツ死んだのね。毎日のように付きまとってきてウンザリしてたから清々してるわ」

「お、おいダイスケ!これはこの娘が犯人なんじゃないのか!」

「ぶーぶー、ぴーぽーぴーぽー」

「おい!なんかこう、知的好奇心を刺激するようなオモチャで遊ぶのを止めろ!」

「…聞いた話だと確かにアイツの家はお金持ちで色んな高級店に食事に誘われたけど気持ち悪くて断ってたわ。親が金持ってるだけで自分はチンカスの癖にそれを鼻にかけてるし、口は臭いし、本当最悪って感じの人間だった。
あたしがおっぱいデカくて処女で最強なのは分かるけどそれ目当てでエロい目でジロジロ見られてるのが本当に嫌だった」

「体目当てでストーカーとか、キモッ、キモッ!」

 (この莫迦兄妹が…劇が終わったら覚えてろよ…)


「ハハハ!そうか、分かったぞ!この事件の犯人、そして真相が!」

「どうしたんだおばはん。更年期か?」

「違うわ!ダイスケお前、始めにこの事件は痴情のもつれじゃないって言ってたよな?オクラホマで何を学んできたんだ?勉強しすぎで童貞拗らせてたんじゃないのか?」

「あんだよ、失礼なおばはんだなぁ」

「良いかよく聞け。月子は普段からスメラギにストーカーまがいの付きまとい行為を受けていた。毎日のように自分の部屋に来ないかと誘われていた月子は遂に逆上し、スメラギを殺す事を思いつく。
スメラギに誘われて部屋に入った月子は前を歩いていたその男の頭を鈍器で強打。その後急所である首の後ろをアイスピックのような鋭いもので刺し、
隣に住む四足の犯行と見せかける為にピッケルで穴を掘って瓦礫をこっちの部屋側に集めた。決まりだ!身柄を確保しろ!」

「ちょ、ちょっと待ってよ!あたしがスメラギを殺したっていうの!?こんなボンクラ王子の為に人生棒に振るとかありえないんだけど!」

「抵抗するなよ月子。お前にはスメラギを殺す動機がある。さぁ、早く連れて行け!」

「ちょっと!やめてよ!…どこ触ってんのよ!離せー!」


 (舞台暗転する。遺体と一人残されたダイスケが観客に向かって手を差し出す)

「…えー、皆さんお分かりだったでしょうかー。女警部の見立てではこれは私怨による殺人。ですが私の推理では全然違うんですよねー。
続きは後半で。古畑任三郎でした。皆さん来週お会いしましょう」

デレッテッテッテーン♪

       

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