Neetel Inside ニートノベル
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 「さぁ、入ってくれ。どうぞ」「おう...」「はぇ~、すっごくおおきい...」

 午前1時少し前、チミモーリョーと化した団地を抜け出した俺と月子はスメラギの家に招かれた。
 廊下には結構な額がするであろう骨董品が並んでいてその奥にある『 TATHUKI 』と札が付いた部屋に入ると俺たちはゆっくりと腰を下ろした。

 「まさか本当にお前からメールが来るとな」スメラギは嬉しそうに俺らを見て笑った。友達居ないなこいつ。

 「困ったときに頼れるのは友達だからよ」俺が答えるとひとつ咳払いをしてスメラギは月子の胸元から目を逸らした。女に免疫ないなこいつ。

 「なんだ、おまえやっぱりオレの力が必要というわけか?」

 「いや、違う。なごっチとよつ君にメール送ったはずなんだけど、なんだか駄右衛門ってヤツやデーモンさんからメールが返ってきてよ」

 「お前...まぁいい」哀れんだ目を向けながらスメラギは首を振った。「それでお前の妹の事だったな」ちらりと目をやるとスメちゃまはぶつぶつと小声でつぶやき始めた。ここで彼の口元にマイクを寄せてみよう。

 (この女、オレの部屋に上がってからもう42回も陰茎の幼児語を連呼してやがる。やっぱり脳みそ海綿体野郎の妹はそうなのか?)

 「ちょっと!コソコソわたしの悪口言わないでよ童貞きん○まびんぼっちゃま!」「ちょっと月子!」

 団地を抜け出してはや3時間。月子の症状は悪化の一途を通るばかりで初対面のスメラにもトラウマレベルの下ネタをぶつけてしまう。「いや、俺は童貞じゃないぞ?」平静を取り繕いながらスメラギが弁解する。

 「中学時代吹奏楽部に所属していた俺は夏の強化合宿に参加したんだ。あれは2年目の夏のことだった。場所は都市部の市内で俺たちは名のある国際ホテルに宿泊した。まぁこの家と比べれば大したことのないグレードだったがな。俺の部屋は二人部屋だったが同部屋になる予定だった男が大会当日に欠席してな。そのため俺の部屋は一人部屋となった。そして大会二日目の夜先輩の女、名前は忘れちまったがいい女だった。彼女が俺の部屋のドアをノックし部屋に招きいれると汗ばんだジャージの下には何も着ていなかった。抱きつかれてベッドに押し倒され相手に求められる形で俺の初めての性体験は始まった。俺は服を脱ぎ捨てると彼女と唇を合わせ剥き出しになったお互いのそれを擦り合わせてシーツの上で乱れると彼女が俺のものを欲しいと言い出した。俺は困惑した。避妊具を持っていなかったから。しかし彼女はそれでもいいと言った。いや、それが良いと聞こえたのは俺の気の迷いか?何度か挑戦して踏み入れたその地は温かく俺のすべてを包み込む安心感があった。彼女もまた幸福感で満たされた微笑を浮かべていた。俺は静かに腰を動かした。彼女が快感に陶酔するような瞳で俺を見つめる。俺はそのスピードを速める。このまま快楽を浴びていたいという気持ちと更なる絶頂を得たいという気持ち。俺はそのふたつの衝動に本能を鷲掴まれながら夢中で腰を振った。ベッドが壊れそうだった」

 「おら、客人にお茶だせよ。カンカンに入ったやつあるだろ。お前んち金持ちなんだから」「お前。。。」

 ホラ話を語りだすスメラギを見て呆れて話の腰を折る。月子は話のビートを打つようにち○こ、ちち○こ、ち○こと小刻みに肩を揺らしていた。

 「それがもてなしてもらう人間の態度か...うん?...下世話な言葉の連呼、お茶、そうか、すべてが繋がったぞ!」

 原西のネタのように手をぽん、と叩くと頭に電球を浮かべながら(実際は浮かんでいない。漫画じゃねぇんだから)スメちゃまは俺たちに声を張った。

 「妹の症状はひゃっくりだ!きっと寝る前に淫らなことでも考えていたんだろう。お前の妹だからな」

 「まじかよ!?」月子に目をやると淫語を飲み込むように口を膨らませてこくこくとヘドバンを始めた。なるほど。それならなにか食べ物を食べてその症状を抑えようとした行動にも辻褄がつく。かもしれない。

 「解決方法があるのか!?」「ああ。うちの紅茶キノコを見舞ってやる。あまりの苦さに屋根裏のねずみだって気絶するレベルのヤツだ」「お前んちネズミ出んのかよ!」「突っ込みどころそこかよ...まぁ、いい。すこし待ってろ」

 スメラギが立ち上がると緊張の糸が切れたのか、ぶはっと息を吐いた月子が部屋中に響き渡る大きさで声を震わせた。

 「あっあっ、ひぃやぁぁあああんんぁああああ!!」「普通に喘ぐな!」

 その時だった。嬌声に反応してスメラギの履いているズボンの股部分が大きく跳ね上がった。「あっ」とオレが声を出すより先に月子が膨張したソレを指差した。

 「こら!なに勃↑起↓している!」「ち、違う誤解だ」思わず中腰になったソイツを見て俺は月子にネタぶり。

 「勃起鑑定士マーラーディックソンさん、お願いします!」

 「ウ~ン、、、GooooooN!!!」

 「クロスチョップハリケーンスペシャル!!」「ツァ!イテェ!」

 ボッキメンに正義の鉄槌を食らわすと衝撃で押し出されるとようにしてスメラギははけて行った。
 
 「やったな月子!これでやっと淫語ロイドから人間に戻れるな!」「黙りなさい!この早漏!」
 「なに!?お兄ちゃんは遅漏で休み時間にトイレに渋滞ができるのを知らんのか!?」

