Neetel Inside ニートノベル
表紙

デェーとティー
ダイスケハアンの友達メイキング!

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 「セックスだーーー!!!」

 午前五時、アケガタに、叫び声ひとつ響いてった。枕元におかれたレディオ。雨は降らないらしい。
 そう!今日はオレの高校入学式!近隣地域、各中学校から集結した色とりどりのジェイケィとやりまくるぞー!はやる気持ちを抑えられずオレは部屋の窓から顔を出して叫んでいた。

 「あふぅ。。なぁにお兄ちゃん。XJAPANのひとみたいな声出して...」

 「セックスだーーー!!!」「うっさい、コピペすんなし」

 痛烈なローキックで正気を取り戻すと後ろに妹の月子が着崩したパジャマ姿のまま立っていた。胸のボタンがふたつ開けてあってその間から年の割には大きなぱいおつが顔を出していた。安心してください!妹には発情しませんよ!やっべぇ、いいにおいする。オレがパンイチで振り返ると月子はあくびをしながら俺に向き直って憎まれ口を叩いた。

 「ちょっとあんた何時だと思ってんの?あんまキチってるとまたお父さんに4WDで山奥引きずり回されるよ」

 「ヘェイ!妹よ!今日は何の日だと思う!」
 「さっき自分で言ってたじゃない。高校の入学式」

 「その通り!」オレは妹の手をとってバレエのリズムで踊ろうとした。乗り気でない表情で月子もそれに付き合う。部屋がせまい。月子がゴミ箱に足を引っ掛けて倒し、俺が殺した1億数千匹の魂のなきがらを包んだティッシュが床に散らばった。きゃは☆はっずかすぃ~!オレは悲しみに目を背けて喜びに声を上げた。

 「今日はオレの輝ける日々の始まりの日だ!僕たちはそう、友達のように歌うんだ。ジョラゴナイッ!」

 「バッカじゃない!!?」

 流れでベッドに押し倒そうとしたが体勢を入れ替えられオレがベッドの柱に額を叩き付けれた。ごぃぃん。オレのデコで金属音が鳴り響く。

 ※引かれるかもしれないが、オレは妹の月子を何度か犯そうとしたことがある。
 君にだってあるだろう。無知ゆえの性のチカラの暴走が。

 「あんたみたいなブ男にイマドキJKがコマせるわけないじゃない!せいぜい机とキスしてるのがお似合いよ」

 「なんだと…!オマエ今このオレになんつった!?」

 「だからあんたに恋愛なんて無理だっていってんのよ!ぴっちり七三分けで二次関数でも問いてなさいよ。そうよ、あのクソ忌々しい中学時代のように...」

 「中学時代のことかーーー!!!」

 オレがスーパーサイヤ人ピンクになっているとドアがばたんと閉められていた。

 はぁ。オレはふいにむなしくなって窓の取っ手に手をかけた。外はしとしとと雨が降り出してきた。イィヤン!神様のバカァン!!この桜散らし!

つづく。

     

 きょきょはきょうからダイスケくんが3年間通う向陽東高校の校舎ですょぉ!

 自己紹介の後でクラスのみんなも少しずつ打ち解けてきて...
って、おやおやだぁいすけ君!休み時間にひとりで机に突っ伏してたらくぉいびとどころか友達のひとりもできませぇんよぉ!そぉんなに激しく頭を机にこすり付けるなんて、なにかとても嫌な思いをしたに違いありませんねぇ。それでは天国の滝口順平から現世にお返しします。

 「完っ全に失敗した。。。!」

 自己紹介でどんずべったオレは激しい自己嫌悪で机に頭をこすり付けていた。

 席を立ちオレがあの台詞をクラスの女子に言い放ったときのクラスの空気感。あの氷結ぷりを思い出すだけで今年の夏は乗り切れそうです。妹よ。まぁ、この件でクラス替えまでオレの彼女ゲットは遠ざかったのは決定した。なんてこった。パンナコッタ。チンコタッタ。

