Neetel Inside ニートノベル
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退魔を担う彼の場合は
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     ・特異家系
 特殊な力を有した異質な家系、という意味合いで表すならばこれに該当する一族は少なくはない。
 ただし現代まで脈々と力と義務を継承し続けてきた由緒正しき血統のみが真に『特異家系』と呼ばれるものであり、それ以外は大別としての呼称が主である。
 その中でも一際古い歴史を持つものがある。
 一つは陰陽師を大本とする魔を退ける陽光、調和と平和に重きを置く『陽向』。
 一つは人ならざるモノへの対抗手段として無数の人々から願われて来た人外の天敵、人の為の悪、 人外鏖殺を掲げる滅魔の『憑百』。
 一つは星の力を抱える最古の異能者、祈祷の神子、神域に至る龍脈の力を管轄する一族、情に傾かぬ絶対強者の『神門』。
 他にも特異家系としての活動を続けている一族はあれど、権力と名声を現代まで維持してこれているのはこの三家である。



     ・『陽向』
 人の畏怖と畏敬から現れた人ならざるものへのカウンターとして望まれた陽光の一族。ただし世の天秤を保つ為に人外を退け打ち倒す陽向に人外滅殺の意志は無く、あくまでも善悪の分別を付けた上でバランスの均衡を図る。
 初代より続く魔性特効の真名付与以外にも五大元素の使役や具現界域の構築など、人外が編み出した技術や才覚を応用した術式も手中に収め、特異家系の中では最も多くの手札を保有している。



     ・『憑百』
 陽向と同じくして人の為に生まれた人を害するモノを排除する一族。ただしこちらは『退ける者』ではなく『滅する者』としての強硬派となっている。
 毒を以て毒を制し、その毒を皿まで喰らうことで異常なまでの力を獲得することを可能とした秘伝の奥義〝憑依〟による脅威は特異家系中でも最大であり、もっとも注意すべき一族でもある。



     ・五行法と属性掌握術
 世界に満ちる五大属性(西方では四大)を意のままに操ることを可能とする術法、それを人界においては陽向家が、その外界においては妖精種が主に得手としている。
 だがこの二つには明確な差があり、一言で片付けてしまえば陽向の五行法は妖精種の力に大きく劣る。
 陽向の家が使用しているのは正式名称を五行隷属使役法。『世界を形作る原初の五』である元素(精霊種)を陰陽由来の法術で縛り付け現象として起こすという強引な過程を踏んでいる。
 対して妖精種は本来からして自然と営みを共にしてきた人外種であり、木々や草花に愛し愛されてきた精霊種との共生関係にある。必然、妖精の為ならば自ら進んで力になりに来る積極性が精霊達には存在している。
 この差は属性の威力に直結し、それ故に研鑚を積んだ古参の退魔師が精霊と共に生きてきた妖精の子供に単純な五行の力比べで負け得ることすら珍しい話ではない。
 だが陽向家の退魔師の真名が直接的に五行のいずれかに絡んでいる場合はその限りではない(太陽=火行の旭や鉱物=金行の晶納などが該当)。
 他には『加護』と呼ばれる、精霊や他の人外種の寵愛を一身に受けた者も例外的にこの法則からは外される。

       

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