 「おう莫迦兄妹、これだ」

 スメラギがドアを開けると茶色い液体の入った大きなビンを抱えてドアを開けた。「うげぇ、それ」まがまがとした見た目から開栓した未来のニオイが伝わってくる。

 俺が鼻をつまむと月子が立ち上がって凄い勢いでスメラギが持つそのビンに駆け寄った。

 「きのこーー!!」「ッアァッ!何をする!やめっ!」「月子!」

 スメラギを押し倒すと月子は紅潮した顔で転がったビンの中身をねだるように舌を這いずらせた。

 「はぁぁああ。月子スメちゃんのちっちゃいキノコ欲しい...」「やめろ!この、ちっぽけな小娘がっ!」

 またがった月子のふくらはぎに触れるスメラギの怒張したソレがズボン越しにゆっくりと伸びて妹の股下にぶっ刺さった。

 プチン。俺の中で細いワイヤーが切れる音が鳴り響いた。目の前で妹が汚されるという兄としての最大の屈辱。これは殺しても構わないだろう。

 オレは壁にかけてあったバトルアックスの柄に手をかけた。「てめぇ、よくも人の妹を...」「ち、違う誤解だ」

 「どいてろォ、月子!」「きゃあぁああ!!」「わあああ!殺されるッ!!」

 俺が斧を振り下ろす瞬間、間の前が硝煙で包まれて体が後ろに吹き飛んだ。「なんだ!?」俺は衝撃で壁に叩きつけられた。「租ちん○ん!」月子が心配しておにいちゃんの言葉の置き方で俺の大事なところに向かって叫ぶ。

 「私の名はファン・ウェルメスケルケン・彩子!」

 部屋の煙が薄くなると立ち上がったスメラギの横にメイド服を着た体格の良い女がバズーカ砲を肩に担いで俺たちに見得を切った。

 「うちの召使だ」スメラギが紹介するとつりあがった眼鏡をかけたその女は俺たちの前に出て高慢ちきな喋り口で語りだした。

 「私はイギリスでメイド修行をしていたところタツキぼっちゃまのお父様から命を受けこの家に仕えてきた。ぼっちゃまに手出しする者は友人だろうが許さ...」

 「男女平等ぱーんち」

 「んな!?」「なにをする!?」

 ズンズンと歩いて女の顔にグーパンを食らわすと倒れたそいつの髪を掴んでこう言ってやった。

 「おめぇら話し出すと一々なげぇんだわ!感想書いてもらうんだからさ!ちゃんとやろうよ!漫画じゃねぇんだからさ!」「そんな正論を...」取り乱すスメラギタツキ。

 「こ、この頭の弱い高校生が...!」年増女が立ち上がって再びバズーカを構えた。「いまだ月子!」俺が月子に合図を出すとご丁寧に“LOCK”と書かれたレバーをサッと横に引いた。「何っ!?」

 オバンが引き金を引くと勢いよくバズーカが破裂し、破片と衝撃でスメラギとメイド女が吹き飛ばされ壁に体が童夢くんのようにめり込んだ。

 「万歳ヴィクトリア!」硝煙が止み指を跳ねると俺はその場で飛び上がった。「その決め台詞は流行らないし流行らないせないわよ」

 「おい月子おまえ」「あっ」口元の手を当てる妹を見て俺はその手を握った。

 「な、治った!」「淫語ロイドから人間に直ったぞ!」「やったぁ!」

 「め”ぇむ”」月子が抱きついて俺はその場に崩れ落ちた。「なんだか分からんが良かったな」スメラギが俺らを見て鼻の下をこする。「フン!次会ったら覚えてなさい!」捨て台詞を残して忍者のような身のこなしで年増メイドは姿をくらませた。

 「おいそろそろ放せよ月子」久しぶりだった兄妹水入らずの大冒険。抱きついた時小声で「しあわぁせ」と月子が言ったのは気のせいじゃなかったと思っている。

この一件で俺たち兄妹は仲良くなった。(意味深)とかじゃなくて純粋に兄妹としてお互いを見て話せるようになった。
この後スメラギの勧めで月子を病院に連れて行ったのだけれど、咽喉科と聞いて親父は淫行科と勘違いしてなぜか延髄蹴りをくらった。
これだから中卒ド底辺クソ土方は嫌なんだ。おかげでせっかくこないだの喧嘩で治りかけていた首の筋を痛めてしまった。馬鹿たれが。

その後スメラギはいたいけな女子中学生の柔肌にいきり立ったソレを押し当てた後ろめたさから取引先の建設会社をウチの団地に派遣して大規模な改装工事が行われた。
騒音トラブルに悩まされていたというオバハン集団は皇コンツェルンからの高価な粗品を受け取ってホクホク笑顔になり、団地に平穏が戻り始めていた。。。!


 「んねぇ。おねぇさんと、きもちいいこと、してみない?」週明けの朝、俺が携帯に向かって女声を作っているとふすまががらっと開いて制服姿の月子が顔を出した。

 「ちょっと!クソ兄貴、朝から何録音やってんのよ!」「おい!マイクに余計な音声が入っちまったじゃねぇか!」

 「うわ!彼女居ないからって自分用のおかず自炊してんの!?もー、むりむり!まじできもいきもいマウンテン!」「こら、月子!」

 妹を追って俺は改装作業中のブルーシートを蹴って団地の通路を駆け出した。梅雨が止み、まぶしい太陽が月子の夏服のブラを透けさせている。俺は大きく鼻から息を吹き出す。俺たちの青春は始まったばっかりだ!


       

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