男の前に現れた老人が言う。
「人生で大切な3つの理がある。寝る食う喋るだ。」
男は老人を先生と呼び、老人もまたそれを受け入れた。
男は来る日も来る日も、寝食を惜しみ先生に教えを乞うた。
そして老人もまたそれを受け入れ、寝食を惜しみ、残りの人生の全てを費やし男に己が行きた人生の全てを教え込もうとまで考えた。
間もなく老人は息を引き取った。
男が寝る間も惜しんで教えを乞うたのは、それを受け入れた老人にとってはあまりにも体を酷使したのだ。したのだ。
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