Neetel Inside 文芸新都
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 たった今、数時間ほどいた客はようやく店から出て行った。私はコーヒーのカップを片す。殆ど残っている。残っていると洗い物が面倒なのに。ケーキもほとんど食べていない。ラストのケーキだったのに。もったいない。むしろ私が食べたいぐらいだ。でもまぁウェイトレスにそんなことは許されるわけもなく。私は黙々と片付ける。もくもくと。もくもくもく……。
「あ」そんな私は本当にうっかりしていたのだ。
さっきのお客さん、レジ袋忘れている。何か粉? 砂糖かな。うーん、どうしよう。何とかして届けないといけない。だってさっきのお客さん常連ってわけじゃないし、あんまり来ないから、あぁ、困ったなあ。行くしかないのかぁ。
「てんちょー、おきゃくさんわすれものー、とどけまぁーす」と呑気に声を出して私は店から飛び出した。店長もオッケーって言ってくれるでしょ。たぶんだけど。
あー、あんまり遠くに行っていないといいけどー。

       

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Neetsha