Neetel Inside ニートノベル
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退魔を担う彼の場合は
第二十三話 憎悪の果てに

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「…ぐ…ぅ……!!」

 冷たく埃っぽい床が眼前いっぱいに広がる。強く高く、しかし確かな乱れが生じる心臓の鼓動が脳内に木霊する。
 魔獣の因子を持つ女、音々は浅く細くと呼吸を繰り返しながら弱り切った体で地面を無様に這う。
 昨夜の勢力が再度の襲撃を仕掛けて来たことを知り、迎撃に赴こうと工場を出る間際のことだった。
 突然に感じ取った明確な敵意に振り返り、音々は背後のジャドが振り上げた腕を、その五指を回避―――し損ねた。
 僅かに掠った爪の先が音々の柔肌をほんの少しだけ裂いた。
 猛毒の人外、七歩蛇を相手にしてこの擦過傷はすぐさま致命傷と化すことを音々は知っている。言い様の無い不快感と寒気はあっという間に全身を支配した。

『ヒヒッ。テメェはもう用済みだよ。どうせこのあと裏切るのがわかってんだからなぁ。ちなみにテメェの毒殺は全員了承済みだぁ。ご苦労さん、精々お得意のお歌でも口ずさみながら黄泉へ発てや』

 倒れ伏せた音々を見下ろし、ジャドは酷薄に笑いながらそう言い放った。狙いを、目的を見透かされていたのだと気付き、視線だけを上げて忌々しい『敵』を睨む。
 元々この組織には興味が無かった。あったのは、そう。
 甚振られ虐げられ、それでも尚『商品』としての価値を利用され続けていた白銀の少女のこと。
 基本的に、魔獣種は幻獣種とは反目し合う間柄にある。どこが嫌いとか、何が好かないとか、そういう話ではなく本能的な問題で。
 『聖族』たる少女と、『魔族』たる音々とでは必ず対立が発生する。
 そうならなかったのは、両者が両者ともどこか変わっていたから。
 白銀の少女は全身に殴打痕や青痣を作りながらも音々に憎悪を向けることはしなかった。幼さ故か、少女は少女らしさを欠片も失わぬままに虐げられていた。受け入れているわけでも、諦めているわけでもなく。
 その在り様が、音々に感銘を与えた。尊敬した、と言い換えてもいいだろう。
 ともすればそれは保護欲か。少女を尊び、守らねばならぬと感じた。母性…とはまた違うのだろうか。似たような何か。
 やはり音々という人外も変わっていた。
 少女に感じたそれらの理由を全てひっくるめても、それらを全て詭弁と断じても。
 音々にはその女の子の為に動く理由がまた別に一つ、あった。
 新雪が如き白い肌に、埃を被ろうとも輝きを失わぬ銀の髪。負に呑まれぬ紺の瞳。
 とどのつまりは、簡単な話。
 そういうことなのだ。



