Neetel Inside 文芸新都
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じんせいってなんですか?
スカイ・ブルー

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窓から見える空が淀んでいても、ギラギラと日が薄いカーテンを照らしても、あまり降らない雪にクラスメイトが浮かれていても、僕はあの子を通して見ていた。あの子はずっと窓越しから空を見ていた。
教室のクラスメイトがつまらない公式を見てあくびをしてもあの子は飽きもせずに空を見ていた。
僕はあの子越しから見る空が好きだった。
あの子の隣の席が嬉しかった。だってあの子はいい香りがするから。土日が嫌いだった。だってあの子が横を見るといないから。体育の時も嫌いだった。だってあの子は僕と離れたところで息を切らしていたから。
あの子はずっと長袖を着ていた。
噂によると手首が傷まみれだからだって、皆言ってた。
あの子は授業中にブツブツと何かを言っていた。
噂によるとあの子は一人ぼっちだからだって、皆言っていた。
あの子は体育の時運動神経が悪かった。噂によるとあの子は。あの子は国語の点数が良かった。噂によるとあの子は。あの子は中学生の頃に吹奏楽部だった。あの子はずっと一人だった。あの子は空が好きだった。あの子の独り言が僕の席まで聞こえるようになってきた。あの子は急に授業中に泣き出した。あの子はクラスメイトに引かれ始めた。
次第にあの子は学校に休むようになった。
僕の世界が一気に小さくなった。
僕の世界は……。
僕の空は一気に沈んだ。あの子は学校に来ない。僕の独り言がクラスメイトに笑われる。僕は吹奏楽部でした。だからホルン出来ます。あの子はフルートでした。僕の運動神経は悪いです。クラスメイトに馬鹿にされます。あの子もそうでした。僕は国語が出来ません。文章を読んでも解けないからです。数学は好きです。だから先生に褒められました。数学は出来るね。国語の点数が良かった。英語は出来ません。でも授業がつまらない。だってあの子の香りがしない。花の香りがする。机の上から。先生が泣いていた。花瓶。窓から見えるあの子。ねぇ、落ちてる! って。落ちてる? 僕は思わず立ちました。どこへ走っていけばいいのでしょうか? 下? 下に行きました。夕日が沈んでいっています。夕日とともに、あの子の顔が、血で沈んでいっています。僕の思い出は美化されましたか? 走りましたので息が苦しくなりました。息が苦しくなって、あの子に倒れ込みました。血の匂い。血ー。あの子の香りは血です。僕とあの子は似ていました。だからきっと僕は惹かれていました。あの子がこんな姿で美しくあるなんて僕の心臓がはちきれそうです。このまま、僕も美しく死にたかった。あの子の死体と一緒に見る夜空はキラキラしていて、星空はすごく綺麗でした……。僕は幸せです。多分ですが。僕も誘って欲しかったなぁ。

       

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