 いや、漫画かなんかで女はできの悪い男に母性本能をくすぐられると聞いたぞ。よし、漏らそう。いま、漏らそう。それだけがオレがこの閉ざされた世界クラスに出来る唯一つの “叛逆” さ。

 「なぁ、セックス君!」

 オレがケツにチカラを入れていると後ろから声をかけられた。少し待て。もうちょっとでこの机一帯にオレの小便を漏らすことができる。

 「起きとんのやろ?シカトせぇへんでや!」

 声の主がばしぃんとオレの背中を叩くと小便意が一気に引っ込んだ。

 「ヤロー!膀胱炎になったらどうすんだ!?」

 オレが振り返るとワックスで髪をつんつんに逆立てたチビスケがたっていた。

 「そんな、作者じゃあるまいし。それに膀胱炎はオシッコ我慢してなる病気ちゃうで。ボーコーに細菌が入ってケツに指入れらて検査されて...」

 「なんだぁ、オマエ。もしかしてオレにホモセックスの誘いで来たのかぁ?」

 クラスの後ろの女子共がわぁ、と色めきたった空気を感じる。この際腐女子きっかけでもいい!これを股がかりにクラスの美女集団とお近づきになってやる!

 「まーまー。、いきなりそんなイキんなって。オレはナニワのナゴヤカマン、名古屋章太郎!さっき廊下でクラスの女の子がキミの話してんの聞いたで。なんか放課後、話したいみないなこといっとったなー」

 「それはまことか!?」

 オレが立ち上がると彼は二カっとした顔でぼくに言った。

 「ホンマやって。結構かわいめでコッチも大きめやったな~」

 うぉほほ!彼が胸の前に両手を持っていって上下に揺らす。

 「せやから絶対行ったほうがええって。場所は屋上。『そいつらには章太郎の紹介で来た』っていうんやで」

 「えっ、なんで?」「んも~ヒトが悪いで~セックス君!」

 彼は気味の悪いオカマ声でぼくに頭をこすった。よっしゃ!放課後絶対行く!

 オレがありがとう!と彼の両手を握るとうざったらしい先公(中年。ハゲ。キモイ)が入ってきて俺達は席について授業を受けた。

 …オイオイ聞いたかよ妹よ。オレのことをこんなにも欲している女の子がこの学び舎にいるんだぜ!きっと今もその娘はオレのことを妄想してドキドキしているに違いない!嬉し恥ずかし初体験、オレは時計を見上げた。歓喜の瞬間が徐々に近づいている。俺のことを必要としてくれる人がいる!…こんなに嬉しいことは無い。


万歳ヴィクトリア!!僕の童貞と君の処女を交換しようよ!」

 思わず席を立ち上がって叫んでいた。クラスメイトの数人がボケッとした顔でオレ様を振り返った。その後ハゲ教師による離脱の魔法タットレイによりオレの体はクラスの墓地ともいえる廊下に送られた。

 「墓地でぼっち。。。ふふっ」

 水の入ったバケツを両手に持ちながら俺は放課後での出来事を想像して期待を膨らませていた(ドコを膨らませていたとは言わんが)。

     

 やあ!オレ、ダイスケ!クラスメイトのツンツン髪君が「オレと話しがしたい」という女の子がいると言うタレコミを受け期待に股間を膨らませてオレは午後の授業をやりすごした。オレに会いたいという女性、一体どんな人なんだ!?先に言っとくがクラスのブス(オレが無理だと思うレベル)はあの時全員教室にいた。ということはそのとき教室にいなかった美女集団の誰かだということになる。さっすがダイスケ名探偵!いっそグループひとつ相手にしてもいいんだぜ!俺の股間のアメリカンクラッカーがかっちんかっちんと弾んでいる。今すぐにこの想いをぶちまけてやりたいぜ!