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 背後からの奇襲により戦闘不能、瀕死の体へ音々を追い込んだジャドはといえば。今度は自身が静かに歩み寄る死の気配に総毛立っていた。
(なん、だっ!?コイツ…一体なんだ!?)
 殴られる際に牙を当てた、どうにか汗の滴る爪を立てることだって出来たし、なんなら噛み切った口腔内に溜めた血と唾液を口から噴霧してやった。いくらなんでも霧を回避できるほど無茶苦茶な人間ではなかったし、噴霧が肌に付着するのも確かに見た。
 ありとあらゆる手段で、ありとあらゆる体液もうどくをぶつけてやったはずなのに。
 どうしてこの小娘、平然としていられる?
「なんどぅべっ!」
 とうとう口に出して叫びそうになったところ、少女の小さな握り拳が全力で頬を打ち抜き中断される。明らかに、この打撃も普通ではない。並大抵の童女が繰り出せる威力をゆうに超えている。
「…弱い。毒しか取り得の無い七歩蛇じゃ、やっぱりこの程度?」
 動きづらい着物姿でも着崩す様子すら見せず、幼き退魔師は草履を滑らせて疾駆する。こんなところで時間を食うこと自体が無駄だと言わんばかりに。情け容赦なく。
「“金剛こんごう参式さんしき蛇徹衡だてっこう”」
 殴られ宙高く浮いて工場の屋根に落下したジャドが何かアクションを起こすより前に短く唱え、五行を発動する。
 屋根がメキリと剥がれ、等間隔に屋根の骨として機能していた鉄骨がうねりながら捩り切れた先端をジャドの腹部に突き刺す。
 いくら人外といえども深手。昨夜片腕を捥がれた段階で相手の実力くらいは把握していたつもりだったが、これはジャドの想定を遥かに超えた事態である。
 瞬時に間合いを詰めて、日和がジャドの首を鷲掴みにする。喀血すら遮られ、行き場を失くした出血は喉を逆流して体内へ押し戻された。代わりとばかりに腹部の出血がより増す。
「この、バケモン…その動き、なんだ、ってんだ、ぁ…!」
「…身体能力を“五十倍”くらいに引き上げただけ。旭兄ぃから借りたやつだけど」
 冥土の土産などといった気の利いたものではない。ただ問われたから答えただけのこと。日和にとってはそれだけでしかなかった。
 だがジャドにとっては関係なかったらしい。こふっと絞まる気道から圧された呼気が漏れる。
「……ヒ、ヒッ。猿真似野郎が…」
「その言い方は心外。これは“模倣”の異能」
 陽向日和は神童である。本来ならば原則人間一人の器に一つの異能しか収まらないところが、この少女は三つも所有している。
 類稀なる三重所持者トリプルホルダー。その内の一つが“模倣”。名の通り他者の術・能力を自らのものとしての使用を可能にする力。
 それを用いて、今は陽向旭の持つ“倍加”を身に宿していた。
 ジャドにもそこまでは分かった。だがどうしても、最も気になること―――毒の無効化については“模倣”で説明できる話じゃない。
 分からないという事実が不気味ではあったが、考えている余裕などない。失くした腕の断面が鈍い痛みを放ち続ける。それ以上に腹部の激痛が勝っていたが。
 残った片腕で首を掴む日和の細い腕を掴み返す。びくともしないが、構うものか。
 逆流し胃に流れ込んだ血液に体内の毒素を大半練り上げ濃厚な毒液を生成。今度こそ咳に混ぜて吐血を浴びせかけた。
「…うわ」
 不快感を露わに、ジャドの首を掴んでいた日和の腕に毒液が直撃する。顔を狙って放ったものだったが、結局それは躱されてしまった。
 しかし腕だろうが体の一部。毒素は皮膚からでも容易に体内を侵す。濃硫酸に似た異臭が日和の着物の袖を溶かし晒された腕の素肌に及ぶ。
 手を離し、日和が毒液のかかった腕を払う。着物は二の腕の辺りまで溶解してしまい、まだ残っていた切れ端は歪みきった屋根の上にべちゃりと落ちた。
 無毒化の仕組みは不明だが、ジャド自身これは最大圧縮の最濃度毒液であり、どうあったところでまったく効かないなどということはあり得ない。退魔師だろうと人外だろうと、これは分け隔てなく致死を与える毒。

