◯ 𝓢 ’ |髙座創

SFを読むことの喜びの一つは
「自分の頭が賢くなった気がする」
ということにあると思われる。

高倉氏の作品にはいつもそれが感じられる。

難しそうな、それでいて直観的になんとかつかめそうな作中のテクノロジーやそれを裏付ける理論に触れること、とてつもなく小さな、あるいは大きな時間や空間のスケールに想いを馳せること。本作もまた私に「あーSF読んでるー。楽し。」という満足感を与えてくれた。

物語の舞台は、太陽フレアによる人類滅亡のさらに先、全宇宙規模のカタストロフに至る直前の瞬間。地下深くの計算機上の意識体として生きる「人類」。彼らによる知的営為と生存のための試みが描かれる。

人類滅亡とその後の未来予想、そして肉体感覚はもちろん時間感覚も異なる「意識体」たち
彼らが営む「意識体」社会のコミカルな描写は大いに楽しめた。

結末を明かすことは避けたいが、「世界の物理法則が変化する瞬間」に立ち会えたこと、そこで作中の意識体の「身体性」と読者としての自分の意識が交わったような錯覚を覚えた。

以上