5 ベーシストは変態なのか | 零F

5月1日。令和の改元とともに東京が独立し、しっちゃかめっちゃかになった世界を疾走する話。ベーシスト「楓」は、ある日「もう飽きた。だらくっぽいこと飽きた」といって、ライブ中に突然逃走する。「マッドマックス」さながらの退廃的でバイオレンスな、というよりはむしろゾンビ映画さながらのグロテスクな世界をすり抜け、神奈川独立運動ななどとも関わりつつ、なんだかんだ埼玉の実家を目指す。

重低音の騒音が聞こえてきそうなライブハウス、緊張感ただようストリート、新露国として独立するという面白い設定、その間に挟まるPASMOだのコイケヤチップスだのサイゼリヤでのデートなど妙に日常的な描写。自分もすでにラリってるのではないか、というドラッグ感覚が楽しめる。

現実では令和は無事に元年を迎え、二年に世界は封鎖された。妙に鮮明な混沌の東京は、自粛要請に総じて粛々と従い、社会的距離も定着しつつある現代の軌道からは完全に外れた未来なのか、あるいはその反動としてやってくる現実なのか、などとぼんやり思いました。

以上です。