Neetel Inside 文芸新都
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席が前だった男子に「お前って悩みなさそうだよな」って笑いながら言われた。その時なんて返したかは覚えてないが言われた日の帰り道にブツブツ言いながら帰ったのは覚えている。悩みなさそう!って、良いことなんだろうか? 20歳になった今でも言われた言葉を思い返して悩む。(これこそが悩み事か?)言われた時の悩み事ってなんだったんだろう。言われた時は中学生のときだったから、勉強が出来ないこととか親に怒られる事で悩んでいたんだと思う。そうか、六年前か。もう六年前なのか……。今の悩み事は、長く言うと.あの子は頭がいいけど私よりブスで、あの子は要領が良いけど私より世渡りが下手で、あの子は可愛いけど私よりデブで、あの子は人気者だけど私より馬鹿だな、って思いながら毎日生きてると、他者と比べることしか能がない人になりましたってこと。短く言うと、20年間も生きているのにいつの間にかなんもない空っぽの人間になりましたってこと。馬鹿げてるなー。いやだってさ、他者のことを記号でしか捉えられないんだよ。例えば、A君! あの子は背が普通くらいでいつも着飾っていて面白いことを言うけど、私より馬鹿だな。っていうそんな感じ。それが全員! んで全員が自分よりなにか劣っていて、劣っている部分を全て集めると自分が頂点! いやぁ、本当に嫌な人間になったなぁ。人の顔色伺ってるくせに腹の中では比較してるんだよ。まぁ、それは自分が空だからそれを補おうとしてるんだけど、まぁ、いいや、よくないなあ、よくない、よくないけど今更変えられるわけでもない。ああ、歯が痛い、前の下の歯、痛いんだよなあ。あと指が痛いなあ、右手がゆがんでるんだよ、中指とかカーブしてる。このままいくと丸になりそう。ならないな。

くらげ。
泡がキラキラ浮かぶ透明のサイダー。
くらげ。
透明のサイダーの向こうに透けてるブルー。
くらげ。
透けてるブルーはどこまで続いているんだろう。
くらげ。
私の目には見えないくらいに広がる透明のサイダー。
透明のサイダー。
気の抜けたサイダー。
くらげ。
しぼんで死ぬ。

遺書を書いたことがある。大層にワードで実家にあるデスクトップPCにパスワードを入れないと見れない遺書だった。パスワードは確か、誕生日。0105。書いたのがもう四年以上前になる。朧気にしか覚えていないが、葬式はするな、死んで嬉しい人よかったね、とかそういうのを書いていた気がする。まぁ書いても死ねなかったんだけど。でも死んでないのにまだ実家のデスクトップPCには遺書のデータは残っている。なんで消せないんだろうと思った。生きたいんだろうなあ。

       

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