Neetel Inside ニートノベル
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ありがた迷惑な召喚術
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「またお前か、このストーカー女」

「...はあ?」

突然の心外なる一言にその女は唖然とした。
召喚術士である彼女ルシエル・フォーナは生まれつき備わっていた能力により
その日たまたま目にした者、耳に聴いた者、頭に思い描いた者達を
自分の意志や好き嫌いに関わらず目の前に召喚する事が出来ていた。
召喚される存在は実世界に存在する生身の召喚獣から
はては空想上の異世界にのみ存在する肉体をともなぬ霊体の召喚獣等。
まさに多種多様である。


「俺が召喚されたのはこれでもう三回目だぞ。ストーカー女」

「...あんたねぇ...」

やたら低音かつイイ声の持ち主であった男性型の召喚獣が呆れたようにそう呟くと
ルシエルは不機嫌そうに腕を組みつつぽつりと本音を漏らし始めた。

「どうせ呼ぶんだったらさあ...あたしだってあんた達みたいな召喚獣よか、現金五億ゴールドを召喚したいわよ」

自動追尾標準の付いたオートマチック式退魔銃同様
自分の意志では押さえようにもどうにもならない自動で発動される召喚術に
度々文句を言われた挙げ句ストーカーの汚名まで着せられては正直たまったもんではない。


緩やかなカーブを描く豊かに伸びた金の髪を包む
着込んでいた黒のローブのフードの中に収まるその頭をポリポリと掻きながら
半ば「無理矢理な形で呼び出してしまい申し訳ない」という気持ちと
「呼んでもいないのに来てもらっても正直迷惑だ」といった複雑な感情が入り交じりつつ
ルシエルは目線を覆い隠す黒のフードを剥がすように払いのけると
ふとその目の前にいたらしい召喚獣を薄紫色の瞳で上目遣いをするようにまじまじと見上げてみた。

       

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