 そんなこんなで放課後屋上に来たのだけれど。。。

 「おーい、オマエラその辺にしとけよー」

 雨上がりの湿った屋上、オレの体はサッカーボールのように不良共のつま先で蹴り上げられていた。柄の悪い制服を着崩した連中が泥だらけになった制服のオレの姿を見てあざけ笑っている。「やめねーよ」オレの襟首をつかんだヤンキーが頭突きをかまして体勢を崩すと腹に思い切り膝を打ち付けてきた。オレは胃液をぶちまけるとそこへ再び転がされた。

 「ごめんなーセックス君ー」

 奥に座ったボス的存在の男がオレに声を伸ばす。その声には一切の感情を感じなかった。

 「これは東高伝統のアイサツでねー最終的に呼び出されたヤツが俺ら上級生にぼこられるシステムなんだわー」
 「こんな脳みそからカウパー出してるよーなの俺らに押し付けるとはよー」
 「あのチビ、とんだ悪人だぜ」

 「ちっくしょーーよくもダマシタなぁーーー!!!よくもだましてくれたなぁーーーー!!!!しずおかぁぁあああ!!!」

 転がりながら声を張ると不良集団がオレを見て笑った。

 「汚ったね。ゲロまみれじゃん。これ以上殴れねーよ」
 
 今までオレを殴っていたヤツさえ俺と距離を置いた。

 「おい!おまえら!」

 事の次第を震えながら見守っていた陰キャ共にオレは声をあげた。

 「見てねーで助けろ!それかセンコーか警察か機動隊呼べ!ボンクラども!!」

 オレの声を受けてきゃつらはホモのように体を寄せ合って小声で話し始めた。

 「だってアイツら、自分の親とか殴るんだぜ。何考えてるかなんて分からんよ」

 「そ、そうだぜ」「俺らかんけーし」

 「ま、いちおー言っとくけどさ」

 リーダー君が彼らを振り返った。

 「後でひとりでもチクるヤツいたら、アレ以上痛めつけっから」
 
 それを聞いて凍りつく陰キャ共。

 「おい、いい加減にしたらどうだ?」

 声を発したのは身長180はある大柄の少年だった。不良たちに尖った視線を向け『ヒーロー見参!』 とばかりに半身でポーズをキメている。

 「オレの名は皇起起すめらぎたつき。クラスの連中からオマエラが威張り散らしていると聞いて馳せ参じた。コイツやオマエたちになんの思いもないが事態を広げないためにもこの辺で手打ちといこうぜ」

 「あれー、チクるヤツ出ちゃったっかー」「なんだコイツ!」「前の方こいや、コラァ!」

 陰キャ共が道を空けると彼は海をまっぷたつにさいて紅海を渡ったっつうモーゼのように彼らの前に姿を現した。切れ長の細い目にかかりそうな前髪が風でたなびいている。

 「暴れたりないんだろ?俺が相手してやるよ」

 「か、かっけぇ...」思わず言葉が漏れていた。いじめられている同級生を見て喧嘩を止めに入る。そんなの漫画やアニメの話だけだと思ってた。真似したくたって怖くて出来ねーよ。すげーよ、かっけーよ。オレもオマエみてーなオトコになりてー。

 「ほら来いよ」

 彼は学ランの上を脱ぎ、不良共を手招きした。どうする?と味方に尋ねられたキングがカッと顔をしかめた。
 
 オレは彼の顔を見上げた。見た目も悪くねぇ。オメーはオレの、いやオレ達のヒーローだぜ!オレはヤツらに相当数殴られたんだ!いっちょやっちまってくれ!



