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U p s i d e D o w n |零 F

今回の表題作。

紹介文によれば『猫トースト問題』という有名な問題があるらしい。
ググってみると、
パンはバターを塗った面から落ちる。
猫は足から落ちる。
では、バタートーストを背負った猫はどう落ちるのか。
もしかすると、無限に回転して永久機関が生まれるのか、という思考の遊びのようだ。

このジョークを芸術にまで高めた作品。
回転し続ける永久機関、完璧な玉。

紹介文では「作り込まれた作中構造」という評が添えられていたが、まったくの同感で、物語は過去と未来とが交錯しつつ、少しづつ謎が解けるように、また猫とトーストが呼応するように作られている、というように思える。

「というように思える」というのは、私も正直にこの作品を読み解けた自信はないからだ。

先に、本所収作「𝓢 ’」の感想で、「SFを読むことの喜びの一つは『自分の頭が賢くなった気がする』ということにあると思われる。」と書いたが、本作はその逆で「自分の頭が悪くなった気にさせられる」作品といえる。難しい。

といって、難解すぎてケムに巻かれ、読み進めるのにストレスが溜まるというわけではない。海外の学生生活や未来の描写が嫌味でない程度にスタイリッシュであり、事件の描写も視覚的で、雰囲気だけでも十分に楽しめる作品となっている。読み進めるうちに、また読み返すうちに、理解が深まっていくのもまた楽しい。ラストはまさに息が詰まる。


紹介文によると作者が著名なゲーム制作者であるらしい。
確かにとてもゲーム的な作品に思えた。

野暮は百も承知だが、本作の「答え合わせ」をいつか知りたい。


以上

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Neetsha