トップに戻る



◯全体的な印象(冒頭5本ほど読んだ途中の印象)

毎年、SF小説短編集を出し続けている恐るべき創作集団、「グローバルエリート」。
今回はメンバーを募り、新しい元号「令和」の時代を描き出す。

いつもの「SFアンソロジー」ではなく「テーマアンソロジー」と銘打っているように、ここでは、SFに留まらず、ちょっとした青春、スポーツもの、恋愛ものなど多様なジャンルの作品が集められている。

この新しい時代をどう構想するか。
「元号」という人為的なイベントを、時代変化としてどう受け止めるか。
作家として異なったバックグランドを持つ13人もの執筆陣が、それぞれの視点とテイストでこれらの問いに応えている。共通の「お題」があることで、かえってそのそれぞれの個性が浮きぼりになっている。自分にとって、普段の生活や交流・関心の範囲では知り得なかった、様ざまな世界や価値観に触れ、交流することができたような気がする。「あー。この方にはこう見えてたのか、ここがフックだったのか」というような。

また、「時代」をテーマとした本作は同時題の気録としての価値が非常に高い。
もちろん、所収作のすべては創作、しかも実際の改元以前につくられた作品である。事実よりはエンタメ性が重視されており、その中身がそのまま歴史の記録ということはできない。

しかし、それでも、それぞれの作家の想いがつまったこれらの作品を通じて、「あのとき、確かにこういうことを感じていた」「こういうイベントがあった」「こういうふうに予想していた」といった、といった自身の記憶、その「匂い」までが甦ってくるような、そういう感覚に囚われた。

本作の入手に長い時間を要したこと(令和元年(2019年)12月30日に落手)、また、生来の怠惰につき、読み始めに一ヶ月、感想着手にさらに2ヶ月近く要したことにも意味があったように思われる。

本作を入手し、拝読し、感想を書くことで
ようやく私にも「新しい令和時代が訪れた」。
しかし、同時にすでに「令和は遠くなりにけり」でもあった。
この二つを同時に味わえたのはなかなか不思議な体験であった。

作品ごとの感想もちびちびとまた書いていく予定です。


以上です。

トップに戻る

Tweet

Neetsha