 「あの、これ以上、殴らないでください。お願いします。。。」

 「おい、どうする?」殴っていた奴から尋ねられてキングが額に手を当てて大きくため息をついた。顔を大きく腫らして小声で命乞いをする彼を見て俺らもため息をついた。

 彼は内股でファイティングポーズこそとっているが今にもお小水を漏らしそうだった。雨上がりの空のよどみと作者の執筆ペースの遅さで空気に暗雲が垂れ込めてきた。

 どうすんのこれ?後半につづく。

     

 細目イケメン君がぼこられ、万事休すのオレ達。すると奥に座っていた不良集団のキングがゆっくり立ち上がって手すりの向こう側を見つめた。後ろに流した前髪が風で逆立つと彼はオレを見てビックリするような台詞を吐いた。

 「おい、おまえ飛んでみろ」

 オレは起き上がってその場でジャンプを2度、繰り返した。ズボンの中の小銭がちゃりんちゃりんと音を立てる。

 「そうじゃねぇよ」不良たちがオレを見てせせら笑う。背中を冷や汗が伝う。こいつら本気マジで言ってんのかよ。顔をあげるとキングが左の手すりを指差して「そっから」と口を開く。「うそだろ...」「なんてこった」陰キャ共の顔もすっかり青ざめていた。

 「だいじょぶだって。4階だから死なねぇって」笑みを浮かべるキングに取り巻き達も同調する。「下落ちんだよ90度」「ほら、あくしろよ」

 連中がおそらく覚えたばかりの淫夢語でオレを煽る。隣に立っているイケメン君と目線がすれ違う。そしてオレは奴らの言うとおり左側に立てられた腰の上ぐらいの手すりに向かって歩を進めた。

 「おい、おまえ!何やって...!」

 「おー、あいつ飛ぶ気だぜー!」「ゆーきゃんふらーい!」

 「本当に飛ぶつもりなのか...」「ちょ、動画、はやくしろよ!」

 口々に様々な言葉を受けオレは処刑台へ向かう。オレが飛べばこの騒動が終わる。そうすればもう誰も殴られない。「へぇ、結構頭いいんだ」手すりを越えて振り返るとオレはキングを睨み返した。

 「チャリ置き場の屋根があるだろ?」オレは視線を下に落とした。そこに落ちればなんとか腕の一本ぐらいで負傷は済ませられるかもしれない。風が強くなり握った丸棒は湿り気を増していく。

 「頭から落ちるなよ」なけなしのアドバイスを受けオレは奥歯をかみ締めた。


 「待ってください!」

 入り口の方から聞こえた甲高い声を受けてオレは振り返った。階段を息切らして駆け上がってきたであろう声の主は膝の上に手を置いて正面を向き直った。

 「僕の名前は四ッ足歩よつあしすすむ!この屋上でいじめが行われてると聞きました!いじめは絶対ダメ!ホントダメなんだからっ!」


 「なんだコイツー!!」不良共が彼のオタッキーな風貌を見てあざけ笑う。

 「オメーの幼馴染かよ」ヤンキーに言われて俺は彼を見つめた。丸めがねをかけ両手でカバンのベルトをガッチリ掴み、左ポケットからはガラケーのストラップ(アニメ缶バッチ)が顔を出していた。彼はこの騒動を止めるために精いっぱいの勇気を振り絞ったのだろう。オレは感謝と同時に申し訳ない気持ちに陥った。

 「あ、あなた達!ボクの先輩ですよね!?」丸メガくんが不良共に声を出した。

 「さっき階段で聞きました!そこの人を飛ばせようなんて!...なんでそんなことさせるんですか!?」それを聞いて不良たちが下卑た声を這いずらせた。

 「あ?なんでだって?」「おもしれからに決まってんじゃん」

 「許せない...!」丸メガ君がぎゅっと両手を握って彼らの前に出た。

 「おい、お前」「これお願い」イケメンに上着を預けると彼は独特の構えをとって奴らに見栄を切った。

 「オイオイこいつやる気だぜ!」「馬鹿じゃね?」「ヒーローアニメの観過ぎだろ」

 「待てよ」げらげら笑う馬鹿共の前に大柄のヤンキーが姿を現した。

 「いいぜ。俺が相手になってやる」影が顔を覆うと彼は丸眼鏡をはずして尻ポケットにそれを押し入れた。なに、キミ。本当にやる気なの?オレはこっそり手すりを乗り越えて事のいきさつを見守ることにした。