 そうでなければならなかった。
 はずなのに。
「……うーわー」

 そのはずなのに、どうしてこの小娘。自分の腕を見下ろして平然と嫌悪の表情を浮かべていられる?
「ざ、っけんなよテメェ…」
 ジャドにはもう、わけがわからなかった。常識外れにも程がある。
 宣告された余命を軽々と超えたり、圧倒的な戦力差を覆したり。そういった非常識をもっとずっと大きくした、馬鹿げた理不尽を覚える。
 なんだ。
 その言葉しか、出て来ない。
「テメェはなんなんだ、なんなんだテメェは」
「お気に入りの着物だったのに。ちょっと…怒った」
 ちょっとどころではなくご立腹らしい日和が、既に止血も忘れてぼたぼたと腹から大量の血を落とすジャドを掴み直し、もう片方の腕を振り上げる。
 ついに恐れていた死が目の前までやって来た。恐怖に震えるべき状況においても、やはりジャドはそれ以外の言葉を忘れたようにただ叫ぶ。
「なんだテメェ、なんなんだテメェは。なんだ…なんだ、なんなんだよぉ!!」
「…、『晴和せいわなりし重陽ちょうようを仰ぐ者』。って言っても、たぶん分からないだろうけど」
 揃えた五指が、手刀の形をもって相対する人外を抹殺すべく振り下ろされる、その数瞬前に、退魔師はようやっと名乗りを挙げる。
 姓名そのものに力の宿る、陰陽の真名を。

「毒なんて効かない。だって私は、『陽向日和』だから」

 七歩蛇・ジャドには最後までその言葉の意味を理解することは叶わなかった。今わの際に思うのは、この期に及んで『仙薬』を利用して溜め込んだ大金のこと。
 まるで真剣が如き鋭い手刀が、肉も骨も関係なく綺麗にすぱんと人外の首を真横に刎ねた。



「次。大天狗」
 初めての実戦、そして人外とはいえ初めての殺し。
 それらを纏めて体験しても、日和にはさして揺らぐものはなかった。ただ仕事をこなしただけ。非情と見られるかもしれないが、退魔師としてはこの在り方はむしろ見習うべきものがあった。
 死して尚、猛毒であることに変わりないジャドの血液に濡れる腕を垂らし、日和は視線を左右させて向かうべき地点を探す。大天狗鉄平と交戦中だった晶納の援護に向かう為だ。
 そこで日和は、見た。
「―――…、あれは」
 一般人の消えた工場街、視界のずっと先。夜闇の中で光り輝く一等星に似た煌めき。
 無論星の明かりなどではなく、それはとある人外が発動させた強力無比の絶技。
 この場にいる人外が残すところあの大天狗しかいないこと。そして視界を眩く染める星の輝き。
 神童陽向日和の瞳はそれの正体を即座に見抜いた。いつものように眠そうに細められていた両眼を少しだけ見開き、一息で屋根を跳躍しそこへ向かう。
「…何、考えてるの」
 敵ながら常識に欠ける人外へ抱いた苛立ちが呟きに混じる。
 防御にせよ回避にせよ、しくじれば大変なことになる。毒などよりよほど厄介なものが今、放たれようとしていた。



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 異能とは、人間種による願望の力の集約されたもの。多くの人々が望み願う奇跡の具現。
 人外が人間種の畏怖畏敬、その他様々な感情の集積によって世界に求められ生み出されたものだとするなら、異能とは人間種が自らの内に求めた特異な力。
 それは例えば手から火を出したいだとか、自由に空を飛び回ってみたいとか。アニメや漫画、映画や小説。多種多様な表現方法で人々が憧れを描く能力を現実に覚醒させる。
 もっと腕力があれば嫌いなあの男を殴り倒せるのに。もっと脚力があれば誰よりも速く走れるのに。
 そう考える多数の者達から生み出される異能が、例えば“倍加”。
 痛みを放ち続ける傷をすぐに治せれば。失くしてしまった手足を再び生やすことが出来れば。
 そう考える多数の者達から生み出される異能が、例えば“再生”。
 壊れてしまった物を壊れる前に戻したい。変わってしまった物を変わる前に戻したい。
 そう考える多数の者達から生み出される異能が、例えば“復元”となる。
 となれば、だ。