 「おまえの勇気に免じて、一瞬で眠らせてやるよ!」

 「あれは!」「出た!山田北の掌打!」

 不良共の声を受け大ヤンキーが右手を振り下ろす。

 「こっちまで衝撃が来たぁ!」ものすごい風圧に陰キャ共数人がその場から吹き飛ぶ。「あんな弱そうな奴にフルパンなんて、まじか!」思わず額の汗を拭っていた。

 「はい、ワンパンKO」「体格差考えろよ!」

 パン、と手を叩くキングを見てイケメンが声を張る。しかし大ヤンが辺りを見渡している。「くそ、あのチビどこ行きやがった!」その声を受けてみんなが視線を向ける。少年が忽然と姿を消した。「...こっちだ」「っ!?」

 キングが立ち上がると声も出さずに大ヤンの巨身がその場に崩れ落ちた。

 「またこっちまで衝撃が来たぁ!」そして再び陰キャ共の体が飛び跳ねた。

 「だ、だいじょうぶか!」「ぐおおお!」

 敗れ去った巨人を見てヤンキーのひとりが汗だらで話し始めた。

 「山田北は見た目なんかは他のやつらとほとんど変わらねぇがあえて目立たねぇ様に自己主張しねぇ分食事とトレーニングで筋肉量を増加させて殴るより圧力で相手を失神させることを目的とした玄人好みの扱いにくすぎる掌打。使いこなせねぇと普通のパンチより弱い。ただの見掛け倒しみてぇなもん。ぐおおお!その山田北を倒すなんて何だあのガキは?」

 「長々と解説ごくろーさーん♪」「...ぐは」

 「ありゃりゃー。さすがに背後から一発は卑怯やったかな?」

 「なごっチーーー!!」見覚えのあるツンツン髪を見て俺は歓声をあげた。

 「逃げたわけやないで!助けにきたんや!」血の付いたスコップ片手にチビスケがオレに向かって親指を立てる。

 「てめぇ!」「面倒だ!まとめてやっちまぇ!!」

 「下がって!」丸メガ君がオレらに指示をだすと彼はものすごい速さで奴らに立ち向かっていった。その姿を見て陰キャのひとりが声をあげる。

 「アイツのアンダーシャツ、舞流伝ぶりゅうでん中学のヤツじゃね?」

 「まじかよ!?プロの格闘家集団を遊び感覚でワンパンKOしたっつー動画あげてるあのブリュチューの卒業生かよ!?」

 「はは、こりゃーすげー助っ人が来たってもんだ」オレは勝利を確信してポケットから携帯を取り出した。他のヤツもオレと同じように彼の美技をその筐体に収めようとカメラを向けた。

 「こんのチビ!」「もっと、伸ばすわ三頭筋」「ぐはっ!」

 「調子のんな!...うしろ!?」「砕いて肩甲骨」「ぶべらっ!」

 「まとめてかかれ!おらぁ!!」「パンチを避けて投げ、キック」


 「なんて奴だ...」隣に立つイケメンくんの頬を汗が伝う。

 「あいつ『アップルパイプリンセス』の替え歌のリズムで敵を蹴散らしてやがる...」「でっかいぱいぱいおしりぷりぷりぷりんせす?」「耳鼻科へ行け...」


 「さぁ、残りはあんたひとりだ!」

 オレがキングを指差すと彼は丸メガくんを見てニィと笑うと目に追えるギリギリの速度で飛び蹴りを繰り出した。

 「なんて速さだ!」「超スピード!?」

 バトルは空中戦になり、オレ達は空に響く衝撃波の残像を目で追うしかなかった。えーと、これ何小説だったけ?しばらくして空で声が響いた。


 「そろそろやめにしませんか?」

 シャツとズボンが破けた丸メガ君が地に足をついた。しばらくしてキングがそれに同調してたん、と右足をついた。彼もまたいたるところを負傷していた。

 「あなたはイイ人だ。これ以上僕はあなたと戦いたくない」

 その声を受けてキングがふっと笑いこっちへ視線を向けた。そして細く息を吐くと丸メガ君に小さく言葉を切った。

 「もう日暮れだ。場所と日を改めてもっかいろう」


 「ほらどけ」「ひ、ヒィっ!」陰キャ共を押しのけるとヤンキー集団が屋上の入り口に向かって歩き始めた。闘いは終わった。オレ達はふぅ、と息を吐いた。

 「あの!」丸メガ君がキングを足止めた。

 「もう、こんなことをしないって約束してもらえますかっ」

 その声を受けて「おう、考えてやるよ」とやまなんとかがクッソむかつく言いまわしで代返した。

 「ありがとう。本当に助かったよ」「い、いやぁそんな」オレが手を差し伸べると丸メガくんが超スピードで手を振った。「いやいや」オレは彼の手を握って言った。

 「キミは今回のMVPだ!どっかの見掛け倒しと裏切り小僧とは格が違うよ。格が」

 「な、なんだとっ!」「ち、違うで!オレはコイツを連れてきた...」

 「とりあえずメルアド交換しようぜ!」「えっ!?いいの?」

 オレとよつ君は携帯を取り出して番号を交換した。それを覗き込むスメラギとなごッチ。 

 「なんだオマエ。LINEやっていないのか?」「そんなんやってたらクソ忌々しい中学時代のヤツと繋がっちまうだろ!ほら!キャリアどこ?」

 オレがふたりに尋ねるとやつらは顔を見合わせた。

 「まぁ番号だけやったら」「夜中に変な画像とか送ってくるなよ」「それは約束できない」「約束しろよっ!」「ははっ」「お前らおもろいやんけ!」

そんなこんなで今日、オレに3人も友達が出来ました。どうだった妹よ。夕飯後にこの話をしたら月子はオレを見てこんなことを言いやがった。

 「え?あんたもしかしてソッチ系なの?」「んなわけねーだろっ!話聞いとけよっ!」

 頬に手のひらをくっつけた月子の腕を下げ、鎖骨にあたりをぽん、と叩いた。すると月子が両手を目に当てて後ろを振り返って猫なで声を出した。

 「えーん、おにいちゃんにおっぱい触られたー」「なにィ!?」

 ナイター中継を見ていたオヤジが立ち上がった。親父はレスリングで国体入賞経験があって娘の月子をめっさ可愛がっていて俺が妹にちょっかいを出すたびにことごとく殴られていた。

 「ち、ちがうよ、おっぱいの上叩いただけだって!」

 「てめぇ、ダイスケ...脇を食いしばれぇ!」「わ、わきぃーーー!?」

 突っ込み切る暇もなくオレは裸足のミドルキックを右腕に受け、18号に蹴られたべジータのように壁に叩き付けられた。「うっさいんじゃ!ボケ一家!」壁の向こう側のババアが怒鳴り声をあげ、隣室にすむモンペア一家による壁ドン(正しい使い方)により跳ね返されてオレの体はソファに座る月子の膝の上に頭をもたれる形になった。妹が小声でオレの髪を撫でた。

 「がんばったね。お兄ちゃん」「...う、うん」

 オレが照れていると月子の指が側頭部を指でつー、となぞっていって、そこに飛び出ていたかさぶたを指で摘み、それを一気にベリリ!顔から剥がしやがった。

 「痛ッツァアアッーーーー」噴水みたいに血を流すオレを見て月子は立ち上がり居間のドアに手をかけた。「調子のんな馬鹿兄」「くっそ、妹!今夜こそ犯してやる!」「クォラ!ダイスケぇ!!」

 妹を追うオレ。そしてオレを追うオヤジ。つまり...挟み撃ちの形になるな。ドグシャっ!!その後描写できない残酷なシーンが団地の一角で繰り広げられたのだった...




 あ、おわりです。おわりですってば。気が向いたときにでも続きを書こうと思ってます。セックス!!


       

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Neetsha