「“念力”ってとこか?テメエの異能ちからは」
 両の剣で降り掛かる鉄材や工事道具を打ち払いつつ、妖精アルムエルドは瀬戸へ言葉だけを向ける。
 工場二階にて見下ろす瀬戸が動揺することもなく無感情な肯定を返す。
「ああ。物体を浮遊させ、自在に操れる力。念動力だ」
「つまんねぇ力だ。喧嘩は自分テメエの手足を使ってこそだろ」
「くだらん持論だな」
 四方八方から襲い来る飛来物に、少しずつアルの体が押されてくる。やがて左手の剣が半ばから砕け散り、右の一本で対処し切れなくなった鉄骨の塊がアルの胴体を叩き地面に深々と縫い止めた。
 圧迫された肋骨が耐え切れず内側に折れ曲がるのを感じつつ、アルはすぐさま腹に押し付けられている鉄骨に触れ、鉄鋼を金行として取り込み剣を構成する。
「死ね、風変りな妖精」
 起き上がりながら行う工程の最中にも、小さいものは釘から、大きいものは二メートル大の鉄球が殺到してくる。アルの体が潜り抜けられるほどのスペースは見当たらない。
「チィ」
 突破する手段が限られ、出すべきではないと考えていた奥の手まで引き摺り出されたことにアルは不快に眉根を寄せた。
 構成途中の剣にある要素を織り交ぜ、無銘の剣に力を注ぎ込む。
 アルムエルドは金行を得手とする妖精種であり、その能力で武器を創造することに長けている。
 剣術も込みで、アルは日々の能力研鑚を怠ったことは無かった。その中で見つけた可能性を、今この場において付け焼刃に変える。
 鉄骨から両刃の西洋剣に変化したその刃が静かに赤熱し、熱波を放つ。
 より強くはっきりとイメージするそれは、自らの出身を同じくする北欧の武装。
 数秒後にはアルの体を貫通していたであろう、“念力”に操作された飛来物が両刃の一振りによってドロドロに融かされ矛先を見失い落下していく。
「なに…?」
 瀬戸が理解不能の現象を目の当たりにし、口を開く。
 正確に言えば、攻撃を防ぎ融かしたのは両刃剣の一振りに付随して発生した火炎。
(実戦運用は初だが、構想としては既に出来上がってた技術だ。強引にでもここで完成まで漕ぎ付けてやらぁ!)
 北欧の妖精、真名アルヴの二つ名は『魔法の金属細工師』。
 金属を加工し、思いのままに形を変えることを得意とし、さらにその金属へ特殊な効力を追加させることがアルヴの真価である。
 すなわち、無銘の剣へ贋作の銘を付与するその行為。
 描いたイメージは渦巻く大炎。北欧にて終末の日ラグナロクに地上を焼き払うとされるスルトの剣。
「喰らえ人間、“劫焦炎剣レーヴァテイン”だ」
「ッ!」
 火炎を纏う両刃剣の振り下ろしと同時、瀬戸は“念力”で浮かせた鉄骨に乗り工場二階から屋根まで飛び上がった。
 剣先に伸び上がった炎が二階の地面を舐め、全域へ燃え広がる。
「ちょ、アルムエルド!まだユニコーンの子が奥にいるでしょ!工場全焼させる気かい!?」
「やべえ出力間違えた!これだからぶっつけ本番は怖ぇな!」
 ちょうど取り巻きの武装集団を一掃したところであるらしき旭が慌てて声を張り上げる。
「陽向の旦那!あの人間押さえといてくれ、俺はあの子を助け…うぉ!」
 言いながらも奥への扉へ向け走り出したアルが驚きに仰け反る。
 炎による熱のせいか、はたまた衝撃のせいか。工場の奥へ続く扉が内側から蝶番を引き千切り吹き飛んだ。
 おかげで破る必要の無くなった扉の開けた奥が視界に入る。
 奥は物置に使われている用途が大部分なのか、重機やら加工機材やらがひしめいている。何も無い空間は五、六畳程度か。
 そしてその何も置いていない空間の中心に、それはいた。
「お前は…」
 アルの背丈ほどの高さしかない、小さな白銀の馬。
 今は四足を折り畳んで座り込んでいる全身を、くまなくギラギラした太い鎖が幾重にも巻き付いていた。その末端全ては壁、天井に連結され逃げ出せないようにきつく縛り上げている。
 白銀の、とは認識していたが、ともすればその馬は紅に彩られた赤白の毛並みと説明されても納得できてしまいそうだった。それほどまでに、本来の白と銀を汚す流血と出血が目立っていたのだ。
 姿形はアルの記憶に程遠い、まるで別物だ。しかしそれでも分かる。たとえ、ある程度の霊格を持つ幻獣種が本来の獣型から人型への変化を可能としている事実を知らなくとも。
 その白銀馬しょうじょは、
「……『うにおんユニコーン』」
「アルッ!!」
 絶句するほどに至る所を余すことなく痛めつけられ抵抗する気力すら奪われたユニコーンに歩み寄ろうとしたアルの意識を、鋭い呼び声と共に三つの陽玉が引き止めた。
 陽玉はアルの周囲で機敏に動き回り、頭部目掛けて飛んできた鉄杭を迎撃すると次撃を待ち構えるように空中に制止する。
「余計なことをするな赤髪の妖精。今は『仙薬』の元を生み出している最中だ」
 何を言っているか。そんなことは訊くまでもなかった。瀬戸から視線を外し、再度座り込む白銀の馬を振り返る。
 幻獣ユニコーンは、馬に酷似した姿をしているのは古い絵画などからもよく知られていることだ。そして、その馬の双眸の間には一本の白く長い角が生えている。
 あらゆる毒を浄化する力を持つとされるユニコーンの一角には、本体と同じ力が備わっていると信じられていた。だからこそ、一角を粉末状に砕いたものには万病を癒す『仙薬』の効能があるとも伝えられている。
 振り返り見る、視界の中で苦し気に呻くユニコーン。その紺色の両眼の間からは細く流れた血が眉間を通り顎から滴り落ちている。
 あるはずの一角は、根元から乱暴にへし折られた痕があった。また、視線をやや横に移動させれば、縛られているユニコーンの脇にある錆びた作業机が確認できた。
 その上に置かれた計七本の血が付着した白い角。折り方の模索でもしたのか、そこら中に転がる電動鋸、鉄鎚、鉈、他にもいくつかの工具が散乱している。

「……もう一度言っておこうか。―――この、下衆が…っ!」
「なら俺も再度返そうか。ユニコーンの角は折れたところで再生する。何度折ろうとすぐさま生え変わる。だから金の生る人外だと言った筈だ」
 怒りに震える声と、非とも思わぬ様子の冷静な声が間近で衝突音と一緒に移動する。誰かが何かを叫んでいるようだが、意味が鼓膜にまで届かない。

「…」
 頭の中に浮かぶ、白銀の髪の少女。目の前にいるズタボロの幻獣。
 この娘が何をしたというのか。何がここまでさせるのか。
 退魔師達は『仙薬』と言っていた。『仙薬』を用いて金稼ぎをしているのだと。
「……」
 金儲けの為に利用されたユニコーンの惨状は見るに堪え難い。そんなくだらない理由の為に、どうしてここまでされなければならないのか。
 停止しかけていた思考が、ドス黒い感情を燃料に急速に回り始める。
 守ると言っておいて、守れなかった自分の無力さが苛立たしい。金に眩んで平然と人外を踏み躙る人間が憎い。こんなことに巻き込ませた全てが恨めしい。
 ガチリと、外れた歯車が違う歯車と噛み合う。憎悪に濁る意識が正答を導き出す。
「………あぁ」
 真っ黒に回転していく思考が求める結論に、アルは満足した。

 殺そう。

 妖精アルムエルドの『何か』が引っ繰り返る。

       

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